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  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

財団法人民間都市開発推進機構の土地取得・譲渡業務等に対する国からの無利子貸付金及び補助金について、業務の規模の縮小等に応じて国に償還又は返納させることとするなどして、財政資金の有効活用を図るよう意見を表示したもの


(11) 財団法人民間都市開発推進機構の土地取得・譲渡業務等に対する国からの無利子貸付金及び補助金について、業務の規模の縮小等に応じて国に償還又は返納させることとするなどして、財政資金の有効活用を図るよう意見を表示したもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)国土交通本省 (項)都市環境整備事業費
  都市開発資金融通特別会計(平成20年度以降は、社会資本整備事業特別会計(業務勘定))
      (項)都市開発事業用地取得推進資金貸付金
      (項)都市開発資金貸付金
部局等 国土交通本省
国の貸付け及び補助の根拠 都市開発資金の貸付けに関する法律(昭和41年法律第20号)、予算補助
業務の根拠 民間都市開発の推進に関する特別措置法(昭和62年法律第62号)
土地取得・譲渡業務の概要 民間都市開発事業の用に供される見込みが高い土地を取得して、必要に応じて立ち上げ支援を行った上で、譲渡する業務
事業促進支援業務の概要 取得した土地のうち、特に事業促進の必要性が高いものに対して、事業実施計画の策定等の支援を行う業務
まち再生参加業務円滑化業務の概要 民間都市開発事業に共同事業者として参加することに伴い必要となる市場動向の調査等を行う業務
土地取得・譲渡業務に対する無利子貸付金額
1097億円
(平成20年度末)(背景金額)

事業促進支援業務等における基金造成額等
(1)  事業促進支援基金 200億円 (平成20年度末)
(2)  事業促進支援調整積立金等 16億3493万余円 (平成20年度末)
上記の基金等に対する国庫補助金交付額及び国庫補助金相当額
(1) 150億円 (背景金額)
(2) 12億4130万余円 (背景金額)

【意見を表示したものの全文】

   財団法人民間都市開発推進機構の土地取得・譲渡業務等に対する財政援助の規模等について

(平成21年10月28日付け 国土交通大臣あて)

 標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示する。

1 財団法人民間都市開発推進機構の概要

(1) 財団法人民間都市開発推進機構の業務

 財団法人民間都市開発推進機構(以下「機構」という。)は、民間都市開発の推進に関する特別措置法(昭和62年法律第62号。以下「民都法」という。)等に基づき、民間事業者が行う公共施設の整備を伴う都市開発事業(以下「民間都市開発事業」という。)を推進するために、様々な支援業務を実施している。

ア 土地取得・譲渡業務

 機構が行う支援業務のうち、土地取得・譲渡業務は、平成6年3月に創設されたものであり、機構が民間都市開発事業の用に供される見込みが高い土地(以下「事業見込地」という。)を土地所有者(以下「売主」という。)の申出により取得して、10年間を限度とする保有期限を定めて当該事業見込地における民間都市開発事業の企画・立案等の立ち上げ支援を必要に応じて行った上で、期限内に民間都市開発事業を施行する者(以下「事業施行者」という。)に譲渡するものである。そして、事業施行者は、一般的には売主であるが、信用力のある第三者でもよいとされている。
 そして、この業務における事業見込地の取得は、民都法の改正による2度の延長を経て16年度までとされており、機構はそれまでに取得した事業見込地を保有期限が到来するまでに順次譲渡することになっている。

イ 事業促進支援業務及びまち再生参加業務円滑化業務

 支援業務のうち、事業促進支援業務は、11年度に創設されたものであり、機構が取得した事業見込地のうち、特に事業促進の必要性の高いものを対象として、事業実施計画の策定や事業化に向けた調査等を行うものである。
 また、支援業務のうち、まち再生参加業務円滑化業務は、17年度に創設されたものであり、既存建築物の改築等の案件について、機構が民間都市開発事業の施行に要する費用の一部を負担して当該事業に共同事業者として参加することに伴い必要となる市場動向の調査等を行うものである。

