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  • 平成21年9月

独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況について


4 公益法人等に対する随意契約の実施状況及び公益法人等による再委託の状況

 上記の3で記述した随意契約の実施状況等に係る検査結果のうち、公益法人等を契約相手方とする随意契約について、その実施状況、随意契約とした適用理由及び契約の見直し状況に係る部分を抜き出して示すほか、公益法人等による再委託の状況について検査した結果を示すと次のとおりである。

(1) 公益法人等を契約相手方とする契約の実施状況とその変化

ア 公益法人等を契約相手方とする契約の競争性の状況とその変化

 20年度(12月まで)の対象契約のうち公益法人等を契約相手方とする契約の契約方式は、図表55 のとおり、随意契約の割合が件数で79.7%(うち関係法人85.0%)、支払金額で90.3%(同89.3%)となっている。これを前年度同期と比較すると、件数割合で11.0ポイント(同4.4ポイント)、支払金額割合で2.4ポイント(同2.8ポイント)低下している。その結果、公益法人等を契約相手方とする競争契約の件数割合は、前年度同期の9.2%から20.2%に高まっている。
 また、企画・公募を経ない随契の割合は、件数で44.0%(うち関係法人44.9%)、支払金額で49.4%(同47.5%)となっていて、前年度同期と比較すると、件数割合で28.8ポイント(同30.5ポイント)、支払金額割合で33.3ポイント(同37.9ポイント)低下しており、この割合は、関係法人に係る支払金額割合を除き、契約全体でみた割合(件数で36.2%、支払金額で48.0%)よりも高くなっている。

図表55 公益法人等を契約相手方とする契約の契約方式の状況(平成19年度(12月まで)、20年度(12月まで))
〔1〕 件数
上段:件数(単位:件)
下段:割合(単位:%、ポイント)
区分 競争契約
(A)
  随意契約
(C)
  左のうち企画・公募を経ない随契
(E)
 
(G)
 
平成19年度(12月まで)(B) 開差
(A)-(B)
19年度(12月まで)(D) 開差
(C)-(D)
19年度(12月まで)(F) 開差
(E)-(F)
19年度(12月まで)(H)
(G)-(H)
契約全体 29,790
(42.7)
19,291
(25.5)
10,499
[17.2]
39,863
(57.2)
56,072
(74.4)
△16,209
[△17.2]
25,266
(36.2)
48,845
(64.8)
△23,579
[△28.6]
69,653
(100)
75,363
(100)
△5,710
公益法人等が契約相手方 730
(20.2)
401
(9.2)
329
[11.0]
2,876
(79.7)
3,937
(90.7)
△1,061
[△11.0]
1,589
(44.0)
3,161
(72.8)
△1,572
[△28.8]
3,606
(100)
4,338
(100)
△732
  うち関係法人 221
(14.9)
197
(10.5)
24
[4.4]
1,254
(85.0)
1,665
(89.4)
△411
[△4.4]
663
(44.9)
1,404
(75.4)
△741
[△30.5]
1,475
(100)
1,862
(100)
△387

〔2〕 支払金額
上段:支払金額(単位:百万円)
下段:割合(単位:%、ポイント)
区分 競争契約
(A)
  随意契約
(C)
  左のうち企画・公募を経ない随契
(E)
 
(G)
 
平成19年度(12月まで)(B) 開差
(A)-(B)
19年度(12月まで)(D) 開差
(C)-(D)
19年度(12月まで)(F) 開差
(E)-(F)
19年度(12月まで)(H)
(G)-(H)
契約全体 262,262
(32.0)
207,369
(24.8)
54,892
[7.2]
556,561
(67.9)
626,950
(75.1)
△70,389
[△7.2]
393,349
(48.0)
538,948
(64.5)
△145,598
[△16.5]
818,823
(100)
834,320
(100)
△15,496
公益法人等が契約相手方 10,476
(9.6)
9,117
(7.2)
1,359
[2.4]
97,751
(90.3)
116,692
(92.7)
△18,940
[△2.4]
53,514
(49.4)
104,134
(82.7)
△50,620
[△33.3]
108,228
(100)
125,809
(100)
△17,580
  うち関係法人 9,387
(10.6)
8,201
(7.8)
1,185
[2.8]
79,052
(89.3)
96,171
(92.1)
△17,119
[△2.8]
42,063
(47.5)
89,215
(85.4)
△47,152
[△37.9]
88,439
(100)
104,373
(100)
△15,933

 次に、競争契約における応札者数の状況についてみると、図表56 のとおり、公益法人等が契約相手方となっている場合の1者応札の件数割合は、前年度同期と比較すると0.1ポイント(うち関係法人2.8ポイント)低下しているものの、69.4%(同72.8%)と著しく高くなっていて、競争契約全体の1者応札の件数割合(42.4%)より27.0ポイント(同30.4ポイント)高くなっている。

