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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの|
  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でないもの

共用部分の整備費用を案分していなかったなどのため、交付金が過大になっているもの


 共用部分の整備費用を案分していなかったなどのため、交付金が過大になっているもの

(1件 不当と認める国庫補助金 15,817,917円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(494) 鹿児島県 大島郡伊仙町 まちづくり交付金
(地域生活基盤施設等)
17〜21 1,439,000
(1,439,000)
798,800 29,632
(29,632)
15,817

 この交付金事業は、伊仙町が、伊仙地区において、都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)等に基づいて、平成17年3月に策定した都市再生整備計画(以下「整備計画」という。)により、17年度から21年度までの5年間に、基幹事業として地域交流センター、道路、広場等の整備を、また、提案事業として健康増進施設、公設市場等の整備を行っているものである。このうち、基幹事業の地域交流センターと提案事業の健康増進施設は、合体して整備する施設となっている。
 上記の基幹事業とは、整備計画の目標を達成するために必要な施設等の整備事業とされ、国土交通省が従来、個別の補助制度において支援してきた道路、公園、下水道等の公共施設のほか、地域交流センター等がこの事業の対象となっている。また、提案事業とは、基幹事業と一体となってその効果を増大させるために必要な事務又は事業で、市町村の自由な発想・提案に基づいて地域の実情を反映した幅広い事業の実施が可能となっていて、個別の補助制度がない施設や、既存の補助制度の採択基準を満たしていない施設をこの事業の対象にできることとなっている。
 そして、交付金の交付限度額は、まちづくり交付金交付要綱(平成16年国都事第1号、国道企第6号、国住市第25号国土交通事務次官通知。以下「交付要綱」という。)により、各市町村の整備計画における全体の交付対象事業費に対する提案事業の交付対象事業費の割合(以下「提案事業割合」という。)が28%以下の場合は、当該全体の交付対象事業費に10分の4を乗じた額となっている。一方、提案事業割合が28%を超える場合は、基幹事業の交付対象事業費に9分の5を乗じた額となっている。
 本件交付金事業においては、整備計画における全体の交付対象事業費2,690,000,000円のうち、基幹事業の交付対象事業費を1,439,000,000円、提案事業の交付対象事業費を1,251,000,000円とし、提案事業割合が28%を超えることから、同町は、交付限度額は基幹事業の交付対象事業費に9分の5を乗じた799,000,000円であるとして、この範囲内の交付金798,800,000円の交付又は交付決定を受けていた。
 そして、同町は、上記全体の交付対象事業費を基幹事業と提案事業に区分するに当たって、合体の施設として17年度から20年度までの間に整備した基幹事業の地域交流センターと提案事業の健康増進施設の整備費用のうち、建物内の風除室、エントランスホール、受付、事務室等の共用部分の整備費用は、基幹事業、提案事業それぞれの専用延床面積の割合により案分して算出する一方、建物外の外構、駐車場及び浄化槽の整備費用については、その全額計83,242,486円を基幹事業の交付対象事業費としていた。
 しかし、上記の外構、駐車場及び浄化槽は、建物内のエントランスホール、受付等と同様に、地域交流センター及び健康増進施設の両施設の使用者が利用する共用部分として位置付けられることから、その整備費用については、基幹事業と提案事業に案分すべきであったのに、案分せずに全額を基幹事業の交付対象事業費として交付限度額を算定していたのは適切とは認められない。
 したがって、外構、駐車場及び浄化槽の整備費用を、基幹事業、提案事業それぞれの専用延床面積の割合で案分するとともに、その他交付対象事業費の計上誤り等を修正して計算すると、基幹事業の適正な交付対象事業費は1,409,367,750円となり、交付限度額はこれに9分の5を乗じて算出される782,982,083円となることから、前記の交付又は交付決定を受けていた交付金798,800,000円は15,817,917円過大になっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同町において、交付金事業の適正な実施及び経理に対する認識が十分でなかったこと、鹿児島県において、本件交付金事業の審査、確認及び同町に対する指導が十分でなかったことによると認められる。