(2) 国の財政援助

 国は、機構が行うこれらの支援業務に対して、無利子貸付金の貸付け、国庫補助金の交付等の財政援助を行っている。

ア 土地取得・譲渡業務に対する無利子貸付金の貸付け

 国は、都市開発資金の貸付けに関する法律(昭和41年法律第20号。以下「都市開発資金法」という。)に基づき、5年度から11年度までの間に、一般会計から計1097億円を都市開発資金融通特別会計(20年度以降は社会資本整備事業特別会計(業務勘定))に繰り入れ、同特別会計から機構に対して同額を無利子で貸し付けている。そして、機構は、この運用によって得た資金を土地取得・譲渡業務に係る事務の管理及び運営に要する費用(以下「事務費」という。)に充てている。

イ 事業促進支援業務及びまち再生参加業務円滑化業務に対する国庫補助金の交付

 国は、都市再生推進事業制度要綱(平成12年建設省経宅発第37—2号、建設省都計発第35—2号、建設省住街発第23号建設省建設経済局長、都市局長、住宅局長通知。以下「制度要綱」という。)に基づき、機構が設置する事業促進支援基金及びまち再生参加業務円滑化基金の財源として国庫補助金を交付している。そして、機構は、その運用によって得た資金を前記の業務を行うために必要な費用に充てている。20年度末現在の基金残高は、事業促進支援基金200億円(うち国庫補助金150億円)、まち再生参加業務円滑化基金37億円(同37億円)となっている。
 なお、国は、事業促進支援基金について、「補助金等の交付により造成した基金の見直しについて」(平成20年12月24日行政改革推進本部決定)に従い、交付した国庫補助金150億円のうち90億円を21年度に機構から返納させることとしている。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 機構が行う支援業務に対する国の財政援助は多額に上っており、本院は、平成15年度決算検査報告において、土地取得・譲渡業務について、業務運営の合理化や経費の削減等により財務基盤の一層の強化を図ることが望まれる旨を、「特定検査対象に関する検査状況」として掲記したところである。その後、この業務において、事業見込地の取得期限を延長しておらず、業務の規模等が変化してきている。
 そこで、経済性、効率性、有効性等の観点から、機構に対する財政援助の規模が業務量や所要経費に照らして適切なものとなっているかなどに着眼して、貴省及び機構において、機構が行う支援業務を対象に、その実施状況や収支状況等について、事業計画、決算報告書等の関係書類の提出を受けるなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 土地取得・譲渡業務に係る無利子貸付金について

ア 無利子貸付金の規模

(ア) 土地取得・譲渡業務の実施状況

 各年度の土地取得・譲渡業務の実績は表1のとおりであり、各年度末における機構の事業見込地の保有件数についてみると、12年度をピークに減少してきており、業務の規模が縮小してきている。そして、今後は、20年度末で保有している14件の事業見込地を順次譲渡していくことになっており、更に業務の規模は縮小していくことになる。

表1 各年度の土地取得、譲渡及び保有状況の実績
年度 土地取得 譲渡 保有
件数 面積(ha) 金額(千円) 件数 面積(ha) 金額(千円) 件数 面積(ha)
平成 6年度 4 0.8 31,406,000 4 0.8
7年度 10 12.9 61,563,000 14 13.7
8年度 26 22.8 119,534,247 40 36.6
9年度 30 59.6 130,054,300 1 1.7 1,851,653 69 94.5
10年度 92 177.9 375,818,000 0 1.1 558,341 161 271.3
11年度 21 30.2 149,764,000 12 11.8 25,062,701 170 289.8
12年度 14 18.7 55,820,000 13 26.3 55,646,700 171 282.2
13年度 8 4.7 27,986,000 30 33.1 129,330,311 149 253.8
14年度 11 6.9 18,410,000 16 19.4 61,126,000 144 241.3
15年度 6 2.3 49,340,000 31 32.1 141,896,480 119 211.5
16年度 5 3.3 26,770,000 25 38.6 135,262,500 99 176.2
17年度 27 39.3 138,755,325 72 137.0
18年度 28 59.0 187,990,600 44 78.4
19年度 16 31.0 85,778,423 28 47.4
20年度 14 30.0 70,274,700 14 15.0
合計 227 340.6 1,046,465,547 213 324.0 1,033,533,738
注(1)
 事業見込地を複数回に分割して譲渡している場合には、譲渡の件数は、譲渡が完了した年度で集計し、譲渡の面積及び金額は、各譲渡が行われた年度ごとで集計している。

