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  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等|
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第2 独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況について


第2 独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況について

要請を受諾した年月日
平成19年6月12日
検査の対象
全独立行政法人100法人
検査の内容
上記の独立行政法人についての検査要請事項
報告を行った年月日
平成21年9月18日

1 検査の背景及び実施状況

(1) 検査の要請の内容

 会計検査院は、平成19年6月11日、参議院から、国会法第105条の規定に基づき下記事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けた。これに対し同月12日検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその検査の結果を報告することを決定した。

一、 会計検査及びその結果の報告を求める事項
 
(一) 検査の対象
 
 
  全独立行政法人
 
(二) 検査の内容
 
 
  独立行政法人についての次の各事項
 
 
 〔1〕  業務及び財務の状況
 〔2〕  各独立行政法人における契約制度、落札率等入札、契約の状況

(2) 平成17年度決算審査措置要求決議の内容

 参議院決算委員会は、19年6月11日に検査を要請する旨の上記の決議を行っているが、同日に「平成17年度決算審査措置要求決議」を行っている。
 このうち、上記検査の要請に関する項目の内容は、次のとおりである。

1 特殊法人の独立行政法人化等に係る会計処理の透明性の向上について
 
 特殊法人が独立行政法人や株式会社に移行するに当たり、会計基準の変更に伴い発生した欠損金等について、法律に基づき、国からの出資金や貸付金を減少させるなどの会計上の処理が行われることがあるが、その結果として減少した国の資産の額は必ずしも明らかにはなっていない。また、特殊法人等の独立行政法人化により、運営費交付金の使途などに関する国会における財政統制が困難になっている。
 政府は、特殊法人の独立行政法人化等に伴い減少した国の資産の額及び減少した理由について法人別に明確にし、説明責任を果たすべきである。また、政策金融機関の整理・統合に当たっては、会計基準の変更に伴い発生する欠損金を国の資産により手当てすることに慎重であるべきであり、今後、これら欠損金について措置を講じた場合は、その内容を本委員会に報告すべきである。さらに、独立行政法人化により無償譲渡された政府資産の処分状況を始め、運営費交付金の使途及び剰余金の状況等については、その内容を厳しく精査し、情報公開に努めるべきである。

2 独立行政法人の業務発注に係る契約方式及び事務事業の見直しについて
 
 独立行政法人の業務発注に係る契約方式に関して、随意契約の限度額を国の基準よりも高く設定している法人が数多く見られるほか、一般競争入札方式でありながら落札率100%で発注している例も散見される。
 また、関連法人への天下りが多数に上るほか、それらの関連法人に対し、随意契約で業務を発注している実態が明らかになっている。
 政府は、101独立行政法人すべてを対象に見直しを行い、年内を目途に整理合理化計画を策定することとしているが、このような状況にかんがみ、その業務発注に係る契約方式及び事務事業について徹底した調査、見直しを行うべきである。

(3) 20年次の会計検査の実施状況

 前記の要請により、20年3月末現在の全独立行政法人102法人を対象として、20年次に実施した会計検査の結果は、「独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況に関する会計検査の結果について」の報告書として取りまとめ、20年11月7日に、会計検査院長から参議院議長に対して報告した(以下、この報告を「20年報告」という。)。
 20年報告の検査の結果に対する所見において、本院としては、各独立行政法人が策定した随意契約見直し計画に基づく個別の随意契約の見直し状況に係る検証を中心に引き続き検査を実施して、検査の結果については、取りまとめが出来次第報告することとした。

(4) 21年次の検査における検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、21年次において、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、20年報告の検査の結果に対する所見において引き続き検査を実施することとした、各独立行政法人が策定した随意契約見直し計画に基づく個別の随意契約の見直し状況に係る検証を中心に、契約事務が適切に行われて、公正性、競争性及び透明性が確保されているかなどに着眼して検査を実施した。上記の検査に当たっては、20年報告において入札及び契約の状況について記述した各項目について、その改善又は変化の状況を踏まえつつ実施する必要があることから、各項目のフォローアップ検査も併せて実施した。
 検査は、21年3月末現在における全独立行政法人100法人を対象とした。そして、検査の実施に当たっては、入札、契約の状況について本院が作成及び提出を求めた調書等を在庁して分析するとともに、全独立行政法人に対する会計実地検査を行った。