図表56 公益法人等を契約相手方とする競争契約の応札者数の状況(平成20年度(12月まで))
〔1〕 件数 (単位:件、%、ポイント)
区分 1者応札
(A)
  2者応札 3者応札 4者応札 5者以上応札    
平成19年度(12月まで)(B) 開差
(A)-(B)
19年度(12月まで) 19年度(12月まで)
公益法人等が契約相手方(a) 件数 507 279 228 115 58 20 30 19 730 401
(割合) (69.4) (69.5) (△0.1) (15.7) (7.9) (2.7) (4.1) (4.7) (100) (100)
  うち関係法人(b) 件数 161 149 12 33 18 4 5 6 221 197
(割合) (72.8) (75.6) (△2.8) (14.9) (8.1) (1.8) (2.2) (3.0) (100) (100)
契約全体(c) 件数 12,650 6,812 5,838 5,044 2,980 1,960 7,156 5,624 29,790 19,291
(割合) (42.4) (35.3) (7.1) (16.9) (10.0) (6.5) (24.0) (29.1) (100) (100)
(割合の開差) (a)-(c) (27.0) (34.2) (△7.2) (△1.2) (△2.1) (△3.8) (△19.9) (△24.4)  
(b)-(c) (30.4) (40.3) (△9.9) (△2.0) (△1.9) (△4.7) (△21.8) (△26.1)

〔2〕 支払金額
(単位:百万円、%、ポイント)

区分 1者応札
(A)
  2者応札 3者応札 4者応札 5者以上応札    
平成19年度(12月まで)(B) 開差
(A)-(B)
19年度(12月まで) 19年度(12月まで)
公益法人等が契約相手方(a) 支払金額 8,671 8,640 31 1,410 214 107 72 115 10,476 9,117
(割合) (82.7) (94.7) (△12.0) (13.4) (2.0) (1.0) (0.6) (1.2) (100) (100)
  うち関係法人(b) 支払金額 8,032 7,974 58 1,152 166 18 18 69 9,387 8,201
(割合) (85.5) (97.2) (△11.7) (12.2) (1.7) (0.1) (0.1) (0.8) (100) (100)
契約全体(c) 支払金額 91,064 57,997 33,067 34,998 29,100 29,170 77,927 82,520 262,262 207,369
(割合) (34.7) (27.9) (6.8) (13.3) (11.0) (11.1) (29.7) (39.7) (100) (100)
(割合の開差) (a)-(c) (48.0) (66.8) (△18.8) (0.1) (△9.0) (△10.1) (△29.1) (△38.5)
(b)-(c) (50.8) (69.3) (△18.5) (△1.1) (△9.3) (△11.0) (△29.6) (△38.9)

 また、企画随契における応募者数についてみると、図表57 のとおり、公益法人等が契約相手方となっている場合の1者応募の件数割合は、前年度同期と比較すると1.2ポイント(うち関係法人4.7ポイント)低下しているものの、55.7%(同60.8%)と高くなっていて、企画随契全体の1者応募の件数割合(28.2%)より27.5ポイント(同32.6ポイント)高くなっている。

図表57 公益法人等を契約相手方とする企画随契の応募者数の状況(平成20年度(12月まで))
〔1〕 件数 (単位:件、%、ポイント)
区分 1者応募
(A)
  2者応募 3者応募 4者応募 5者以上応募    
平成19年度(12月まで)(B) 開差
(A)-(B)
19年度(12月まで) 19年度(12月まで)
公益法人等が契約相手方(a) 件数 543 325 218 120 92 42 177 115 974 571
(割合) (55.7) (56.9) (△1.2) (12.3) (9.4) (4.3) (18.1) (20.1) (100) (100)
  うち関係法人(b) 件数 317 122 195 58 57 31 58 19 521 186
(割合) (60.8) (65.5) (△4.7) (11.1) (10.9) (5.9) (11.1) (10.2) (100) (100)
契約全体(c) 件数 2,790 2,080 710 1,379 1,012 489 4,222 1,680 9,892 5,371
(割合) (28.2) (38.7) (△10.5) (13.9) (10.2) (4.9) (42.6) (31.2) (100) (100)
(割合の開差) (a)-(c) (27.5) (18.2) (9.3) (△1.6) (△0.8) (△0.6) (△24.5) (△11.1)
(b)-(c) (32.6) (26.8) (5.8) (△2.8) (0.7) (1.0) (△31.5) (△21.0)
(注)
 応募者数が不明の企画随契を除いている。〔2〕 についても同じ。


〔2〕 支払金額
(単位:百万円、%、ポイント)

区分 1者応募
(A)
  2者応募 3者応募 4者応募 5者以上応募    
平成19年度(12月まで)(B) 開差
(A)-(B)
19年度(12月まで) 19年度(12月まで)
公益法人等が契約相手方(a) 支払金額 26,210 8,390 17,820 6,187 224 90 4,411 1,484 37,124 10,683
(割合) (70.6) (78.5) (△7.9) (16.6) (0.6) (0.2) (11.8) (13.8) (100) (100)
  うち関係法人(b) 支払金額 22,075 5,656 16,419 5,784 108 79 3,403 183 31,451 6,226
(割合) (70.1) (90.8) (△20.7) (18.3) (0.3) (0.2) (10.8) (2.9) (100) (100)
契約全体(c) 支払金額 63,727 29,158 34,569 13,996 5,068 3,058 37,817 18,235 123,668 60,930
(割合) (51.5) (47.8) (3.7) (11.3) (4.0) (2.4) (30.5) (29.9) (100) (100)
(割合の開差) (a)-(c) (19.1) (30.7) (△11.6) (5.3) (△3.4) (△2.2) (△18.7) (△16.1)
(b)-(c) (18.6) (43.0) (△24.4) (7.0) (△3.7) (△2.2) (△19.7) (△27.0)