注(2)
 上記の注(1)により、譲渡の件数の合計には、事業見込地の一部を譲渡した2件は含まれない。

注(3)
 各項目において端数整理のため、合計が一致しないことがある(以下の表においても同じ。)。

(イ) 無利子貸付金の運用収入と事務費の支出

 機構における無利子貸付金の運用収入額及び事務費支出額の推移は表2のとおりであり、5年度から11年度までは土地取得等の業務量の増加に伴い、事務費支出額も増加して、ピークの11年度では15億3001万余円で、この間の運用収入額に対する事務費支出額の割合はおおむね50%前後となっていた。
 一方、12年度以降は、業務量の減少に伴い、事務費支出額も減少傾向となり、事業見込地の取得が終了した翌年の17年度までは10億円を超えていたものの、18、19両年度は7億円台、20年度は5億円台で、この間の運用収入額に対する事務費支出額の割合は30%台に低下している。

表2 無利子貸付金運用収入額及び事務費支出額の推移
(単位:千円、%)

年度 平成 5年度 6年度 7年度 8年度 9年度 10年度 11年度 12年度
無利子貸付金残高 29,100,000 29,100,000 81,400,000 81,400,000 81,400,000 107,600,000 109,700,000 109,700,000
無利子貸付金運用収入額(a) 10,601 815,903 1,170,121 2,430,102 2,859,240 2,766,393 3,064,170 3,246,269
事務費支出額(b) 5,621 405,964 602,223 921,222 1,013,484 1,429,257 1,530,012 1,126,127
事務費充当割合(b/a) 53.0 49.7 51.4 37.9 35.4 51.6 49.9 34.6
年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
無利子貸付金残高 109,700,000 109,700,000 109,700,000 109,700,000 109,700,000 109,700,000 109,700,000 109,700,000
無利子貸付金運用収入額(a) 3,228,825 3,105,372 3,103,221 3,301,443 2,595,201 2,159,535 1,877,349 1,873,355
事務費支出額(b) 1,052,913 1,114,252 1,062,790 1,386,954 1,024,256 749,438 717,468 572,174
事務費充当割合(b/a) 32.6 35.8 34.2 42.0 39.4 34.7 38.2 30.5

 そして、21年度以降は、保有する14件の事業見込地を譲渡することになっており、これに伴って事務費支出額も減少していくことが見込まれる。

(ウ) 無利子貸付金の運用収入に係る積立金と譲渡損失の処理

 機構は、保有している事業見込地の災害等不測の事態に備えるための財源として推進事業運営準備積立金を設けて、各年度の無利子貸付金の運用収入から事務費を支出した残額等のうち翌年度の資金収支に支障のない金額をこの積立金に繰り入れることにしている。そして、売主等が経営破綻したため、事業見込地を第三者に時価で譲渡したことにより、機構に譲渡損失(時価が簿価より著しく下落した場合の強制評価減による損失を含む。以下同じ。)が発生したものが、11年度以降20年度までの間に11件、計241億余円あり、この処理に積立金等を充てていて、20年度末における積立金残高は3億余円となっている。
 そして、機構は、20年度末において、保有している事業見込地14件に係る譲渡損失の引当所要額を金融庁が公表している金融検査マニュアルを基に67億余円と算出しているが、今後、事業見込地の譲渡に伴い、譲渡損失の引当所要額が減少することが見込まれる。

 上記(ア)から(ウ)のことから、今後、前記の積立金残高が増加するなどして、これまでほど多額の無利子貸付金の運用収入を必要とせず、無利子貸付金の規模が過大になることも考えられる。したがって、適時適切に、事務費や譲渡損失の処理費用(以下「事務費等」という。)の所要見込額を精査の上、無利子貸付金の規模を見直し、必要のない貸付金の償還を図る必要がある。