2 検査の結果

(1) 独立行政法人の契約制度の状況

 独立行政法人の契約事務は、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)等において、競争入札等の契約に関する基本的な事項を業務方法書に定めて主務大臣の認可を受けること及び会計に関する事項について規程(以下「会計規程」という。)を定めて主務大臣に届け出ることが規定されている。そして、独立行政法人の中には、このほか、会計規程に基づくなどして、契約事務に関する細則、要領等を独自に定めているものもある。また、独立行政法人の会計は、国の会計制度とは異なり予算の単年度主義の制約はなく、複数年にわたる契約(以下「複数年契約」という。)を締結することが可能であるなど、独立行政法人の契約制度は、国の制度と相違するだけでなく、法人間でも一律な制度とはなっていない。
 20年報告(20年4月1日現在)では、上記を踏まえて、各独立行政法人の一般競争契約における公告の方法、随意契約の基準、予定価格の作成等に関して留意することが必要な事項等を報告したが、その改善状況等をみるため、検査対象法人100法人について、21年4月1日現在の契約制度の状況を調査、分析した。

ア 競争契約

(ア) 公告の方法

 20年4月1日現在において、公告の方法に関して明確に会計規程等に規定していない法人が4法人、公告期間の下限が国の基準を下回っている法人が45法人あったが、21年4月1日現在では、これらすべての法人が国の基準に準じて規定の整備、見直しを行っている。

(イ) 指名競争契約の基準の設定状況

 20年4月1日現在において、予定価格が少額であることにより指名競争契約によることができるとされる金額の限度額(以下「指名競争契約限度額」という。)を具体的に定めていなかった法人(1法人)は、21年4月1日現在では具体的に定めている。また、指名競争契約限度額を国の金額基準より高額に設定していた法人(11法人)のうち、10法人は国の金額基準に準じて見直しているが、残る1法人は引き続き国の金額基準を上回っている。

イ 随意契約の基準の設定状況

 20年4月1日現在において、随意契約要件が具体的に定められていない条項(以下「包括的随契条項」という。)や公益法人であることのみをもって随意契約を行うことができるとする条項(以下「公益法人随契条項」という。)を設定していた法人の多くは、21年4月1日現在では、会計規程等の改正を行って、これらの規定を廃止するなどしており、包括的随契条項を設定している法人は20年4月1日現在の53法人から7法人に、公益法人随契条項を設定している法人は11法人から2法人にそれぞれ減少している。

ウ 随意契約における競争性及び透明性の確保

 企画競争は、契約の内容によっては価格による競争を実施することが困難な場合において、複数の業者から企画書等を提出させるなどして、その内容や業務遂行能力が最も優れた者を選定する手続であり、選定した者を契約相手方として随意契約(以下、このような随意契約を「企画随契」という。)が締結されることになる。また、公募は、特殊な技術又は設備等が不可欠な契約において、必要な技術又は設備等をホームページ等で具体的に明らかにした上で、参加者を募る手続であり、ほかに履行可能な者がいないか確認するために行われるものである。そして、要件を満たす応募者が複数の場合は一般競争入札又は企画競争が行われることになる。

(ア) 企画競争

 21年4月1日現在で企画競争を導入している法人は、20年4月1日現在の92法人から95法人に増加しており、このうち、企画競争の実施方法に関する要領、マニュアル等を作成済みであるとする法人は、37法人から70法人に増加している。

(イ) 公募

 21年4月1日現在で公募を導入している法人は、20年4月1日現在の70法人から85法人に増加しており、このうち、公募の実施方法に係る要領、マニュアル等を作成済みであるとする法人は、26法人から61法人に増加している。

エ 予定価格の作成

 20年4月1日現在で、原則として予定価格を作成しなければならない旨を会計規程等で明確に規定していなかった3法人は、21年4月1日現在では、いずれもその旨を会計規程等で明確に規定している。
 また、21年4月1日現在で予定価格の作成の省略に関する取扱いを会計規程等に定めている法人は、20年4月1日現在の94法人から98法人に増加しているが、この中には、省略する理由や対象範囲が明確でなく、その妥当性に疑義がある要件を定めている法人が18法人見受けられる。また、予定価格の作成の省略に係る金額基準について、国の金額基準よりも高額に設定している法人は、20年4月1日現在の36法人から1法人にまで減少している(同法人は、21年6月に国の金額基準に準じて見直している。)。

