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租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの


(11) 租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

会計名及び科目
一般会計
国税収納金整理資金
(款)歳入組入資金受入
(項)各税受入金
部局等
137税務署
納税者
252人
徴収過不足額
徴収不足額
徴収過大額
805,182,353円
16,127,800円
(平成13年度〜18年度)
(平成15年度〜17年度)

1 租税の概要

 源泉所得税、申告所得税、法人税、相続税・贈与税、消費税等の国税については、法律により、納税者の定義、納税義務の成立の時期、課税する所得の範囲、税額の計算方法、申告・納付の手続などが定められている。
 平成18年度国税収納金整理資金の各税受入金の徴収決定済額は64兆1140億余円となっている。このうち源泉所得税は16兆3588億余円、申告所得税は3兆3333億余円、法人税は15兆9233億余円、相続税・贈与税は1兆6235億余円、消費税及地方消費税は17兆1791億余円となっていて、これら各税の合計額は54兆4182億余円となり、全体の84.8%を占めている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 上記の各税に重点をおいて、合規性等の観点から、課税が法令等に基づき適正に行われているかに着眼して、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき本院に提出された証拠書類等により検査するとともに、全国の12国税局等及び524税務署のうち、12国税局等及び179税務署において提出された申告書等の書類により会計実地検査を行った。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、国税局等及び税務署に調査を求め、その調査の結果の内容を確認するなどの方法により検査を行った。

(2) 徴収過不足の事態

 検査したところ、137税務署において、納税者252人から租税を徴収するに当たり、徴収額が、244事項805,182,353円(13年度〜18年度)不足していたり、8事項16,127,800円(15年度〜17年度)過大になっていたりしていて、不当と認められる。
 これを、税目別にみると次表のとおりである。

税目
徴収不足の事項数
徴収過大の事項数
徴収不足額
徴収過大額(△)
 
源泉所得税
 
申告所得税
 
法人税
 
相続税・贈与税
 
消費税
 
 
3
68
1
141
2
15
4
17
1
51,637,502
133,197,400
△585,000
534,907,551
△11,236,600
32,459,600
△3,432,500
52,980,300
△873,700
244
8
805,182,353
△16,127,800

 なお、これらの徴収不足額及び徴収過大額については、本院の指摘により、すべて徴収決定又は支払決定の処置が執られた。

(3) 発生原因

 このような事態が生じていたのは、前記の137税務署において、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤るなどしているのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったり、課税資料の収集・活用が的確でなかったりしたため、誤ったままにしていたことなどによると認められる。

(4) 税目ごとの態様

 この252事項について、源泉所得税、申告所得税、法人税、相続税・贈与税及び消費税の別に、その主な態様を示すと次のとおりである。

ア 源泉所得税に関するもの

 源泉所得税では徴収不足になっていたものが3事項あった。これらは、報酬、配当及び退職手当に関するものである。
 報酬、配当及び退職手当の支払者は、支払の際に、所定の方法により計算した源泉所得税を徴収し、徴収の日の属する月の翌月10日までに国に納付しなければならないこととなっている。そして、この法定納期限までに納付がない場合には、支払者に対して、納税の告知をしなければならないこととなっている。
 この報酬、配当及び退職手当に関し、徴収不足になっている事態が3事項51,637,502円あった。その内容は、報酬の支払額や自己株式の取得による配当とみなされる金額について、法定納期限を経過した後も長期間にわたって源泉所得税が納付されていなかったり、退職手当に対する税額の計算に当たり勤続年数に誤りがあり税額が過小のままとなっていたりしているのに、課税資料の収集・活用が的確でなかったなどのため、納税の告知をしていなかったものである。

<事例1>  報酬に関する源泉所得税について納税の告知をしていなかったもの

 A会社は、平成13年5月から18年1月までの間に非居住者(注1) に支払った報酬を148,833,623円とし、これに対する源泉所得税額として44,995,422円を納付していた。
 しかし、同会社から提出された法人税の申告書等によれば、上記の期間中に非居住者に支払われた報酬は452,609,514円である。したがって、非居住者に係る源泉所得税額は90,521,900円となるのに、上記の申告書等の活用が的確でなくこれらの事実を把握していなかったため、上記納付税額との差額については納税の告知をしておらず、源泉所得税額45,526,478円が徴収不足になっていた。