イ 無利子貸付金の償還、運用収入の残額の取扱い及び帰属

(ア) 無利子貸付金の償還

 この無利子貸付金は、都市開発資金法において、土地取得・譲渡業務を廃止したときは、国に償還しなければならないとされていて、その償還方法、償還期限の繰上げその他償還に関し必要な事項は政令で定めるとされているものの、政令等に償還の規定が定められておらず、現状では、業務が廃止される前に償還できるかなどが明確になっていない。
 しかし、業務廃止前の償還等の取扱いが明確でないために、前記アの見直しの結果、必要な規模を超える無利子貸付金があるときに、償還されずに貸し続けられることは適切でないと認められる。

(イ) 無利子貸付金の運用収入の残額の取扱い及び帰属

 無利子貸付金の運用収入から事務費を支出した残額は、前記のとおり、機構において、積立金に繰り入れるなどしているが、その取扱いについては、都市開発資金法や財団法人民間都市開発推進機構寄附行為(以下「寄附行為」という。)等の規定では、明確になっていない。また、業務を廃止したときの残余の額の帰属については、寄附行為では、残余の額のうち、国土交通大臣が定める額を国に寄附するものとするとしか規定されていないので、運用収入から事務費等を支出した残額が、この残余の額に該当するかどうか明確になっていない。
 しかし、当該運用収入は、無利子貸付金から生じた果実で、使途が限定されたものであることなどから、運用収入から事務費を支出した残額について、積立金に繰り入れるなどの取扱いを明確にして、また、業務廃止時には事務費等を支出した残額の全額を国庫に納付させることとするのが適切と認められる。

(2) 事業促進支援業務及びまち再生参加業務円滑化業務に係る基金について

ア 事業促進支援基金の規模

 事業促進支援基金の運用収入額と事業促進支援業務の支出額の推移は表3のとおりであり、12年度以降の支出額は、525万余円から8327余円で、ほとんどの年度において支出額が運用収入額の30%を下回り、執行状況が低調に推移している。

表3 無利子貸付金運用収入額及び事務費支出額の推移
(単位:千円、件、%)

年度 平成  
11年度
12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 合計
基金残高 8,000,000 12,000,000 12,000,000 12,000,000 12,000,000 16,000,000 20,000,000 20,000,000 20,000,000 20,000,000
残高に対する国庫補助金額 6,000,000 9,000,000 9,000,000 9,000,000 9,000,000 12,000,000 15,000,000 15,000,000 15,000,000 15,000,000
基金運用収入額(a) 7,510 139,763 177,628 198,551 198,562 199,198 209,805 288,031 295,710 306,027 2,020,790
支援件数 6 4 3 1 2 7 10 8 7 48
支出額(b) 3 69,409 43,052 20,911 5,250 6,511 66,738 83,272 71,253 79,865 446,269
割合(b/a) 0.0 49.6 24.2 10.5 2.6 3.2 31.8 28.9 24.0 26.0

 また、機構は、各年度の基金の運用収入から事業促進支援業務で支出した残額のうち翌年度の資金収支に支障のない金額を事業促進支援調整積立金に繰り入れることにしており、同積立金の20年度末の残高は15億余円となっている。
 これに対して、機構が20年度末で保有している事業見込地14件のうち、今後、事業促進支援業務の支援を要する案件は最大でも6件となっている。そして、当該基金については、21年度に国庫補助金90億円を国に返納することになっているが、今後の事業促進支援業務の支出額は、貴省における21年度から23年度までの見込額3億6000万円に、24年度から事業見込地の保有期限が到来する26年度までの3年分を同額と見込んで加算しても計7億2000万円と試算される。このため、今後の事業促進支援業務の支出額について積立金から充当したり、基金の一部を残してその運営形態を運用型(注1) から取崩し型(注2) に変更したりすることにより、国への更なる返納が可能であると認められる。
 したがって、今後の事業促進支援業務の所要見込額を賄うのに必要な範囲を超えて基金や積立金を保有し続けることは適切でないと認められる。