(2) 落札率等の状況を含む入札及び契約全般の状況

ア 独立行政法人における契約全体の状況とその変化

 全独立行政法人の国内のすべての事務所等において締結された支出原因契約(国において少額随契が認められる予定価格以下の契約等は除く。以下「対象契約」という。)は、19年度は件数で9.6万件、支払金額で1.9兆円、20年度(12月まで)は件数で6.9万件、支払金額で0.8兆円(20年12月までに支払われた金額。以下同じ。)となっている。このうち、20年度(12月まで)を前年度同期(19年度(12月まで)分。以下同じ。)と比較すると、件数で7.5%、支払金額で1.8%減少している。

イ 契約方式の状況とその変化

 20年度(12月まで)の対象契約について契約方式の状況をみると、随意契約が件数で57.2%(うち企画競争又は公募を経ない随意契約(不落・不調随契(注1) を除く。以下「企画・公募を経ない随契」という。)36.2%)、支払金額で67.9%(同48.0%)、競争契約が件数で42.7%、支払金額で32.0%となっていて、前年度同期と比較すると、随意契約については、件数割合で17.2ポイント(うち企画・公募を経ない随契28.6ポイント)、支払金額割合で7.2ポイント(同16.5ポイント)低下しているものの、件数、支払金額共に依然として随意契約が競争契約を上回っていて、競争性及び経済性の面でまだ十分ではない状況となっている。
 20年度(12月まで)の対象契約について競争契約の応札者数の状況をみると、応札者が1者のみのもの(以下「1者応札」という。)の割合は件数で42.4%(一般競争契約では48.1%)、支払金額で34.7%(同39.0%)に上っていて、前年度同期と比較すると、件数割合で7.1ポイント、支払金額割合で6.8ポイント上昇している。

 不落・不調随契  競争に付しても入札者がいないとき、又は再度の入札をしても落札者がいないときや、落札者が契約を結ばないときに、随意契約によったものをいう。

ウ 落札率等の状況とその変化

 契約金額の予定価格に対する比率である落札率は、予定価格の妥当性や契約方式の特性等から、その高低だけをもって一律に評価できない面はあるものの、契約の競争性や契約金額の経済性等を評価する際の指標の一つと考えられる。
 20年度(12月まで)の対象契約について契約方式別に平均落札率の状況をみると、競争契約が89.3%であるのに対して、随意契約は97.5%と8.2ポイント高くなっている。また、落札率が99%以上の契約が占める件数割合は、競争契約では30.2%となっているのに対して、随意契約では76.4%となっている。
 さらに、競争契約について応札者数と平均落札率の関係をみると、1者応札の平均落札率(95.7%)は、応札者が複数であるもの(以下「複数応札」という。)の平均落札率(84.0%)を11.7ポイント上回っているなど、競争契約であっても1者応札については、実質的な競争性を確保しにくい状況となっている。

エ 一般競争契約の入札に係る手続の実施状況

 公告の方法、入札の参加に必要な資格、条件等(以下「入札参加要件」という。)の設定及び契約の条件、仕様等を示すための入札説明書、仕様書、設計書等(以下「入札説明書等」という。)の作成等一般競争契約の入札に係る手続の実施状況について、一般競争契約を抽出して検査したところ、公告の周知期間や見積期間の確保が十分でなかったり、入札参加要件が制限的なものとなっていたり、仕様書等の内容が明確になっていなかったりなどしていて、競争性、公正性等の確保に関して検討すべきであったと認められる事態が見受けられた。

(3) 随意契約の実施状況及び随意契約とした理由の妥当性

ア 随意契約の実施状況とその変化

 対象契約のうち20年度(12月まで)の随意契約の件数と支払金額は、39,863件、5565億円となっており、前年度同期と比較すると、件数で28.9%、支払金額で11.2%減少している。このうち、企画・公募を経ない随契は、件数で48.2%、支払金額で27.0%の大幅な減少となっている。
 上記の随意契約のうち、予定価格の作成を省略しているものの件数と割合をみると、11,679件、29.2%となっていて、前年度同期と比較すると、19,591件、26.5ポイントと大きく減少又は低下している。
 また、予定価格の作成を省略している契約のうち、各法人の会計規程等の定めに基づいて予定価格の作成を省略しているものの件数は、7,749件(66.3%)となっていて、前年度同期と比較して14,406件減少している。一方、会計規程等では予定価格の作成を省略できることとされていないのに、これを省略している契約も3,917件見受けられた。

