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  • 平成20年度|
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  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

新設等工事により取得するなどした国有財産等を国有財産台帳等に適切に記録するよう適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたもの


(1) 新設等工事により取得するなどした国有財産等を国有財産台帳等に適切に記録するよう適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたもの

会計名 一般会計      
部局等 内閣府本府      
国有財産等の分類 国有財産
 
(分類)行政財産  (種類)公用財産  (区分)立木竹
     (区分)建物
     (区分)工作物
物品    
(分類)庁用品  (細分類)備品  (品目)通信機器
新設等工事によ
り取得するなど
した国有財産等
の概要
施設の新設、修繕、取壊し等や設備の設置、更新、撤去等の工事により取得するなどした国有財産及び物品
平成19年度に
取得するなどし
た国有財産等の
価格の基礎とな
る工事費
    69億1889万余円  
国有財産台帳等
に記録されてい
なかった国有財
産等の件数及び
価格
国有財産      
 増額分 178件 47億8491万円  
 減額分 6件 574万円  
物品 161件    
 うち重要物品 106件 11億1142万円  

【適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたものの全文】

  新設等工事により取得するなどした国有財産等の国有財産台帳等への記録について

(平成21年7月29日付け 内閣総理大臣あて)

 標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。

1 新設等工事及び財産管理の概要

(1) 新設等工事の概要

 貴府本府(沖縄総合事務局を除く。以下同じ。)は、内閣総理大臣官邸、庁舎、迎賓館等多数の施設を財産として管理している。そして、貴府本府は、施設の新設、修繕、取壊し等や設備の設置、更新、撤去等の工事(以下「新設等工事」という。)について、大臣官房会計担当参事官(以下「会計担当参事官」という。)等が支出負担行為担当官(分任官を含む。以下同じ。)として請負業者と工事契約を締結して実施しているほか、官公庁施設の建設等に関する法律(昭和26年法律第181号)に基づき、国土交通省に委任して実施している(以下、この工事を「支出委任工事」という。)。

(2) 貴府本府における国有財産及び物品の管理

 貴府本府に属する国有財産については、国有財産法(昭和23年法律第73号)等に基づき、大臣官房会計課長(以下「会計課長」という。)が国有財産部局長として管理している。
 国有財産部局長は、国有財産法第32条等の規定に基づき、その所属に属する国有財産内について、国有財産の分類及び種類ごとに、区分及び種目、所在、数量、価格、得喪変更の年月日等を記録した国有財産台帳を備えて管理することとされており、国有財産の取得、処分等があった場合には、直ちにこれを国有財産台帳に記録することとされている。そして、建物等の新築等の場合や、模様替等により建物等の価格等に変動があった場合は国有財産台帳に記録するが、単なる減耗回復のための工事の場合は、国有財産台帳に記録する必要はないとされている。
 また、貴府本府に属する物品については、物品管理法(昭和31年法律第113号)等に基づき、会計担当参事官が物品管理官として管理している(特定の部局で使用する物品について当該部局の職員を物品管理官としている場合等を除く。)。
 物品管理官は、物品管理法第36条等の規定に基づき、その管理する物品について、物品の分類、細分類及び品目ごとに、物品の増減等の異動数量、現在高その他物品の異動に関する事項等を物品管理簿に記録することとされており、このうち物品管理法施行令(昭和31年政令第339号)で定める重要な物品(以下「重要物品」という。)については、その取得価格も記録することとされている。

