平成18年度
第3章 個別の検査結果
第1節 省庁別の検査結果
第10 厚生労働省
不当事項
保険給付
(75) 雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの
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1 保険給付の概要
(1) 雇用保険
雇用保険は、常時雇用される労働者等を被保険者とし、被保険者が失業した場合及び被保険者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合などに、その生活及び雇用の安定を図るなどのため失業等給付金の支給を行うほか、雇用安定事業等を行う保険である。
(2) 失業等給付金の種類
失業等給付金には、次の求職者給付及び就職促進給付のほか、教育訓練給付及び雇用継続給付の4種がある。
ア 求職者給付には7種の手当等があり、このうち、
(ア) 基本手当は、失業等給付金の支給額の大半を占めており、失業者の生活の安定を図る上で基本的な役割を担うもので、受給資格者(注)が失業している日について所定給付日数を限度として支給される。
(イ) 特例一時金は、被保険者であって季節的に雇用される者等が失業した場合に支給される。
イ 就職促進給付には5種の手当等があり、このうち再就職手当は、受給資格者が基本手当を受給できる日数を所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上残して安定した職業に就いた場合に支給される。
|
受給資格者 被保険者が、離職し労働の意思及び能力を有するにもかかわらず職業に就くことができない状態にあり、原則として、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あることの要件を満たしていて、公共職業安定所において基本手当を受給する資格があると決定された者 |
(3) 失業等給付金の支給
上記の手当等は、公共職業安定所が次のように支給決定を行い、これに基づいて厚生労働本省が支給することとなっている。
ア 基本手当及び特例一時金については、受給資格者等から提出された失業認定申告書等に記載されている就職又は就労(臨時的に短期間仕事に就くこと)の有無等の事実について確認し、失業の認定を行った上、支給決定を行う。
イ 再就職手当については、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入年月日等について調査確認の上、支給決定を行う。
2 検査の結果
(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法
本院は、全国47労働局の468公共職業安定所(平成19年3月末現在)のうち、24労働局管内の235公共職業安定所に係る会計実地検査を行い、14年度から19年度までの間に失業等給付金の支給を受けた者(以下、失業等給付金の支給を受けた者を「受給者」という。)のうち12,910人を選定し、合規性等の観点から、これらの受給者に対する失業等給付金の支給決定が適正に行われているかに着眼して、受給者から提出された失業認定申告書等の書類により検査した。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、更に当該公共職業安定所に調査及び報告を求め、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。
(2) 不適正支給の事態
検査したところ、24労働局の137公共職業安定所管内における14年度から19年度までの間の受給者393人に対する失業等給付金(支給額264,831,172円)のうち、87,398,219円が適正に支給されておらず、不当と認められる。これを給付の種別に示すと次のとおりである。
ア 求職者給付
136公共職業安定所管内の受給者389人に対する基本手当及び特例一時金(支給額246,899,912円)のうち、69,466,959円(基本手当68,721,759円、特例一時金745,200円)が適正に支給されていなかった。
このような事態が生じていたのは、受給者が誠実でなく、再就職していながらその事実を失業認定申告書等に記載していないなどのため、同申告書等の内容が事実と相違するなどしていたのに、上記の136公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給決定を行っていたことによると認められる。イ 就職促進給付
59公共職業安定所管内の受給者72人に対する再就職手当の支給額17,931,260円全額が適正に支給されていなかった。
このような事態が生じていたのは、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇入年月日を記載するなどしていたのに、上記の59公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給決定を行っていたことによると認められる。<事例>
A公共職業安定所では、受給資格者Bから、平成17年6月から就職することとした失業認定申告書及び再就職手当支給申請書の提出を受け、これに基づき、基本手当500,670円及び再就職手当300,402円の支給決定を行っていた。