イ 企画競争の実施状況

 対象契約のうち20年度(12月まで)の企画随契の件数と支払金額は、9,892件、1236億円となっており、これを前年度同期と比較すると、件数では77.3%、支払金額では92.2%増加している。
 企画随契についても、競争契約と同様、より多くの事業者が企画競争に参加して、優れた提案が得られるよう適切な競争が行われることが重要である。対象契約のうち20年度(12月まで)の企画随契について企画競争への応募者数の状況を件数割合でみると、応募者が1者のみ(以下「1者応募」という。)の契約は28.2%となっていて、前年度同期と比較すると、10.5ポイント低下しているものの、依然として高い割合となっていて、企画競争において複数の事業者の中から優れた企画を提案した者を選定する手続の実効性を確保しにくい状況となっている。
 参加者の募集方法、企画競争の参加に必要な資格、条件等(以下「企画競争参加要件」という。)の設定及び企画競争に関する説明書、仕様書等(以下「企画競争説明書等」という。)の作成等の契約手続並びに企画書等の審査手続等の企画競争に係る手続の実施状況について検査したところ、企画競争参加要件を必要以上に限定していたり、審査に当たっての評価方法が具体的でなかったり、審査を行っている外部有識者に契約の利害関係者が含まれていたりなどしていて、競争性、公正性及び透明性の確保に関して検討すべきであったと認められる事態が見受けられた。

ウ 公募の実施状況

 対象契約のうち20年度(12月まで)の公募を経た随意契約(企画随契を除く。)の件数、支払金額は、3,047件、245億円となっており、これを前年度同期と比較すると、件数で362.3%、支払金額で76.7%と大幅に増加している。
 参加者の募集方法、公募の参加に必要な資格、条件等(以下「公募参加要件」という。)の設定及び公募の公示や公募に関する説明書、仕様書等(以下「公募説明書等」という。)の作成等の公募に係る手続の実施状況について検査したところ、公募において契約予定相手方名を表示しているなど、競争性、公正性及び透明性の確保に関して検討すべきであったと認められる事態が見受けられた。

エ 随意契約見直し計画に基づいて適正化を進めることとされている契約の見直し状況

 随意契約見直し計画策定後の20年1月から12月までの間において締結された契約のうち、各独立行政法人が同計画において点検の対象とした18年度の随意契約(以下「点検対象随意契約」という。)の後継契約であるなど、点検対象随意契約と対応することが各法人から提出された調書により把握できた18,318件(不落・不調随契を除く。)について、各独立行政法人が講じた見直し措置の状況をみると、より競争性の高い契約方式に移行したものは、8,279件ある。
 この8,279件のうち、競争契約に移行した6,279件の応札者数については、1者応札が56.2%の3,535件あり、20年度(12月まで)の競争契約に占める1者応札の割合42.4%と比較すると、13.8ポイント高くなっている。また、平均落札率は、複数応札が86.6%であるのに対して、1者応札は95.5%と8.9ポイント高くなっている。
 さらに、契約相手方の異同の状況をみると、1者応札となっている契約の82.7%の2,926件が、従前の随意契約と同一の契約相手方となっていて、契約相手方の固定化の割合が高くなっていて、十分に競争の効果が発揮されているとはいえない状況にある。

オ 20年報告に掲記した個別の事態の見直し状況等

 20年報告で随意契約とした理由の妥当性に関して検討すべきであったと認められた個別の事態955件について、20年度末現在で当局が講じた見直し状況をみると、「措置済み」が607件ある一方、「措置未済」も76件残っている。
 「措置未済」の76件は、移行手続に相当の期間を必要とするとして20年度も引き続き随意契約を行っているものなどであるが、これらの中には、20年報告では競争契約等に移行したことから「措置済み」としたものについて、21年次の本院の検査により、その後、再び随意契約を行っていることが判明したため、「措置未済」としたものも3件含まれている。