(3) 新設等工事における国有財産台帳及び物品管理簿への記録の手続の概要

 貴府本府では、会計担当参事官等が支出負担行為担当官として請負業者と新設等工事の契約を締結して実施する場合は、実施請求元である部局が、実施決裁(工事名、工事の概要、概算見込額等を記載してその実施の了解を得るための決裁)文書を作成して、工事契約に関する事務を所掌する部署である大臣官房会計課(以下「会計課」という。)営繕係等に回付してその確認を受けた後に、会計課長の決裁を受けることになっている(日本学術会議及び迎賓館京都事務所においては、それぞれの部局において実施決裁を行う。)。そして、実施請求元である部局は、国有財産の管理に関する事務を所掌し国有財産台帳への記録の事務を行う部署である会計課管財係にも実施決裁文書を回付することになっている。
 管財係は、上記の実施決裁文書の回付を受けた場合は、これにより工事の実施見込を把握しておき、工事しゅん功後に、営繕係等から請求書、見積書等の基礎資料を収集し当該基礎資料に基づいて国有財産台帳に記録すべき事項を整理して、国有財産部局長である会計課長の決裁を得た上で、取得するなどした国有財産を国有財産台帳に記録することになっている。
 一方、支出委任工事の場合は、工事がしゅん功して財産の引渡しを受けた後に、国土交通省から、国有財産の区分及び種目、所在、数量、価格等を記載した国有財産目録の送付を受け、管財係において、当該目録に基づいて上記と同様の手続を経て当該国有財産を国有財産台帳に記録することになっている。
 また、物品を取得しようとするときは、当該物品を取得しようとする部局の物品供用官から物品管理官に物品請求書を提出することになっている。ただし、その物品が高額なものや特殊なものである場合は、各部局が物品名、概算見込額等を記載した実施決裁文書を作成して会計課長等の決裁を受けた後に、これを行うことになっている。そして、物品管理官は、支出負担行為担当官等に対して取得のために必要な措置を請求することとされている(物品管理官が支出負担行為担当官等を兼ねる場合にはこの請求を省略することができることとされている。)。そして、支出負担行為担当官等が物品取得のための契約を締結して物品が納入されると、物品の管理に関する事務を所掌し物品管理簿への記録の事務を行う部署である会計課用度係等が、請求書、納品書等の資料に基づいて取得した物品を物品管理簿に記録することになっている。

(4) 国有財産及び物品の現況の報告

 各省各庁の長は、国有財産台帳及び物品管理簿(以下、これらを合わせて「国有財産台帳等」という。)に基づき、その所管に属する国有財産及び所有する重要物品について、毎年度、年度間の増減及び年度末の現在額の報告書である「国有財産増減及び現在額報告書」及び「物品増減及び現在額報告書」を作成して、翌年度の7月31日までに財務大臣に送付しなければならないこととされている。これらの報告書に基づき、財務大臣は、「国有財産増減及び現在額総計算書」及び「物品増減及び現在額総計算書」を作成することとされている。そして、内閣は、国有財産については「国有財産増減及び現在額総計算書」を、また、物品については「物品増減及び現在額総計算書」に基づく物品の増減及び現在額を、それぞれ国会に報告することとされている(以下、これらの国会に報告されるものを「国有財産等報告書」という。)。

2 本院の検査結果

(検査の観点及び着眼点)

 国有財産台帳等は、国有財産及び物品(以下、これらを合わせて「国有財産等」という。)を適切に管理するための帳簿であり、新たに国有財産等を取得するなどした場合は、国有財産法又は物品管理法に従って国有財産台帳等に記録する必要がある。また、国有財産等報告書は、国有財産等の現況を国会及び国民に対して明らかにするという性格を有するものとされている。
 そして、国有財産台帳等への記録を適切に行うためには、国有財産台帳等に記録するための事務手続を行う前記の各関係部局等の間で新設等工事に係る必要な情報が的確に伝達されて、遺漏なくその後の事務処理が行われる必要がある。
 そこで、正確性、合規性等の観点から、新設等工事により貴府本府が平成19年度に取得するなどした国有財産等が国有財産台帳等に適切に記録されているか、また、そのための関係部局等の間の連携が十分に図られているかなどに着眼して検査した。

(検査の対象及び方法)

 本院は、貴府本府において会計実地検査を行った。そして、19年度にしゅん功した国有財産等に係る新設等工事のうち、単なる減耗回復のための工事等を除く90工事、工事費計69億1889万余円により貴府本府が19年度に取得するなどした国有財産等を対象として、契約書、国有財産台帳等の書類により検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。

ア 新設等工事により取得するなどした国有財産が国有財産台帳に記録されていないもの

国有財産の件数及び価格  増額分  178件  47億8491万余円
   減額分  6件  574万余円

 前記90工事のうち85工事(工事費計55億3886万余円)は施設の新設、修繕、取壊し等を行うもので、貴府本府は、これらの工事により新たに取得するなどした建物、工作物等の国有財産を、国有財産法に従い国有財産台帳に記録する必要があった。
 しかし、貴府本府が自ら実施する工事について、実施請求元である部局から管財係に新設等工事に関する情報が確実に伝達されていなかったり、支出委任工事について、管財係が国土交通省から国有財産目録の送付を受けているのに、国有財産台帳に記録するために必要なその後の事務処理が行われていなかったりしていた。このため、これらの工事により取得するなどした国有財産はいずれも国有財産台帳に記録されないままとなっていた。