 非居住者  国内に住所を有しておらず、かつ、現在まで引き続いて1年以上居所を有していない個人をいう。

イ 申告所得税に関するもの

 申告所得税では徴収不足又は徴収過大になっていたものが69事項あった。この内訳は、不動産所得に関するもの26事項、譲渡所得に関するもの14事項、事業所得に関するもの13事項及びその他に関するもの16事項である。

(ア) 不動産所得に関するもの

 個人が不動産を貸し付けた場合には、その総収入金額から必要経費を差し引いた金額を不動産所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。
 そして、個人が有する減価償却資産につきその償却費として不動産所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その者が当該資産について定められた償却の方法に基づいて計算した金額とすることとなっている。また、不動産の貸付けについて、収入、経費の各項目の金額に消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)を含めて経理している場合には、経費に係る消費税等の額が収入に係る消費税等の額を超えるときに生ずる消費税等の還付金は、不動産所得の計算上、総収入金額に算入することとなっている。
 この不動産所得に関し、徴収不足になっている事態が26事項61,259,200円あった。その主な内容は次のとおりである。
a 総収入金額から差し引く減価償却費等の必要経費の額を誤って過大としているのに、これを見過ごしたため、不動産所得の金額を過小のままとしていた。
b 収入及び経費に消費税等を含めて経理している場合の消費税等の還付金が総収入金額に算入されていないのに、これを見過ごしたため、不動産所得の金額を過小のままとしていた。

<事例2>  不動産所得の総収入金額を過小としていたもの

 納税者Bは、平成16年分の申告に当たり、不動産所得の総収入金額を143,452,478円とし、この金額のうちに消費税等の還付金はないとしていた。そして、この金額から必要経費等を差し引き不動産所得の金額を36,540,558円としていた。
 しかし、同人は不動産の貸付けに係る収入及び経費にそれぞれ消費税等を含めて経理しており、また、16年4月に同人に対して消費税等の還付金23,985,422円が支払われている。したがって、消費税等の還付金を不動産所得の総収入金額に算入するなどすると、不動産所得の金額は70,327,184円となるのに、これを見過ごしたなどのため、申告所得税額12,550,100円が徴収不足になっていた。

(イ) 譲渡所得に関するもの

 個人が資産を譲渡した場合には、その総収入金額から譲渡した資産の取得費や譲渡に要した費用の額などを差し引いた金額を譲渡所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。ただし、土地建物等の譲渡による所得については、他の所得と分離して課税することとなっている。そして、優良住宅地の造成等のために土地を譲渡した場合など、一定の土地の譲渡による所得に対しては、軽減された税率を適用することとなっている。
 この譲渡所得に関し、徴収不足になっている事態が14事項23,414,000円あった。その主な内容は次のとおりである。
a 優良住宅地の造成等のための土地を譲渡した場合の所得に適用される軽減税率を、優良住宅地の要件に該当しない土地に係る譲渡所得に適用するなど、税額の計算に誤りがあるのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったりしたため、税額を過小のままとしていた。
b 譲渡した資産の取得費の額などに誤りがあるのに、これを見過ごしたため、譲渡所得の金額を過小のままとしていた。

<事例3>  譲渡した資産の取得費の額を過大としていたもの

 納税者Cは、平成15年分の申告に当たり、ゴルフ会員権を譲渡したことに伴う収入金額8,500,000円からゴルフ会員権の買入価額に名義書換料を加えた取得費35,088,000円及び譲渡費用100,000円を差し引いた金額26,688,000円を譲渡所得の損失額としていた。そして、この損失額を他の所得金額から控除し、総所得金額を18,561,423円としていた。
 しかし、同人の申告書等によれば、同人は、同人が代表取締役となっている同族会社から、ゴルフ会員権を譲渡の前月に33,198,000円で買い入れている。この買入価額は、取引相場に比べて著しく高額なものとなっており、取引相場に基づき買入価額を算定すると8,675,000円となることから、取得費は10,565,000円となる。したがって、これにより計算すると、譲渡所得の損失額は2,165,000円となり、この損失額を他の所得金額から控除すると総所得金額は43,084,423円となるのに、これを見過ごしたため、申告所得税額8,942,800円が徴収不足になっていた。

(ウ) 事業所得に関するもの

 個人が事業を営む場合には、その総収入金額から必要経費を差し引いた金額を事業所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。そして、事業所得の計算上、事業を廃止した年に貸倒引当金勘定に繰り入れた金額があっても必要経費に算入しないこととなっている。
 この事業所得に関し、徴収不足になっている事態が13事項15,538,300円あった。その主な内容は、個人事業を廃止した年に貸倒引当金勘定に繰り入れた金額を計上するなど総収入金額から差し引く必要経費の額を過大としているのに、これを見過ごしたため、事業所得の金額を過小のままとしていたものである。