 このように、契約の相手方が公益法人等である場合の競争性の状況については、各法人による随意契約見直し計画に基づく契約方式の見直しにより、前年度同期と比較して、競争契約の割合は上昇し、企画・公募を経ない随契の割合は低下している。その一方で、公益法人等を契約相手方とする競争契約や企画随契において、1者応札又は1者応募の割合は依然として契約全体と比較して高いままとなっており、実質的に競争性を確保しにくい状況となっている。

イ 公益法人等を契約相手方とする随意契約の実施状況とその変化

 対象契約のうち公益法人等を契約相手方とする随意契約の件数と支払金額は、図表58 のとおり、19年度は4,554件、2026億円、20年度(12月まで)は2,876件、977億円となっており、20年度(12月まで)分を前年度同期と比較すると、件数では26.9%減少しており、支払金額では16.2%減少している。
 この内訳をみると、企画・公募を経ない随契は、19年度は3,629件、1700億円、20年度(12月まで)は1,589件、535億円となっており、また、企画随契等は、19年度は877件、316億円、20年度(12月まで)は1,234件、438億円となっている。
 20年度(12月まで)分を前年度同期と比較すると、企画・公募を経ない随契は、件数で49.7%、支払金額で48.6%と大幅に減少している。一方、企画随契等は、件数で67.8%、支払金額で253.0%と大幅に増加している。

図表58 随意契約の実施状況(平成19年度(12月まで)、19年度、20年度(12月まで))
上段:件数、支払金額(単位:件、百万円)
下段:割合(単位:%、ポイント)
年度等 件数 支払金額
随意契約全体(A) 随意契約全体(D)
  うち企画随契等
(B)
うち企画・公募を経ない随契
(C)
  うち企画随契等
(E)
うち企画・公募を経ない随契
(F)
(割合(B)/(A)) (割合(C)/(A)) (割合(E)/(D)) (割合(F)/(D))
平成19年度 4,554 877 3,629 202,692 31,672 170,053
  (19.2) (79.6) (15.6) (83.8)
20年度(12月まで) (a) 2,876 1,234 1,589 97,751 43,830 53,514
  (42.9) (55.2)   (44.8) (54.7)
19年度(12月まで) (b) 3,937 735 3,161 116,692 12,415 104,134
  (18.6) (80.2)   (10.6) (89.2)
増減値 (a)-(b) △1,061 499 △1,572 △18,940 31,415 △50,620
  (24.3) (△25.0)   (34.2) (△34.5)
増減率 ((a)/(b)-1)    
(△26.9) (67.8) (△49.7) (△16.2) (253.0) (△48.6)

(ア) 契約種類別の状況とその変化

 対象契約のうち20年度(12月まで)の随意契約について、公益法人等を契約相手方とする契約の占める割合をみると、図表59 のとおり、件数で7.2%、支払金額で17.5%となっており、前年度同期と比較すると、件数割合は0.2ポイント上昇しているが、支払金額割合は1.1ポイント低下している。
 これを契約種類別にみると、「役務」が件数、支払金額共に最も多く、件数で89.1%、支払金額で96.2%を占めていて、公益法人等を契約相手方とする随意契約の大宗を占めている。そして、これを契約相手方が関係法人であるものに限ってみると、「役務」が件数で94.7%、支払金額で98.6%となっている。

図表59 契約種類別にみた公益法人等を契約相手方とする随意契約の実施状況とその変化(平成20年度(12月まで))
〔1〕 件数 (単位:件、%、ポイント)
契約種類 随意契約全体
(A)
  公益法人等が契約相手方
(B)
  公益法人等の割合(B)/(A)
(C)
  (B)のうち関係法人が契約相手方
(E)
  関係法人の割合(E)/(A)
(F)
 
(平成19年度(12月まで)に対する増減率) (19年度(12月まで)に対する増減率) (19年度(12月まで))
(D)
(開差)
(C)-(D)
(19年度(12月まで)に対する増減率) (19年度(12月まで))
(G)
(開差)
(F)-(G)
工事等 917 (△42.5) 91 (△44.5) 9.9 (10.2) (△0.3) 35 (△56.7) 3.8 (5.0) (△1.2)
用地取得・補償 2,567 (69.4) 13 (160.0) 0.5 (0.3) (0.2) 1 (※) 0.0 (-) (0.0)
物品等の購入 2,080 (△67.0) 99 (△24.4) 4.7 (2.0) (2.7) 9 (△57.1) 0.4 (0.3) (0.1)
物品等の製造 862 (△22.0) 15 (66.6) 1.7 (0.8) (0.9) 13 (333.3) 1.5 (0.2) (1.3)
物品等の賃借 3,165 (△19.9) 93 (△19.1) 2.9 (2.9) (0.0) 8 (△57.8) 0.2 (0.4) (△0.2)
役務 (a) 30,272 (△27.2) 2,565 (△26.9) 8.4 (8.4) (0.0) 1,188 (△22.9) 3.9 (3.7) (0.2)
(a)/(b) 75.9 89.1 94.7
計(b) 39,863 (△28.9) 2,876 (△26.9) 7.2 (7.0) (0.2) 1,254 (△24.6) 3.1 (2.9) (0.2)
(注)
 ※については件数がないため、増減率は算出していない。