<事例>

 貴府本府は、平成17年度に、有明の丘基幹的広域防災拠点(注1) 施設の整備工事(建築工事、電気設備工事等計6工事、貴府本府負担分工事費計30億3545万余円)を支出委任工事として実施している。そして、20年3月にしゅん功し、その後国土交通省からこれらの工事に係る国有財産目録の送付を受けているのに、管財係において、当該目録に基づいて国有財産台帳に記録すべき事項を整理して会計課長の決裁を得るなどの事務処理が行われておらず、当該工事により取得した建物、照明装置、冷暖房装置、通信装置等の国有財産41件、計30億2074万余円が国有財産台帳に記録されないままとなっていた。

 基幹的広域防災拠点  広域あるいは甚大な被害に対して、国及び地方公共団体が協力して応急復旧活動を行うとともに、平常時には公園として利活用される防災活動の拠点

イ 新設等工事により取得するなどした物品が物品管理簿に記録されていないもの

物品の件数    161件  
うち重要物品の件数及び価格増額分  増額分  106件  11億1142万余円

 前記90工事のうちアの工事を除く5工事(工事費計13億8003万余円)は中央防災無線網(注2) を整備するもので、その工事費の大部分は多重無線通信装置等の通信機器の購入費であった。そして、貴府本府は、これらの工事により新たに取得するなどした物品を、物品管理法に従い物品管理簿に記録する必要があった。
 しかし、実施請求元の部局は、一般の工事契約と同様に営繕係には本件工事契約の実施決裁文書を回付したものの、同部局の物品供用官から物品管理官に物品請求書を提出するなどの物品取得に必要な手続を行っていなかった。このため、用度係は物品を取得することを把握しておらず、本件工事により取得した物品は物品管理簿に記録されないままとなっていた。
 さらに、前記5工事のうち4工事により撤去された更新前の物品について物品管理簿に減の記録がなされておらず、その詳細が確認できない状況となっている。

 中央防災無線網  災害発生時の早期警戒情報、被害状況、対応状況等の集約と共有を図るため、国の機関と公共公益機関、都道府県を結ぶ無線通信網

(是正及び是正改善を必要とする事態)

 上記のとおり、貴府本府において、国有財産台帳等に記録するための事務処理体制が十分でなかったことなどから、新設等工事により新たに取得するなどした国有財産等の国有財産台帳等への記録が適切に行われておらず、その結果、国有財産等報告書が国有財産等の現況を正しく反映したものとなっていない事態は適切とは認められず、是正及び是正改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

 このような事態が生じているのは、貴府本府において、次のとおり、国有財産台帳等の記録に関する業務の適正性を確保するための内部統制が十分に機能していなかったことなどによると認められる。

ア 新設等工事により取得するなどした国有財産等について、事務処理の状況を適切に管理して適時適切に国有財産台帳等に記録するための具体的な事務手続が明確に定められていないなど、国有財産台帳等の記録に関する事務処理体制が十分でなかったこと

イ 国有財産等を取得するなどの際に、関係部局等において必要な事務手続が周知されていなかったり、関係部局等相互の連携が十分に図られていなかったりしたこと

3 本院が要求する是正の処置及び求める是正改善の処置

 国有財産台帳等は、国有財産等を適切に管理するための基本的な帳簿であり、これらを基に毎年度作成される国有財産等報告書が国有財産等の現況を国会及び国民に対して明らかにするという性格を有するものとされていることから、適時適切に記録されることが重要である。
 ついては、貴府本府において、新設等工事で取得するなどした国有財産等の適切な管理を行うよう、アのとおり是正の処置を要求し並びにイ及びウのとおり是正改善の処置を求める。

ア 新設等工事により19年度に取得するなどした国有財産等で国有財産台帳等に記録されていない国有財産等については、速やかに国有財産台帳等に記録するとともに、新設等工事により18年度以前及び20年度以降に取得するなどした国有財産等についても国有財産台帳等に正確に記録されているか調査の上、記録漏れなどがあったときは当該財産を速やかに国有財産台帳等に正確に記録すること
イ 新設等工事により取得するなどした国有財産等について、事務処理の状況を適切に管理して適時適切に国有財産台帳等に記録するための具体的な事務手続を明確に定めるなど、国有財産台帳等に正確な記録が行われるよう事務処理体制を整備すること
ウ イにおいて整備した事務処理体制に基づいて事務処理が確実に実行されるよう、関係部局等に周知するとともに、関係部局等が相互に十分な連携を図るよう指導すること