(エ) その他に関するもの

 上記(ア)から(ウ)のほか、雑所得等に関し、徴収不足になっている事態が15事項32,985,900円、徴収過大になっている事態が1事項585,000円あった。

ウ 法人税に関するもの

 法人税では徴収不足又は徴収過大になっていたものが143事項あった。この内訳は、同族会社の留保金に関するもの52事項、法人税額の特別控除に関するもの50事項、減価償却費の計算に関するもの13事項及びその他に関するもの28事項である。

(ア) 同族会社の留保金に関するもの

 3人以下の株主等(株主等に同族会社でない法人がある場合はその法人を除く。)並びにこれらと特殊の関係にある個人及び法人が発行済株式総数又は出資金額の100分の50を超える株式数又は出資金額(注2) を有している同族会社(以下「特定の同族会社(注3) 」という。)については、通常の法人税のほか、利益のうち社内に留保した金額が一定の金額を超える場合には、その超える部分の金額(以下「課税留保金額」という。)に対し特別税率(注4) の法人税を課することとなっている。

 100分の50を超える株式数又は出資金額  平成15年4月1日前開始事業年度分については、100分の50以上の株式数又は出資金額
 特定の同族会社  平成18年4月1日以後開始事業年度分については、1人の株主等並びにこれと特殊の関係にある個人及び法人が発行済株式総数又は出資金額の100分の50を超える株式数又は出資金額を有しているなどの同族会社(平成19年4月1日以後開始事業年度分については資本金又は出資金の額が1億円以下であるものを除く。)をいう。
 特別税率  課税留保金額が年3000万円以下の部分については100分の10、年3000万円を超え1億円以下の部分については100分の15、年1億円を超える部分については100分の20

 この同族会社の留保金に関し、徴収不足になっている事態が52事項205,755,151円あった。その内容は、特定の同族会社に該当し課税留保金額が算出されるのに、これを見過ごしたため、特別税率の法人税を課していなかったものである。

<事例4>  同族会社の課税留保金額に対して特別税率の法人税を課していなかったもの

 D会社は、平成15年4月から17年3月までの2事業年度分の申告に当たり、上位3人の株主及びこれらの親族等が所有している株式数の発行済株式総数に対する割合は、各事業年度において、100分の41.7及び100分の46.0であることから、特定の同族会社には該当しないとして、利益のうち社内に留保した金額について特別税率による税額計算をしていなかった。
 しかし、申告書等によれば、上位3人とされた株主の間には親族関係があるので、この3人を第1順位の株主及びその親族とすると、同会社は、第1順位から第3順位までの株主及びこれらの親族等が両事業年度において発行済株式総数の100分の50.3の株式数を所有する特定の同族会社となる。そして、利益のうち社内に留保した金額が一定の金額を超えており、課税留保金額138,091,000円及び43,361,000円が算出されるのに、これを見過ごしたなどのため、特別税率の法人税を課しておらず、法人税額21,118,100円及び4,709,300円、計25,827,400円が徴収不足になっていた。

(イ) 法人税額の特別控除に関するもの

 法人税額から一定の金額を控除する各種の特別控除が設けられている。このうち、中小企業者等(注5) が機械等(注6) を賃借(賃借期間が5年以上であり、かつ、その期間が当該減価償却資産の耐用年数を超えないものに限る。)して事業の用に供した場合には、その最初の事業年度において、当該事業年度の法人税額の100分の20に相当する金額を限度として、賃借期間中に支払う賃借料の総額に一定の割合を乗じた金額を法人税額から控除できることなどとなっている。

 中小企業者等  資本若しくは出資の金額が1億円以下の法人(発行済株式総数又は出資金額の2分の1以上を同一の大規模法人が所有しているなどの法人を除く。)又は農業協同組合等で青色申告書を提出する法人をいう。
 機械等  一定の機械装置、事務処理の能率化等に資する器具備品及び輸送の効率化等に資する車両運搬具(18年4月1日以後は一定のソフトウエアも対象となる。)