〔2〕 支払金額
(単位:百万円、%、ポイント)

契約種類 随意契約全体
(A)
  公益法人等が契約相手方
(B)
  公益法人等の割合(B)/(A)
(C)
  (B)のうち関係法人が契約相手方
(E)
  関係法人の割合(E)/(A)
(F)
 
(平成19年度(12月まで)に対する増減率) (19年度(12月まで)に対する増減率) (19年度(12月まで))
(D)
(開差)
(C)-(D)
(19年度(12月まで)に対する増減率) (19年度(12月まで))
(G)
(開差)
(F)-(G)
工事等 36,827 (1.9) 1,504 (△37.5) 4.0 (6.6) (△2.6) 924 (△50.6) 2.5 (5.1) (△2.6)
用地取得・補償 50,786 (67.9) 316 (47.8) 0.6 (0.7) (△0.1) 0 (※) 0.0 (-) (0.0)
物品等の購入 39,477 (△35.5) 1,057 (△17.3) 2.6 (2.0) (0.6) 37 (△65.2) 0.0 (0.1) (△0.1)
物品等の製造 17,918 (10.3) 32 (△63.4) 0.1 (0.5) (△0.4) 28 (△64.9) 0.1 (0.5) (△0.4)
物品等の賃借 37,012 (△17.9) 718 (△20.8) 1.9 (2.0) (△0.1) 45 (△79.0) 0.1 (0.4) (△0.3)
役務 (a) 374,538 (△14.4) 94,121 (△15.8) 25.1 (25.5) (△0.4) 78,015 (△16.9) 20.8 (21.4) (△0.6)
(a)/(b) 67.2 96.2 98.6
計(b) 556,561 (△11.2) 97,751 (△16.2) 17.5 (18.6) (△1.1) 79,052 (△17.8) 14.2 (15.3) (△1.1)
(注)
 ※については支払金額がないため、増減率は算出していない。

(イ) 法人別の状況

 対象契約のうち公益法人等を契約相手方とする20年度(12月まで)の随意契約を法人別にみると、別表10のとおり、件数が最も多いのは、都市再生機構の937件(うち企画・公募を経ない随契547件)であり、次いで国際協力機構の607件(同363件)となっている。また、支払金額が最も多いのは都市再生機構の311億円(同286億円)であり、次いで雇用・能力開発機構の158億円(同1億円)となっている。

(2) 公益法人等を契約相手方とする随意契約において随意契約とした適用理由の状況とその変化

 対象契約のうち20年度(12月まで)の随意契約について、随意契約とした適用理由の状況は、前記の3(4) で記述したとおりであるが、そのうち公益法人等を契約相手方とするものについてみると、図表60 のとおり、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当するためとしているものが最も多く、件数、支払金額共に約8割を占めており、随意契約全体でみた場合に比べて、件数割合で3.3ポイント、支払金額割合で4.7ポイント高くなっている。これを前年度同期と比較すると、件数割合では18.2ポイント、支払金額割合では5.2ポイント上昇している。

図表60 随意契約とした適用理由を「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」としているものの割合とその変化(平成20年度(12月まで))
〔1〕 件数 (単位:件数、%、ポイント)
随意契約全体 (A)のうち契約の性質又は目的が競争を許さない場合 割合
(B)/(A)
(A) (平成19年度(12月まで)に対する増減率) (B) (19年度(12月まで)に対する増減率) (C) 19年度(12月まで)
(D)
(開差)
(C)-(D)
公益法人等 (a) 2,876 (△26.9) 2,379 (△6.3) 82.7 64.5 (18.2)
  うち関係法人 (b) 1,254 (△24.6) 978 (3.8) 77.9 56.5 (21.4)
(参考)
随意契約全体
(c) 39,863 (△28.9) 31,662 (△1.8) 79.4 57.5 (21.9)
(開差) (a)-(c) (3.3) (△3.7)
(b)-(c) (△1.5) (△0.5)

〔2〕 支払金額
(単位:百万円、%、ポイント)

随意契約全体 (A)のうち契約の性質又は目的が競争を許さない場合 割合
(B)/(A)
(A) (平成19年度(12月まで)に対する増減率) (B) (19年度(12月まで)に対する増減率) (C) 19年度(12月まで)
(D)
(開差)
(C)-(D)
公益法人等 (a) 97,751 (△16.2) 82,403 (△10.6) 84.2 79.0 (5.2)
  うち関係法人 (b) 79,052 (△17.8) 65,614 (△11.2) 83.0 76.8 (6.2)
(参考)
随意契約全体
(c) 556,561 (△11.2) 442,499 (△7.4) 79.5 76.2 (3.3)
(開差) (a)-(c) (4.7) (1.9)
(b)-(c) (3.5) (2.9)

