会計名及び科目
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一般会計
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(部)官業益金及官業収入
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(款)官業収入
(項)病院収入
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部局等
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内部部局(診療報酬に係る届出の所掌部局)
3自衛隊病院(診療報酬に係る届出書の作成及び診療報酬の算定・請求部局)
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入院基本料の概要
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厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において、患者が入院した場合に1日につき所定の診療報酬として請求するもの
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入院基本料に係る診療報酬の請求額
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2億6047万余円
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(平成18年度)
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増加する診療報酬の請求額
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6041万円
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防衛省(平成19年1月8日以前は内閣府防衛庁)では、陸上、海上、航空各自衛隊の共同の機関として、自衛隊中央病院及び15箇所の自衛隊地区病院(以下、これらを「自衛隊病院」という。)を設置している。自衛隊病院においては、自衛隊員及びその被扶養者(以下、これらを「自衛隊員等」という。)の診療を行うとともに、診療に従事する隊員の当該専門技術に関する訓練等を行っている。そして、自衛隊病院のうち、自衛隊中央病院及び4自衛隊地区病院は、表1のとおり、厚生労働大臣(13年1月5日以前は厚生大臣)から順次保険医療機関の指定を受け、自衛隊員等のほか一般の患者も対象に診療を行っている(以下、保険医療機関の指定を受け、一般の患者の診療も行うことを「一般開放」という。)。
病院名
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保険医療機関指定年月
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自衛隊中央病院
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平成5年11月
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自衛隊札幌病院
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平成19年2月
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自衛隊横須賀病院
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平成11年1月
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自衛隊富士病院
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平成12年4月
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自衛隊福岡病院
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平成18年10月
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一般開放した自衛隊病院が、保険医療機関としての医療に要した費用については、「診療報酬の算定方法」(平成18年厚生労働省告示第92号)等により診療報酬として所定の診療点数に単価(10円)を乗ずるなどして算定することとなっている。そして、自衛隊病院は、診療報酬のうち患者負担分を患者に請求し、残りの診療報酬については社会保険診療報酬支払基金等に請求することとなっている。
診療報酬のうち入院基本料は、看護師及び准看護師(以下、これらを「看護職員」という。)の数が入院患者数に対して所定の割合以上であることなどの厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において、患者が入院した場合に1日につき所定の診療点数を算定することとされている。そして、一般病棟については、表2のとおり、7対1入院基本料から15対1入院基本料までの4区分が設けられている。
入院基本料の区分
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診療点数
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7対1入院基本料
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1,555点
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10対1入院基本料
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1,269点
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13対1入院基本料
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1,092点
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15対1入院基本料
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954点
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このうち、7対1入院基本料は、病気の発症直後や症状の変化が激しい時期の入院医療に即した手厚い看護体制の適切な評価を目的として、18年4月の診療報酬改定の際に新設されたものであり、その基準は、看護職員の数が入院患者数7に対し1以上であることなどと定められている。
そして、地方社会保険事務局長に対する診療報酬に係る各種届出は、防衛省内部部局において、一般開放した自衛隊病院が作成した届出書等の内容を確認した上で、自衛隊病院の開設者である防衛大臣(19年1月8日以前は防衛庁長官)名で行われることとなっている。
防衛省では、自衛隊病院において、患者から信頼される安全で質の高い医療を提供するために、看護実践能力の向上等看護サービスの充実、向上を図っている。
そこで、一般開放した前記の5自衛隊病院において、18年度に社会保険診療報酬支払基金等に請求した診療報酬の額計15億4780万余円を対象として会計実地検査を行った。
検査に当たっては、効率性等の観点から、自衛隊病院が看護職員の配置に見合った適切な入院基本料の区分により診療報酬を請求しているかに着眼して、地方社会保険事務局長に提出した入院基本料の届出書の添付書類に記載された看護職員の数を確認するとともに、18年度各月の看護職員の実際の配置状況等の報告を求め、その報告の内容を確認するなどの方法により検査を行った。
検査したところ、前記の5自衛隊病院のうち、自衛隊中央病院、自衛隊札幌病院及び自衛隊福岡病院について、一般病棟の入院基本料の算定に当たり、実際の看護職員の配置状況からみて、7対1入院基本料の基準に該当しているにもかかわらず、この区分よりも診療点数の低い10対1入院基本料(自衛隊中央病院)及び13対1入院基本料(自衛隊札幌病院及び自衛隊福岡病院)の届出が行われ、これに基づき当該3自衛隊病院では、この区分により診療報酬を算定し、請求していた事態が見受けられた。
自衛隊中央病院について、平成18年4月の診療報酬改定の際、17年度まで診療報酬として算定し請求してきた入院基本料の区分に相当する10対1入院基本料の届出が行われ、これに基づき自衛隊中央病院では、18年度以降、この区分により診療報酬を算定し、請求していた。
しかし、この10対1入院基本料の届出書の添付書類に記載された18年3月の看護職員の数をみると、7対1入院基本料の届出に必要な1日当たりの看護職員の数が61人に対し、月平均1日当たりの看護職員の数が100.9人となっているなど、18年4月に新たに設けられた7対1入院基本料の基準に該当していた。そして、18年度各月の看護職員の配置状況等をみると、いずれの月においても7対1入院基本料の届出に必要な1日当たりの看護職員の数を上回る看護職員の配置状況等となっていた。
このように、前記の3自衛隊病院について、一般病棟の入院基本料の算定に当たり、7対1入院基本料の基準に該当しているにもかかわらず、この区分による届出が行われず、3自衛隊病院が看護の実態に即した適正な診療報酬を算定し請求していない事態は適切とは認められず、改善を図る必要があると認められた。
前記の3自衛隊病院について、7対1入院基本料の届出が行われていたとすれば、一般病棟の入院基本料に係る診療報酬の請求額は、18年度の入院基本料に係る診療報酬の請求額計2億6047万余円に比べ計6041万余円増加したと認められた。
このような事態が生じていたのは、防衛省において、入院基本料の届出に当たり、看護職員の数等から判断される入院基本料の区分についての検討が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、防衛省では、19年9月に、陸上幕僚長等に対して通知を発し、届出書の作成に当たっては自衛隊病院において看護職員の数等から判断される看護の実態に即した入院基本料の区分を選択するよう周知徹底するとともに、前記の3自衛隊病院に係る一般病棟の入院基本料について、各地方社会保険事務局長に対し所要の変更の届出を行い、看護の実態に即した適正な診療報酬を算定し請求するための処置を講じた。