しかし、実際には、受給資格者Bは5月から就職していたことから、上記の基本手当の一部200,268円及び再就職手当300,402円、計500,670円が適正に支給されていなかった。
なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
これらの不適正支給額を都道府県労働局ごとに示すと次のとおりである。
労働局名 |
公共職業安定所 |
本院の調査に係る受給者数 |
不適正受給者数 |
左の受給者に支給した失業等給付金 |
左のうち不適正失業等給付金 |
|
人 |
人 |
千円 |
千円 |
|||
北海道 |
札幌
稚内
小計 |
等6
等2 |
434
61 |
21
2 |
11,865
588
12,454 |
4,131
588
4,720 |
山形 |
山形
山形
小計 |
等3
|
219
48 |
6
1 |
3,561
76
3,638 |
1,610
76
1,686 |
群馬 |
前橋
前橋
小計 |
等5
等4 |
184
86 |
11
7 |
9,130
1,862
10,992 |
1,851
1,862
3,713 |
埼玉 |
大宮
小計 |
等4
|
234
− |
7 − |
5,258 −
5,258 |
1,096 −
1,096 |
千葉 |
千葉
船橋
小計 |
等5
等2 |
282
55 |
6
2 |
3,391
264
3,656 |
1,896
264
2,160 |
東京 |
飯田橋
品川
小計 |
等12
等5 |
880
185 |
27
6 |
18,825
1,725
20,550 |
4,611
1,725
6,336 |
富山 |
富山
高岡
小計 |
等5
等2 |
328
36 |
12
2 |
11,127
716
11,844 |
817
716
1,534 |
山梨 |
甲府
鰍沢
小計 |
等3
|
262
18 |
11
1 |
8,355
131
8,486 |
3,890
131
4,021 |
長野 |
長野
長野
小計 |
等8
等4 |
582
98 |
33
6 |
24,145
1,686
25,831 |
4,104
1,686
5,791 |
岐阜 |
岐阜
岐阜
小計 |
等5
等5 |
395
177 |
11
5 |
4,985
737
5,723
|
1,353
737
2,091 |
静岡 |
浜松
三島
小計 |
等3
|
270
26 |
6
2 |
3,599
420
4,019 |
470
420
891 |
愛知 |
名古屋中
名古屋中
小計 |
等7
等7 |
369
169 |
22
11 |
14,711
3,107
17,818 |
6,454
3,107
9,561 |
滋賀 |
大津
彦根
小計 |
等5
|
484
36 |
11
1 |
7,894
149
8,043 |
2,153
149
2,302 |
京都 |
京都西陣
伏見
小計 |
等7
等2 |
389
48 |
21
2 |
10,683
427
11,111 |
5,163
427
5,591 |
大阪 |
大阪東
大阪東
小計 |
等9
等3 |
442
81 |
18
3 |
10,699
464
11,164 |
4,852
464
5,317 |
兵庫 |
神戸
明石
小計 |
等7
等2 |
255
32 |
20
2 |
8,596
203
8,799 |
3,889
203
4,093 |
奈良 |
奈良
桜井
小計 |
等5
等2 |
330
46 |
15
2 |
9,325
505
9,831 |
1,721
505
2,227 |
岡山 |
岡山
小計 |
等4
|
325
− |
12
− |
9,846
−
9,846 |
1,946
−
1,946 |
山口 |
山口
小計 |
等4
|
281
− |
10
− |
3,241
−
3,241 |
1,284
−
1,284 |
福岡 |
福岡中央
福岡中央
小計 |
等5
|
324
47 |
12
1 |
7,686
161
7,847 |
2,328
161
2,489 |
長崎 |
長崎
長崎
小計 |
等6
等5 |
465
90 |
26
5
|
16,020
1,392
17,413 |
4,239
1,392
5,632 |
熊本 |
熊本
熊本
小計 |
等5
等3 |
350
91 |
20
3 |
18,013
774
18,788 |
3,248
774
4,022
|
大分 |
大分
大分
小計 |
等7
等3 |
531
93 |
27
4 |
12,153
1,153
13,307 |
2,917
1,153
4,070
|
宮崎 |
延岡
日向
小計 |
等6
等3 |
470
57 |
24
4 |
13,780
1,380
15,160 |
3,432
1,380
4,812 |
求職者給付計 |
136箇所 |
9,085 |
389 |
246,899 |
69,466 |
|
就職促進給付計 |
59箇所 |
1,580 |
72 |
17,931 |
17,931 |
|
|
合計
|
264,831 |
87,398 |
||||
注(1)
|
上段は求職者給付に係る分、下段は就職促進給付に係る分である。
|
注(2)
|
公共職業安定所数及び不適正受給者数については、各給付間で重複しているものがあり、実数はそれぞれ137箇所、393人である。
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