(4) 公益法人等に対する随意契約の実施状況及び公益法人等による再委託の状況

ア 公益法人等を契約相手方とする契約の実施状況とその変化

 20年度(12月まで)の対象契約のうち公益法人等を契約相手方とする契約の契約方式は、随意契約の割合が件数で79.7%、支払金額で90.3%となっている。これを前年度同期と比較すると、件数割合で11.0ポイント、支払金額割合で2.4ポイント低下している。また、企画・公募を経ない随契の割合は、件数で44.0%、支払金額で49.4%となっていて、前年度同期と比較すると、件数割合で28.8ポイント、支払金額割合で33.3ポイント低下している。
 しかし、競争契約における応札者数の状況についてみると、公益法人等が契約相手方となっている場合の1者応札の件数割合は、前年度同期と比較すると0.1ポイント低下しているものの、69.4%と著しく高くなっていて、競争契約全体の1者応札の件数割合より27.0ポイント高くなっている。また、企画随契における応募者数についてみると、公益法人等が契約相手方となっている場合の1者応募の件数割合は、前年度同期と比較すると1.2ポイント低下しているものの、55.7%と高くなっていて、企画随契全体の1者応募の件数割合より27.5ポイント高くなっている。

イ 契約相手方とした公益法人等による再委託の状況

 対象契約のうち、契約相手方が公益法人等で予定価格が300万円を超える随意契約(以下「再委託調査対象契約」という。)について、再委託の状況をみると、次のとおりとなっている。

(ア) 再委託に関する契約条項の状況

 20年度(12月まで)の再委託調査対象契約2,266件について、契約書、仕様書等の条項(以下「契約条項」という。)における再委託の規定状況をみると、一定の条件を付して再委託を認めている「条件付認容」が81.8%、「禁止」が6.5%となっている。一方、「定めなし」としているものは231件(10.1%)あり、前年度同期と比較して減少しているものの、なお多数ある。

(イ) 再委託の実施状況

 再委託調査対象契約のうち、独立行政法人の支払と再委託に係る公益法人等の支払が共に完了している19年度分の契約について再委託の実施状況をみると、再委託が行われている契約(元契約)は、件数で15.5%、支払金額で45.8%となっている。次に、19年度の元契約のうち再委託支払金額が判明している400件について、再委託率(元契約に係る独立行政法人の支払金額に占める再委託支払金額の割合をいう。以下同じ。)の状況をみると、再委託率が50%以上となっている契約の割合は件数で44.5%、支払金額で45.4%となっており、このうち再委託率が90%以上となっているものは件数で6.5%、支払金額で1.4%となっている。

(5) 契約の適正化及び透明性の向上に向けた取組の状況

ア 契約の適正化に向けた審査、監視体制の状況

(ア) 内部監査における随意契約の妥当性の検証の状況

 20年度の内部監査において、随意契約の妥当性の検証に係る項目を監査項目として設定しているとする法人は、100法人中69法人となっている。

(イ) 監事による入札及び契約の適正な実施に関する監査の実施状況

 20年度における監事監査の実施状況をみると、入札及び契約の適正な実施状況に関する監査は、99法人が実施しているとしており、このうち、随意契約の適正化を含めた入札及び契約の適正な実施状況を監査項目として設定しているとする法人は、92法人となっている。

イ 契約に係る情報の公表状況

 各独立行政法人における契約情報の公表状況(21年4月1日現在)をみると、20年報告における調査結果と同様で、ほとんどの法人においては、おおむね適切に公表されている。

(6) 主な随意契約先及び再委託先における発注元独立行政法人退職者等の再就職者数

ア 随契先公益法人等への発注元独立行政法人退職者の再就職者の状況

 100法人の随意契約の相手方となっている公益法人等(以下「随契先公益法人等」という。)の数は1,157法人であり、これらの法人のうち、21年4月1日現在において発注元独立行政法人退職者の再就職者(注2) が在籍している法人数は、122法人(随契先公益法人等の10.5%)となっていて、20年報告の129法人(同9.9%)に比べて減少している。そして、発注元独立行政法人退職者の再就職者数は、644人(うち国家公務員出身者は113人)、1法人当たり平均5.2人となっていて、20年報告の827人(同114人)、1法人当たり平均6.4人から減少している。

 発注元独立行政法人退職者の再就職者  随意契約を発注した独立行政法人に常勤の役員又は職員として職務に従事した者で、当該独立行政法人を退職して、随契先公益法人等(次項のウにおいては、随契先民間企業等)に再就職した者をいい、人事交流による出向等は含まない。

イ 随契先公益法人等への再就職者と当該公益法人等との随意契約等の状況

 随契先公益法人等(延べ1,574法人)について、20年4月1日又は21年4月1日現在で発注元独立行政法人退職者の再就職者が在籍しているもの(延べ129法人、128法人)と在籍していないもの(延べ1,445法人、1,441法人)とに区分して、それぞれ当該独立行政法人との随意契約の状況について、1法人当たりの随意契約の件数及び支払金額をみると次表のとおりである。