 また、青色申告書を提出する法人に損金の額に算入した試験研究費がある場合には、当該事業年度の法人税額の一定の割合の金額を限度として、試験研究費に一定の割合を乗じた金額を法人税額から控除できることなどとなっている。そして、試験研究費に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を試験研究費から差し引いて計算することとなっている。
 この法人税額の特別控除に関し、徴収不足になっている事態が50事項205,332,600円あった。その主な内容は次のとおりである。
a 特別控除の対象となる機械等に該当しない医療用機器について、誤って控除しているのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったりしたため、法人税額を過小のままとしていた。
b 特別控除の対象とはならない賃借期間が5年未満の機械等又は賃借期間が耐用年数を超えている機械等について、誤って控除しているのに、これを見過ごしたため、法人税額を過小のままとしていた。
c 試験研究費に充てるため国等から交付を受けた補助金があり、その補助金を差し引かないで法人税額から控除できる金額を計算するなどしているのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったりしたため、法人税額を過小のままとしていた。

<事例5>  中小企業者等が機械等を賃借した場合の法人税額の特別控除の規定の適用を誤っていたもの

 E会社は、平成15年4月から18年3月までの3事業年度分の申告に当たり、中小企業者等が機械等を賃借した場合の法人税額の特別控除の規定を適用して、各事業年度に賃借して事業の用に供した車両運搬具(運送事業用の貨物自動車)計106台について、賃借期間中に支払う賃借料の総額199,998,000円、337,579,200円及び275,268,000円を基に所定の計算をして算出した金額8,399,916円、14,178,326円及び11,561,256円のうち当該事業年度の法人税額の100分の20を超えない6,218,020円、10,039,240円及び9,715,540円を法人税額から控除していた。
 しかし、申告書等によれば、当該車両運搬具は、その賃借期間が5年未満であったり、耐用年数を超えていたりしているので、上記特別控除の対象となる機械等には該当しないことから、上記特別控除の規定を適用できず、各事業年度の法人税額から誤って控除しているのに、これを見過ごしたため、法人税額6,218,000円、10,039,200円及び9,715,500円、計25,972,700円が徴収不足になっていた。

(ウ) 減価償却費の計算に関するもの

 法人がその有する減価償却資産につき償却費として経理をした金額のうち、その法人が当該資産について定められた償却の方法に基づき当該資産の耐用年数等に応じて計算した金額に達するまでの金額は、所得の金額の計算上、損金の額に算入されることとなっている。そして、10年4月1日以後に取得した建物等についての償却の方法は定額法で行うこととなっている。
 この減価償却費の計算に関し、徴収不足になっている事態が13事項73,253,000円あった。その主な内容は、10年4月1日以後に取得した建物についての償却の方法を誤り、償却費を過大に計上しているのに、これを見過ごしたため、損金算入額を過大のままとしていたものである。

(エ) その他に関するもの

 上記(ア)から(ウ)のほか、役員賞与の損金不算入、受取配当等の益金不算入等に関し、徴収不足になっている事態が26事項50,566,800円、徴収過大になっている事態が2事項11,236,600円あった。

エ 相続税・贈与税に関するもの

 相続税・贈与税では徴収不足又は徴収過大になっていたものが19事項あった。この内訳は、相続税については土地建物等の価額に関するもの7事項、有価証券の価額に関するもの4事項及びその他に関するもの3事項、贈与税については有価証券の価額に関するもの5事項である。

(ア) 相続税に関するもの

a 土地建物等の価額に関するもの

 個人が相続又は遺贈により財産を取得した場合には、その取得した財産に対し相続税を課することとなっている。そして、取得した財産の価額は、相続又は遺贈により取得した時の時価とされていて、土地建物等の価額については、路線価、固定資産税評価額等を基にして計算することとなっている。ただし、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族が事業又は居住の用に供していた宅地等のうち用途区分に応じて所定の方法により計算した一定の面積までの部分については、小規模宅地等として、次に掲げる区分に応じ、土地等の価額にその割合を乗じた額を減額できることとなっている。

(a) 被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族が事業(不動産貸付業等は除く。)の用に供していた宅地等で、その宅地等を相続又は遺贈により取得した者のうちに、申告期限まで事業を継続しているなどの要件に該当する親族がいる場合の宅地等(以下「特定事業用宅地等」という。)などに該当するもの