(3) 随意契約見直し計画に基づいて適正化を進めることとされている公益法人等を契約相手方とする契約の見直し状況

ア 公益法人等を契約相手方とする点検対象随意契約の見直し状況

 随意契約見直し計画策定後の20年1月から12月までの間に締結された契約のうち、点検対象随意契約と対応することが把握できたとして、前記の3(5)ア において言及した18,318件のうち、公益法人等を契約相手方とする1,569件について、各法人が講じた見直し措置の状況を、同計画において実施するとした契約方式別にみると、図表61 のとおりである。
 これによると、上記の1,569件について随意契約見直し計画でより競争性の高い契約方式に移行するとしたものは、「4」から「6」までの区分の計1,199件であり、このうち621件(51.7%)については、同計画で実施するとした契約方式又は当該契約方式より競争性の高い契約方式に移行している。そして、区分「6」の「より競争性の高い契約方式(競争入札)へ移行するとしている」ものでは、419件のうち231件(55.1%)は競争契約に移行しているものの、引き続き随意契約としているものも188件(うち企画・公募を経ない随契99件)見受けられる。また、区分「1」の「随意契約によらざるを得ない(企画競争又は公募を実施するとしているものを除く。)」ものでは、295件のうち286件(96.9%)が引き続き企画・公募を経ない随契としている一方で、より競争性の高い契約方式に移行しているものも9件(3.0%)ある

図表61 点検対象随意契約の見直し状況(平成20年12月末現在)(公益法人等分)

(単位:件、%)

点検対象随意契約と対応する契約(A) 随意契約見直し計画において実施するとした契約方式 件数
(B)
[下段:
(B)/(A)]
見直しを経た後、締結した契約方式 より競争性の高い契約方式へ移行したもの(塗りつぶした区分の計)(L)
(下段:
(L)/(B))
競争契約計(C)
(下段:
(C)/(B))
  随意契約計(H)
(下段:
(H)/(B))
 
一般競争契約(D)
(下段:
(D)/(B))
一般総合(E)
(下段:
(E)/(B))
指名競争契約(F)
(下段:
(F)/(B))
指名総合(G)
(下段:
(G)/(B))
企画随契(I)
(下段:
(I)/(B))
公募を経た随意契約(J)
(下段:
(J)/(B))
企画・公募を経ない随契(K)
(下段:
(K)/(B))
1,569 1:随意契約によらざるを得ない(企画競争又は公募を実施するとしているものを除く。)としている 295 7 7 0 0 0 288 0 2 286 9
[18.8] (2.3) (2.3) (-) (-) (-) (97.6) (-) (0.6) (96.9) (3.0)
2:引き続き公募を実施するとしている 18 0 0 0 0 0 18 0 4 (注) 14 0
[1.1] (-) (-) (-) (-) (-) (100) (-) (22.2) (77.7) (-)
3:引き続き企画競争を実施するとしている 26 2 2 0 0 0 24 24 0 0 2
[1.6] (7.6) (7.6) (-) (-) (-) (92.3) (92.3) (-) (-) (7.6)
4:より競争性の高い契約方式(公募の実施)に移行するとしている 511 49 22 26 1 0 462 38 160 264 247
[32.5] (9.5) (4.3) (5.0) (0.1) (-) (90.4) (7.4) (31.3) (51.6) (48.3)
5:より競争性の高い契約方式(企画競争)に移行するとしている 269 15 13 2 0 0 254 128 0 126 143
[17.1] (5.5) (4.8) (0.7) (-) (-) (94.4) (47.5) (-) (46.8) (53.1)
6:より競争性の高い契約方式(競争入札)に移行するとしている 419 231 208 20 3 0 188 80 9 99 231
[26.7] (55.1) (49.6) (4.7) (0.7) (-) (44.8) (19.0) (2.1) (23.6) (55.1)
その他(契約方式を検討中などとしているもの) 31 4 3 1 0 0 27 0 0 27 4
[1.9] (12.9) (9.6) (3.2) (-) (-) (87.0) (-) (-) (87.0) (12.9)
1,569 308 255 49 4 0 1,261 270 175 816 636
[100] (19.6) (16.2) (3.1) (0.2) (-) (80.3) (17.2) (11.1) (52.0) (40.5)
  4、5、6の計 1,199 295 243 48 4 0 904 246 169 489 621
[76.4] (24.6) (20.2) (4.0) (0.3) (-) (75.3) (20.5) (14.0) (40.7) (51.7)
1、2、3及びその他の計 370 13 12 1 0 0 357 24 6 327 15
[23.5] (3.5) (3.2) (0.2) (-) (-) (96.4) (6.4) (1.6) (88.3) (4.0)
 これらの中には、公募を実施して随意契約を締結した際に、当該契約相手方と引き続き一定期間、随意契約を行うこととしているものが含まれている。

イ 公益法人等を契約相手方とする点検対象随意契約の見直し後における競争性等の状況

(ア) 見直し後における応札者数又は応募者数、落札率等

 前記1,569件の中で、随意契約見直し計画でより競争性の高い契約方式に移行するとしたもののうち、同計画で実施するとした契約方式又は当該契約方式より競争性の高い契約方式に移行したものが621件、同計画ではより競争性の高い契約方式に移行するとしなかったもののうち、実際にはより競争性の高い契約方式に移行したものが15件、計636件(40.5%)ある。
 そこで、契約方式の見直しにより競争契約等に移行した契約について、見直し後の契約における競争性等の状況を検証するため、前記の3(5)イ(ア) と同様に、上記の636件から公募を経た随意契約162件を除く474件のうち落札率が算定できる469件について、応札者数又は応募者数、平均落札率、移行後の契約相手方と従前の随意契約の契約相手方との異同の状況をみると、図表62 のとおりとなっている。

