会計名 | 一般会計 | |||
エネルギー対策特別会計(平成18年度以前は、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計) | ||||
部局等 | 7地方環境事務所、4自然環境事務所等 | |||
物品の概要 | 地方環境事務所等において国立公園の管理等のために使用する機械及び器具等の物品 | |||
物品管理簿に記録された物品の数量及び価格 | 重要物品 | 324個 | 5億4412万余円 | (平成20年度末) |
一般備品 | 17,148個 | (平成20年度末) | ||
管理等が適正に行われていない物品の数量及び価格 | 重要物品 | 6個 | 531万円 | |
一般備品 | 956個 | 6972万円 | ||
計 | 962個 | 7503万円 |
(平成21年10月23日付け 環境大臣あて)
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。
記
貴省は、自然環境対策、外来生物対策等について、地域の実情に応じた機動的できめ細やかな環境行政を展開するため、平成17年10月から全国に7地方環境事務所(注1)
及び同事務所の管下に12自然環境事務所等を設置している。
そして、これら19事務所及びその管下の自然保護官事務所等は、環境行政の遂行に当たって必要な各種の物品を多数取得し使用して、業務を実施している。
国の物品については、その適正かつ効率的な供用その他良好な管理を図るため、物品管理法(昭和31年法律第113号)、物品管理法施行令(昭和31年政令第339号)等において、各省各庁の長が物品の取得、保管、供用及び処分(以下「管理」という。)を行い、その管理に関する事務の委任を受けた当該各省各庁所属の職員等(以下「物品管理官」という。)が管理事務を行うこととされている。また、各省各庁の長は、必要があるときは、当該各省各庁所属の職員に、物品管理官の事務の一部を分掌させることができる(以下、物品管理官の事務の一部を分掌する職員を「分任物品管理官」といい、物品管理官と合わせて「物品管理官等」という。)こととされている。
物品管理官等は、物品管理簿を備えて、その管理する物品について、物品の分類、品目ごとに、物品の異動数量、現在高その他物品の異動に関する事項及びその他物品の管理上必要な事項を記録することとされており、取得価格が50万円以上の機械及び器具(以下「重要物品」という。)については、その価格も記録しなければならないこととされている。また、物品管理官等は、供用等の必要がない物品について、他の物品管理官等への管理換により適切な処理をすることができないときなどには、これらの物品について不用の決定を行い、売払い又は廃棄等することができることとされている。
そして、各省各庁の長は、定期的に、及び物品管理官等が交替する場合等は随時に、その所管に属する物品の管理について検査しなければならないこととされている。また、各省各庁の長は、その所管する物品を亡失又は損傷したときなどは、財務大臣及び本院に通知しなければならないこと、物品管理官等又は物品を使用する職員が故意又は重大な過失により物品を亡失又は損傷したときなどは、弁償の責めに任じなければならないこととされている。
また、各省各庁の長は、重要物品について、物品管理簿に基づいて、毎会計年度間における増減及び毎会計年度末における現在額の報告書を作成することとされており、この報告書に基づいた物品の現在額等は内閣から国会に報告されている。
貴省は、環境省物品管理取扱規則(平成13年環境省訓令第28号。以下「規則」という。)により、前記19事務所のうち、7地方環境事務所の所長を物品管理官に、4自然環境事務所等(注2)
(以下、7地方環境事務所と合わせて「11事務所」という。)の所長を分任物品管理官にそれぞれ官職指定しており、これらの物品管理官等に物品管理官等が置かれていない自然環境事務所、自然保護官事務所等で使用する物品を含めて管理させている。
そして、貴省は、規則等により、原則として取得価格が5万円以上の物品(以下、このような物品のうち重要物品以外の物品を「一般備品」という。)を物品管理簿に記録して管理することとしている。また、物品管理官等は、物品を亡失又は損傷したときなどは、所定の手続を経て環境大臣に報告しなければならないこと、物品管理官等に対する定期検査は、毎年度末現在で行うことなどとされている。
7地方環境事務所 北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州各地方環境事務所
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4自然環境事務所等 釧路、長野、那覇各自然環境事務所及び高松事務所
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貴省は、17年10月の11事務所の設立に当たり、多数の物品の管理換を行っている。また、11事務所は、自然保護官等が国立公園の管理等のために野外に持ち出して使用する望遠鏡、双眼鏡、写真機、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ等(以下、これらを合わせて「光学機器等」という。)の物品を多数管理している。