100分の80

(b) 上記以外のもの

100分の50



 この土地建物等の価額に関し、徴収不足になっている事態が7事項14,495,100円あった。その主な内容は、土地の価額の計算において、小規模宅地等に該当しない宅地について減額していたり、特定事業用宅地等に該当しない小規模宅地等について減額割合を誤って100分の80としていたりしているのに、これを見過ごしたため、土地の価額を過小のままとしていたものである。

b 有価証券の価額に関するもの

 個人が相続又は遺贈により取得した有価証券のうち取引相場のない株式又は出資の価額については、株式を発行した会社等の各資産の価額の合計額から各負債の金額の合計額を差し引いた純資産価額等を基にして計算することとなっている。
 この有価証券の価額に関し、徴収不足になっている事態が2事項1,251,800円、徴収過大になっている事態が2事項1,588,000円あった。その内容は、取引相場のない株式等の価額の計算を誤っているのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったりしたため、株式等の価額を過小又は過大のままとしていたものである。

c その他に関するもの

 上記a、bのほか、相続税額の加算等に関し、徴収不足になっている事態が3事項13,294,900円あった。

<事例6>  相続税額の加算をしていなかったもの

 相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の一親等の血族(養子を含む。)及び配偶者以外の者である場合には、所定の方法により算出した金額にその100分の20に相当する金額を加算するなどした金額をその者の相続税額とすることとなっている。そして、平成15年4月1日相続分からは、被相続人の養子であっても孫である場合については上記の加算をすることとなっている。
 納税者Fは、15年12月相続分の申告に当たり、被相続人の養子であることから、上記の加算をすることなく、相続により取得した財産に係る相続税額を43,347,900円としていた。
 しかし、申告書等によれば、Fは被相続人の養子となった孫であることから、その相続税額は、所定の方法により算出した金額にその100分の20に相当する金額を加算した52,017,500円となるのに、これを見過ごしたため、相続税額8,669,600円が徴収不足になっていた。

(イ) 贈与税に関するもの

 個人が贈与により財産を取得した場合には、その取得した財産に対し贈与税を課することとなっている。そして、取得した財産の価額は、贈与により取得した時の時価とされている。
 この贈与税に関し、徴収不足になっている事態が3事項3,417,800円、徴収過大になっている事態が2事項1,844,500円あった。その内容は、取引相場のない株式の価額の計算を誤っているのに、これを見過ごしたため、株式の価額を過小又は過大のままとしていたものである。

オ 消費税に関するもの

 消費税では徴収不足又は徴収過大になっていたものが18事項あった。この内訳は、課税売上高の計上に関するもの6事項、納税義務の免除に関するもの5事項及びその他に関するもの7事項である。

(ア) 課税売上高の計上に関するもの

 課税売上高には、事業者が国内において行った資産の譲渡及び貸付け並びに請負等の役務の提供に係る収入金額(土地の譲渡、住宅の貸付け等に係る収入金額を除く。)を計上することとなっている。
 この課税売上高の計上に関し、徴収不足になっている事態が6事項13,527,000円あった。その主な内容は、事業者が建物等を譲渡しているのに、これを見過ごしたため、課税売上高を過小のままとしていたものである。

(イ) 納税義務の免除に関するもの

 基準期間(個人事業者は課税期間(注7) の前々年、法人は課税期間の前々事業年度)における課税売上高が1000万円以下(注8) の事業者は、課税期間の課税売上げについて納税義務が免除されることとなっている。

 課税期間  納付する消費税額の計算の基礎となる期間で、原則として個人事業者は暦年、法人は事業年度
 1000万円以下  平成16年4月1日前に開始した課税期間については、3000万円以下

 この納税義務の免除に関し、徴収不足になっている事態が5事項26,858,500円あった。その内容は、基準期間の課税売上高が1000万円又は3000万円を超えていて納税義務が免除されないため申告の必要があるのに、これを見過ごしたため、消費税を課していなかったものである。

<事例7>  消費税を課していなかったもの

 納税者Gは、平成17年1月から12月までの課税期間分の消費税の申告をしていなかった。
 しかし、同人の申告所得税の申告書に添付された書類等によれば、同人の課税売上高は、208,785,000円となっている。そして、上記の課税期間に係る基準期間の課税売上高は19,869,515円であり、これは1000万円を超えていて納税義務は免除されない。したがって、上記の課税期間分について申告の必要があるのに、これを見過ごしたため、消費税を課しておらず、消費税額8,233,100円が徴収されていなかった。

(ウ) その他に関するもの

 上記(ア)、(イ)のほか、課税仕入れに係る消費税額の控除等に関し、徴収不足になっている事態が6事項12,594,800円、徴収過大になっている事態が1事項873,700円あった。

 これらの徴収不足額及び徴収過大額を国税局等別に示すと次のとおりである。

これらの徴収不足額及び徴収過大額を国税局等別に示すと次のとおりである。