図表62 より競争性の高い契約方式に移行している契約における移行後の競争性等の状況(公益法人等分)
〔1〕 競争契約に移行したもの (単位:件、%、ポイント)
区分 競争契約に移行後の状況
全体
(A)
1者応札
(B)
((B)/(A))
複数応札
(C)
((C)/(A))
1者応札(B)のうち 複数応札(C)のうち (開差)
(B)-(C)
(開差)
(D)-(F)
契約相手方が同じもの
(D)[(D)/(B)]
契約相手方が異なるもの
(E)[(E)/(B)]
契約相手方が同じもの
(F)[(F)/(C)]
契約相手方が異なるもの
(G)[(G)/(C)]
件数(a) 302 234 68 220 14 50 18
  (77.4) (22.5) [94.0] [5.9] [73.5] [26.4] (54.9) (20.5)
平均落札率 91.9 94.1 84.5 94.1 92.7 85.3 82.3 (9.6) (8.8)
<参考>競争契約全体(平成20年度(12月まで))における件数(b) 730 507 223  
  (69.4) (30.5)
(開差)(a)-(b) (8.0) (△8.0)

〔2〕 企画随契に移行したもの
(単位:件、%、ポイント)

区分 企画随契に移行後の状況
全体
(A)
1者応募
(B)
((B)/(A))
複数応募
(C)
((C)/(A))
1者応募(B)のうち 複数応募(C)のうち (開差)
(B)-(C)
(開差)
(D)-(F)
契約相手方が同じもの
(D)[(D)/(B)]
契約相手方が異なるもの
(E)[(E)/(B)]
契約相手方が同じもの
(F)[(F)/(C)]
契約相手方が異なるもの
(G)[(G)/(C)]
件数(a) 167 135 32 129 6 24 8
(80.8) (19.1) [95.5] [4.4] [75.0] [25.0] (61.7) (20.5)
平均落札率 96.1 96.4 95.1 96.5 93.7 97.8 86.9 (1.3) (△1.3)
<参考>企画随契全体(平成20年度(12月まで))における件数(b) 974 543 431
(55.7) (44.2)
(開差)(a)-(b) (25.1) (△25.1)
(注)
 落札率が算出できる契約を抽出しているため、図表61とは件数が一致しない。

 これによると、競争契約に移行した302件の応札者数については、1者応札が77.4%の234件あり、20年度(12月まで)の公益法人等を契約相手方とする競争契約に占める1者応札の割合69.4%と比較すると、8.0ポイント高くなっている。また、平均落札率は、複数応札が84.5%であるのに対して、1者応札は94.1%と9.6ポイント高くなっている。
 さらに、契約相手方の異同の状況をみると、1者応札となっている契約の94.0%の220件が、従前の随意契約と同一の契約相手方となっている。これに対して複数応札の場合には従前の随意契約と同一の契約相手方となっているのは73.5%の50件で、1者応札の場合に比べて20.5ポイント低くなっている。このように、競争契約に移行したもののうち1者応札となっているものについては、契約相手方の固定化の割合が高くなっていて、十分に競争の効果が発揮されているとはいえない状況にある。なお、契約相手方が従前の随意契約と同一の契約相手方であっても、複数応札の場合は、平均落札率が85.3%となっていて、1者応札の場合の94.1%と比べて8.8ポイント低くなっている。
 また、企画随契に移行した167件の応募者数については、1者応募の割合が80.8%の135件あり、競争契約に移行した場合と比べると高くなっており、20年度(12月まで)の企画随契に占める1者応募の割合55.7%と比較すると、25.1ポイント高くなっている。また、平均落札率は、1者応募の方が複数応募より1.3ポイント高くなっているが、前記の3(5)イ(ア) で記述したのと同様に、大きな開差はみられない。また、契約相手方の異同の状況をみると、契約相手方が同一であるものの割合が1者応募では95.5%、複数応募では75.0%となっている。

(イ) 競争性等の確保に関して検討すべきであったと認められる事態

 前記の3(5)イ(イ) に記述した競争性等の確保に関して検討すべきであったと認められる事態81件のうち、公益法人等を契約相手方とするものは19件あった。これを別表5の書式により態様別に示すと図表63 のとおりである。

図表63 点検対象随意契約に係る競争性等の確保に関して検討すべきであったと認められる事態の態様別分類(公益法人等分)

(単位:件)