 運用型  基金を費消せず、その運用益を基金事業の財源に充てる運営形態のことをいう。

 取崩し型  基金を基金事業の財源に充てることにより、基金が費消される運営形態のことをいう。

イ 基金の運用収入の残額の取扱い及び帰属

(ア) 事業促進支援基金の運用収入の残額の取扱い及び帰属

 事業促進支援基金の運用収入の残額については、前記のとおり、積立金に繰り入れるなどしているが、その取扱いについては、制度要綱等では明確になっていない。また、業務を廃止したときの残余の額の帰属については、制度要綱等では、基金に残余があるときは残余の額のうち国庫補助金相当額を納付しなければならないなどとしか規定されていないので、運用収入の残額が、この残余の額に該当するかどうか明確になっていない。
 しかし、当該運用収入の残額(20年度末現在15億7452万余円)も、基金から生じた果実で、使途が限定されたものであることなどから、その残額について、基金に繰り入れるなど取扱いを明確にして、また、業務廃止時には、基金の残額と同様、運用収入の残額の全額の国庫補助金相当額(20年度末現在11億8089万余円)を国庫に納付させることとするのが適切と認められる。

(イ) まち再生参加業務円滑化基金の運用収入の残額の取扱い及び帰属

 まち再生参加業務円滑化基金については、運用型の基金としてその規模は現状では相応のものと認められるが、まち再生参加業務調整積立金に繰り入れることにしている各年度のまち再生参加業務円滑化基金の運用収入からまち再生参加業務円滑化業務で支出した残額(20年度末現在6041万余円)の取扱い及び帰属について、上記の事業促進支援基金における運用収入の残額と同様の事態となっていることから、同様の措置を執ることが適切と認められる。

(改善を必要とする事態)

 業務の規模が年々縮小するなどして、無利子貸付金の額が過大になるおそれがあるにもかかわらず、償還方法等が定められていなかったり、今後見込まれる支援業務の支出額を上回る積立金や基金を保有していたりする事態、また、運用収入の残額の取扱い及び帰属が明確でないなどの事態は、現下の財政状況等にかんがみ、財政資金の有効活用の面から適切とは認められず、改善の要があると認められる。

(発生原因)

 このような事態が生じているのは、貴省において、次のように検討が十分でないことなどによると認められる。
ア 無利子貸付金について、土地取得・譲渡業務の規模の縮小に対応して業務廃止前の償還や運用収入の残額の取扱い及び帰属について明確にすることの検討が十分でないこと
イ 事業促進支援基金について、今後の支援業務の所要見込額等を踏まえた検討が十分でないこと
ウ 事業促進支援基金及びまち再生参加業務円滑化基金について、運用収入の残額の取扱い及び帰属について明確にすることの検討が十分でないこと

3 本院が表示する意見

 近年の機構における土地取得・譲渡業務等の規模の縮小等に伴い、前記のとおり、無利子貸付金の規模が過大となるおそれがあったり、国庫補助金により造成されている基金の規模が過大となっていたりなどしている。
 ついては、貴省において、財政資金の有効活用等を図るよう次のとおり意見を表示する。
ア 土地取得・譲渡業務に対する無利子貸付金について、国への随時の償還を可能にする政令等の整備を図るとともに、今後の機構の業務の規模、事務費等の所要額について検討の上、必要のない貸付金の額を国に償還させること、また、運用収入から事務費等を支出した残額について、その取扱いを明確にするとともに、業務廃止時に国庫に納付する旨を明確に規定すること
イ 事業促進支援基金について、今後の要支援件数や支援業務費の所要額について検討の上、積立金を充当したり、基金の運営形態を運用型から取崩し型に変更したりするなどして、必要のない基金の額に係る国庫補助金相当額を国に返納させること
ウ 事業促進支援基金及びまち再生参加業務円滑化基金の運用収入から両基金の支援業務で支出した残額について、その取扱いを明確にするとともに、業務廃止時に国庫に納付する旨を明確に規定すること