そして、11事務所において、20年度末現在で物品管理簿に記録されている重要物品は324個、価格5億4412万余円、一般備品は17,148個となっている。この一般備品のうち光学機器等は2,165個(うち物品管理簿に価格が記録されるなどしていて価格が判明したもの1,525個、価格1億4672万余円)となっている。
そこで、本院は、正確性、合規性等の観点から、11事務所の設立に当たり物品の管理換が適切に行われているか、物品が適正に管理されているかなどに着眼して検査した。検査に当たっては、11事務所において物品管理簿と保有している重要物品及び一般備品とを突合するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり、重要物品6個、価格531万余円、一般備品956個、価格6972万余円(価格が判明した693個分)、計962個、価格計7503万余円について、適切とは認められない事態が見受けられた。
ア 物品管理簿に記録されている物品の所在が確認できないもの
一般備品 | 232個、 | 価格1254万余円 | (価格が判明した147個分) |
重要物品 | 5個、 | 価格337万余円 | (価格が判明した147個分) |
一般備品 | 720個、 | 価格5683万余円 | (価格が判明した542個分) |
重要物品 | 1個、 | 価格 | 194万余円 |
一般備品 | 4個、 | 価格 | 33万余円 |
平成18年6月に、東北地方環境事務所管下の十和田自然保護官事務所の職員は、事故により重要物品である公用車1台(16年3月取得、物品管理簿の価格194万余円)に損傷を与えていた。しかし、同地方環境事務所の物品管理官は、同年7月に同自然保護官事務所から事故の報告を受けたにもかかわらず、環境大臣に対して損傷の報告を行っていなかった。このため、環境大臣による財務大臣及び本院への損傷の通知や公用車を使用していた職員に対する弁償責任の有無の検討も行われていなかった。
なお、同地方環境事務所は、本件公用車について、物品管理簿の価格を上回る249万余円で修理を行っていた。
上記のように、物品管理簿に記録されている物品の所在が確認できなかったり、取得した物品や現に使用している物品が物品管理簿に記録されていなかったりして、物品の管理が適正を欠き、物品管理簿が物品の現況を反映した正確なものとなっていない事態、物品を亡失又は損傷しているのに、環境大臣に報告していないなどの事態は、物品管理法等に違反するものであり、適切とは認められず、是正及び是正改善を図る要があると認められる。
このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められる。
ア 11事務所において
(ア) 物品管理法等の定めるところに従い、物品の適正かつ効率的な供用その他良好な管理を図るという物品の管理等についての基本認識が欠けていること
(イ) 物品を管理するために必要な事項を物品管理簿に記録したり、物品管理簿を補完する帳簿を作成したりなどしていないこと
(ウ) 物品管理官等に対する定期検査等を適時適切に行っていなかったり、自然保護官事務所等における物品の使用に対する監督が十分でなかったりなど、内部牽制が十分機能していないこと
イ 本省において、物品の管理等の適正化に関する指導監督等が十分でないこと
物品の管理等について、物品管理法等に基づき、適正かつ効率的な供用その他良好な管理を図ることは、物品を使用する職員等による不正使用等の未然防止、組織における適切かつ効率的な業務の遂行等にも資するものである。そして、貴省は、野外に持ち出して使用する光学機器等の物品を多数保有しており、物品の現況を的確に把握し、管理することがより重要となっている。また、物品管理簿は、物品の現在額等の状況を国会及び国民に明らかにするための基礎となる帳簿であり、正確に記録されることが重要である。
ついては、貴省において、11事務所で管理する物品について、適正な管理等を行うよう、次のとおり、是正の処置を要求し、及び是正改善の処置を求める。
ア 本省において
(ア) 地方環境事務所等における物品の亡失又は損傷等の状況を調査させて、環境大臣に報告が行われていないものについては、速やかに報告させ、財務大臣及び本院に通知すること
(イ) 地方環境事務所等の職員に対して、物品の管理等についての基本認識や物品管理法等に定める手続について、マニュアル等を整備するなどして周知徹底するとともに、物品の管理等に関する指導監督等の充実を図ること
イ 11事務所において
(ア) 物品の現況を調査把握して、物品管理簿の記録の修正等所要の手続をとること
(イ) 物品管理簿を補完する帳簿を作成するなどして、物品の管理体制の整備を図るとともに、物品管理官等に対する定期検査等を適切に行うなどして、内部牽制機能の向上を図ること