態様別区分 一般競争契約の入札に係る手続に関するもの 企画競争に係る手続に関するもの 公募に係る手続に係るもの
ア 公告等の期間の設定に関して検討すべきであったもの 件数 2 1 - 3
  (ア) 公告等の期間が実質的には短縮されているもの 事例番号 〔2〕    
(イ) 見積期間の確保が十分でないもの 事例番号      
イ 入札等参加要件の設定に関して検討すべきであったもの 件数 2 - - 2
  (ア) 競争参加資格等級を限定して指定しているもの 事例番号      
(イ) 事業者が保有する資格を限定して指定しているもの 事例番号      
(ウ) 業務実績の要件について地域や施設を限定しているもの 事例番号      
ウ 入札等説明書の作成に関して検討すべきであったもの 件数 6 1 - 7
  (ア) 契約の条件や仕様書の内容が制限的となっているもの 事例番号      
(イ)仕様書等の記載内容が明確でないもの 事例番号 〔19〕 〔22〕  
エ 企画書等の審査について 件数 - 2 1 3
  (ア) 企画書等の評価方法に関して検討すべきであったもの 事例番号   〔23〕 〔28〕
(イ) 企画書等の審査体制に関して検討すべきであったもの 事例番号      
オ その他 件数 - - 4 4
  公募の公示等に関して検討すべきであったもの 事例番号      
件数 10 4 5 19

(4) 20年報告に掲記した公益法人等を契約相手方とする個別の事態の見直し状況等

ア 個別の事態の見直し状況

 20年報告に掲記した個別の事態955件のうち、公益法人等を契約相手方とする190件について、20年度末現在で当局が講じた見直し状況を3(6)ア において記述した区分により示すと、図表64 のとおりである(法人別内訳は別表11 参照)。
 個別の事態190件の見直し状況(見直し後の件数は211件)をみると、「措置済み」が54件ある一方、「措置未済」も19件残っている。

図表64 個別の事態に係る見直し状況(公益法人等分)(平成20年度末現在)

(単位:件)

区分 個別の事態 見直し状況(平成20年度末現在)
措置済み 措置未済 当該年度限りなど
競争契約に移行 企画随契に移行 公募を実施 21年度に措置予定 21年度予定なし
  うち21年7月1日現在で措置済み
件数 190 41 9 4 3 2 16 117 190
54 19

 上記について、引き続き随意契約を行っているものの事例を示すと、次のとおりである。

<事例>

[業務に支障が生じるおそれがあるとして引き続き随意契約を行っているもの]
〔30〕  都市再生機構東日本支社は、平成18、19両年度に、権利調整、計画策定、設計、工事監督、募集販売・宅地管理等の業務の一部であって、本来、同機構自らが行うべき企画、判断等の事務を含む業務を代行又は補完して行う業務及びこれに付随する業務について、当該業務に係る豊富なノウハウ及び業務実績を有し、当該業務を包括的に受託できる体制を有していることなどを理由に、特定の関係法人と随意契約(契約金額:18年度908,124千円、19年度1,457,106千円)を行っていた。これについて、同支社は、20年7月以降、一部の業務は自ら実施することとするとともに、業務ごと、地区ごとに分割するなどして、原則として競争契約等に移行することとした。
 しかし、上記業務のうち、権利調整に係る業務等については、直ちに競争契約等に移行して契約相手方が従来の契約相手方以外の者となった場合に、地権者との対応において信頼関係が損なわれ、業務に支障が生じるおそれがあるなどとして、引き続き随意契約を行っている。
 なお、同支社は、当該業務について、移行のための準備期間を経て、原則として、企画競争を実施することとしているが、現時点では、移行が完了する時期は未定となっている。

 また、前記の3(6)アで記述したように、「措置未済」としたものの中には、20年報告では競争契約等へ移行したことから「措置済み」としたものについて、21年次の会計検査院の検査により、その後、再び随意契約を行っていることが判明したため、「措置未済」としたものも1件含まれており、これを示すと、次のとおりである。

<事例>

[いったんは競争契約に移行したものの、再び随意契約を行っているもの]
〔31〕  理化学研究所は、平成18年度に、前年度に発注した消防用設備等の保守点検、整備に係る業務について、火災予防の公共性の増進に資する者であることなどを理由に、特定の公益法人と随意契約(契約金額9,673千円)を行っていた。これについて、同研究所は、19年度に一般競争契約に移行することとして、入札を行ったところ、3者の応札があり、このうち最低の価格で応札した業者と契約(契約金額5,040千円)を行った。
 しかし、同研究所は、20年度に、本業務を熟知し必要な技術者の派遣等に迅速かつ効率的に対応し得ることなどを理由に、再び、19年度に契約した業者と随意契約(契約金額5,127千円)を行っているが、当該業務は、年2回の法定点検等であり、19年度の業務内容と特段の変更はないのであるから、競争入札を行うべきであると認められる。

イ 個別の事態の見直し後における競争性等の状況

(ア) 見直し後における応札者数又は応募者数、落札率等

 上記アの個別の事態のうち、20年度末までに競争契約又は企画随契に移行したものが50件(見直し後の件数はそれぞれ50件及び20件、計70件(不落・不調随契を除く。))あるが、このうち落札率が算定できるものは68件となっている。分析対象となる契約が少数にとどまっていることから、参考として、応札者数又は応募者数、平均落札率、移行後の契約相手方と従前の契約相手方との異同の状況を示すと、図表65 のとおりとなっている。