表 再就職者の在籍の有無別にみた随契先公益法人等との随意契約の状況

(単位:法人、件、百万円)

区分
随意契約が締結された年度
法人数(A)
件数
支払金額
随意契約(B)
1法人当たり随意契約件数(B)/(A)
随意契約(C)
1法人当たり随意契約支払金額(C)/(A)
再就職者在籍有り
平成19年度
123
1,980
16.0
141,804
1,152
20年度(12月まで)
92
1,243
13.5
72,731
790
129
3,223
24.9
214,536
1,663
再就職者在籍無し
19年度
1,276
2,511
1.9
58,764
46
20年度(12月まで)
868
1,622
1.8
24,924
28
1,446
4,133
2.8
83,688
57
(注)
 「法人数」の「計」は、平成19年度又は20年度(12月まで)において、随意契約の相手方となっている公益法人等の数であり、19年度と20年度(12月まで)の法人数の単純合計とは一致しない。

 このように、19年度及び20年度(12月まで)の状況をみると、発注元独立行政法人退職者の再就職者が在籍している随契先公益法人等の方が、在籍していない随契先公益法人等に比べて、1法人当たりの随意契約件数や支払金額が多くなっている。

ウ 主な随契先民間企業等への発注元独立行政法人退職者の再就職者の状況

 主な随契先民間企業等として、独立行政法人ごとに、19年度における随意契約に係る支払金額又は契約金額の合計額が多い法人(合計額が1000万円以下の法人等を除く。)上位30法人に該当する計1,219法人について、21年4月1日現在における発注元独立行政法人退職者の再就職者の状況をみると、再就職者が在籍しているのは92法人(調査対象法人の7.5%)、在籍無しは1,143法人、発注元独立行政法人より調査困難等の回答があったものは21法人となっている。そして、再就職者数は353人(うち役員は92人)、このうち国家公務員出身者は62人となっている。また、1法人当たりの再就職者数は平均3.8人となっており、随契先公益法人等への再就職者数の平均(21年4月1日現在で5.2人)を下回っている。そして、20年報告の19年4月1日現在の状況と比べて、再就職者が在籍している法人数の増減はないものの、再就職者数は42人減少している。

3 検査の結果に対する所見

 独立行政法人の運営には、運営費交付金を始めとする多額の財政支出が充てられているが、現下の財政事情が極めて厳しい状況にあることにかんがみると、各独立行政法人は、業務運営の徹底した効率化等を図ることが必要になっている。
 このような中で、各独立行政法人は、独立行政法人整理合理化計画(平成19年12月24日閣議決定)や随意契約見直し計画等に基づき、国の取組に準じて、随意契約の見直しを含む契約の適正化に取り組んでいる。
 そして、随意契約見直し計画に基づく個別の随意契約の見直し状況を検証したところ、より競争性の高い契約方式に移行したものが相当数あるものの、十分に競争の効果が発揮されているとはいえない状況にあったり、競争性等の確保に関して検討すべきであったと認められる事態が見受けられたりしていた。
 したがって、各独立行政法人においては、随意契約見直し計画に基づき適正化を進めることとされている契約の見直しについて、競争性等の確保に十分留意しつつ着実に実施するとともに、入札及び契約の公正性、競争性及び透明性の更なる向上を図るため、次の点に留意することが必要である。

(1) 独立行政法人の契約制度について

ア 随意契約の基準において、包括的随契条項又は公益法人随契条項を設定している場合や、予定価格の作成の省略に関する取扱いについて、予定価格の作成を省略する理由や対象範囲が明確でない要件を設定している場合は、し意的な運用を排除するため、各法人の業務の特性等を踏まえて、業務運営上真にやむを得ないと認められるものに限ることとし、これらに係る基準をできる限り明確かつ具体的に定める。
イ 総合評価方式、企画競争、公募、複数年契約等のように、契約の適正化及び透明性の向上に効果があると認められる取組については、積極的に活用を図るとともに、実施に当たっては、適正な執行を確保するため、要領、マニュアル等の整備を行う。

(2) 入札及び契約全般における競争性の確保について

ア 引き続き随意契約が行われているもののうち、真に随意契約によらざるを得ないと認められるもの以外は、発注する業務の内容を仕様書等において具体的に定めるなどして早急に総合評価方式を含む競争契約への移行を図る。また、業務の内容を具体的に仕様として明示することが困難な場合に限って企画随契への移行を検討することとし、競争契約が可能なものを企画随契としないよう留意する。さらに、従来、特殊な技術、設備等が不可欠であるとして、発注者の判断により、特定の者と契約していたものについても、ほかに履行可能な者がいないかを確認するため、適切に公募を実施する。
イ 一般競争入札の実施に当たっては、〔1〕 公告は、事業者に等しく周知できるような方法により十分な周知期間及び見積期間を確保して行うこと、〔2〕 入札参加要件は、参加者の範囲が過度に制限されることのないよう、契約の確実な履行を確保する上で必要最小限のものに限って明確に設定すること、〔3〕 入札説明書等は、特定の事業者に有利とならないように中立的な内容とするとともに、受注の可否の判断や入札金額の見積りに必要な情報について具体的かつ明確に示すことなどにより、より多くの事業者に入札への参加機会を与えるとともに、新規の事業者の参加を阻害しないようにして、実質的な競争性の確保に努める。
ウ 企画競争の実施に当たっては、募集の方法、企画競争参加要件の設定、企画競争説明書等の作成等について、上記イの一般競争入札の場合と同様に適切に行って、実質的な競争性の確保に努める。また、企画競争の審査に当たっては、あらかじめ具体的に定めた複数の評価項目により採点を行うとともに、〔1〕 評価項目の設定に当たっては、審査に不公平が生じたり、特定の事業者に著しく有利となったりしないように、適切に設定すること、〔2〕 評価に当たっては、提案内容が適切に評価に反映されるように具体的かつ客観的な判定基準を設定すること、〔3〕 審査の際には、調達要求部門だけでなく契約担当部門も関与させたり、当該契約の利害関係者を排除したりすることなどにより、入札に係る手続と同様に、契約相手方選定の際の公正性及び透明性の確保を図る。
 また、公募の実施に当たっては、参加者の募集方法、公募参加要件の設定、公募説明書等の作成等について、上記と同様に適切に行うとともに、事業者の参入意欲を阻害しないように、公募の公示や公募説明書等において、契約の確実な履行が困難となるような場合を除いて、契約予定相手方名の表示は行わないこととするなどして、手続の公正性及び透明性の一層の向上を図る。
エ 随意契約において予定価格の作成を省略するのは、業務運営上真にやむを得ない事由に該当するものに限ることとし、その場合には、会計規程等においてこれに係る基準をできる限り明確かつ具体的に定めて、これに従って適切に運用する。

(3) 公益法人等を契約相手方とする随意契約について

ア やむを得ず公益法人等を契約の相手方とした随意契約を行わざるを得ない場合においても、ほかに履行可能な者がいないかの把握等を、公募等により更に厳格に行うとともに、企画・公募を経ない随契から競争契約や企画随契等に移行する場合には、前記の(2)イ及びウと同様、実質的な競争性の確保等に努める。
イ 再委託については、契約の内容に応じて、再委託の禁止又は発注者の承認を必要とする旨の契約条項を必ず設けるとともに、特に、再委託率が高率となるものについては、再委託の妥当性や随意契約とした理由との整合性に留意する。また、契約相手方からの再委託の届出等が確実になされるように事務手続の徹底を図るとともに、適時適切に、再委託の状況を確認するように努める。

(4) 契約の適正化及び透明性の向上に向けた取組について

 随意契約の見直しを確実に実施するため、契約事務の合理化、効率化等を引き続き進めるとともに、内部監査、監事監査等における契約の適正化に向けた審査、監視体制の一層の充実に努める。また、契約の透明性の向上を図るため、契約情報を引き続き適切に公表するとともに、公表方法の一層の充実に努める。

(5) 発注元独立行政法人退職者の再就職について

 発注元独立行政法人退職者の再就職者が在籍している法人を随意契約の相手方とする場合には、特に透明性の確保に留意して、随意契約とした理由の妥当性等について十分に説明責任を果たせるようにする。

 本院としては、独立行政法人制度について原点に立ち返って見直すことが求められていることを踏まえて、20年報告の検査の結果に対する所見において業務及び財務について記述した事項も含め、今後とも、各独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況について、多角的な観点から引き続き検査していくこととする。