図表65 個別の事態の競争契約又は企画随契への移行後における平均落札率等の状況(公益法人等分)(参考)
〔1〕 競争契約への移行後における平均落札率等の状況 (単位:件、%、ポイント)
区分 競争契約移行前の状況 競争契約移行後の状況
全体(A)
1者応札(B)
((B)/(A))
複数応札(C)
((C)/(A))
1者応札(B)のうち (開差)
契約相手方が従前と同じもの(D)
[(D)/(B)]
契約相手方が従前と異なるもの(E)
[(E)/(B)]
(B)-(C) (D)-(E)
件数 41 50 16
(32.0)
34
(68.0)
15
[93.7]
1
[6.2]
(△36.0) (87.5)
平均落札率 97.0 79.5 80.5 79.0 82.6 49.7 (1.5) (32.9)

〔2〕 企画随契への移行後における平均落札率等の状況
(単位:件、%、ポイント)

区分 企画随契移行前の状況 企画随契移行後の状況
全体(A)
1者応募(B)
((B)/(A))
複数応募(C)
((C)/(A))
1者応募(B)のうち (開差)
契約相手方が従前と同じもの(D)
[(D)/(B)]
契約相手方が従前と異なるもの(E)
[(E)/(B)]
(B)-(C) (D)-(E)
件数 9 18 11
(61.1)
7
(38.8)
11
[100]

[-]
(22.2) (100)
平均落札率 97.0 91.7 94.3 87.6 94.3 (6.7) (94.3)

(イ) 競争性等の確保に関して検討すべきであったと認められる事態

 前記の3(6)イ(ウ) に記述した競争性等の確保に関して検討すべきであったと認められる事態18件のうち、公益法人等を契約相手方とするものは2件あった。これを態様別にみると、入札説明書等の作成に関して検討すべきであったものが1件、企画競争説明書等の作成に関して検討すべきであったものが1件となっている。

(5) 契約相手方とした公益法人等による再委託の状況

 契約相手方に対して、契約の全部又は一部を更に第三者に再委託(下請を含む。以下同じ。)することを無条件に認めると、当該契約相手方を選定した発注者の意図に沿わない結果となったり、契約履行の責任の所在が不明確になって適正な履行の確保ができなくなったりするおそれがある。このため、一般的には、再委託は発注者の承認を必要とすることとされており、一括再委託は禁止されている。
 そこで、対象契約のうち、契約相手方が公益法人等で予定価格が300万円を超える随意契約(以下「再委託調査対象契約」という。)について、再委託の状況をみると、次のとおりとなっている。

ア 再委託調査対象契約の状況

 20年度(12月まで)の再委託調査対象契約の件数は、図表66 のとおり、2,266件となっていて、前年度同期と比較して592件(20.7%)減少している。これは前記の(1)イ のとおり、公益法人等を契約相手方とする随意契約の件数が前年度同期と比較して26.9%減少していることが影響していると考えられる。

図表66 再委託調査対象契約の状況

(単位:件、%、ポイント)

年度 随意契約 割合(B)/(A)
(A) うち再委託調査対象契約(B)
平成19年度 4,554 3,279 72.0
20年度(12月まで)(a) 2,876 2,266 78.7
19年度(12月まで)(b) 3,937 2,858 72.5
増減値(a)-(b) △1,061 △592
増減率((a)/(b)-1) (△26.9) (△20.7)

イ 再委託に関する契約条項の状況

 20年度(12月まで)の再委託調査対象契約2,266件について、契約書、仕様書等の条項(以下「契約条項」という。)における再委託の規定状況をみると、図表67 のとおりである。
 これによると、一定の条件を付して再委託を認めている「条件付認容」が1,855件(81.8%)、「禁止」が149件(6.5%)となっている。
 一方、「定めなし」としているものは231件(10.1%)あり、前年度同期と比較して減少しているものの、なお多数ある。これらの中には、土地建物等に係る賃借等の契約相手方以外に履行が困難であると考えられるものもあるが、再委託が行われる可能性があるものも相当数ある。これらについては、契約履行上の責任の所在や適正な履行の確保の点で問題があることから、当該契約の内容に応じて、再委託を禁止したり、再委託に当たっては発注者の承認を要することとしたりするなどの契約条項を設けることが必要である。

図表67 契約条項の状況とその変化(平成19年度(12月まで)、20年度(12月まで))

図表67契約条項の状況とその変化(平成19年度(12月まで)、20年度(12月まで))

ウ 再委託の実施状況

 再委託調査対象契約のうち、独立行政法人の支払と再委託に係る公益法人等の支払が共に完了している19年度分の契約について再委託の実施状況をみると、図表68 のとおり、再委託が行われている契約(元契約)は、件数で510件(再委託調査対象契約に占める割合15.5%)、支払金額で991億円(同45.8%)となっており、このうち関係法人を契約相手方とするものは、件数で406件(同25.8%)、支払金額で939億円(同54.2%)となっている。しかし、発注者である独立行政法人が再委託の有無を把握していないものも、件数は81件(同2.4%)、支払金額で160億円(同7.4%)見受けられる。

図表68 再委託の実施状況(平成19年度)

(単位:件、百万円、%)

区分
契約相手方
再委託が行われている 再委託は行われていない 再委託の有無を把握していない
件数 支払金額 件数 支払金額 件数 支払金額 件数 支払金額
平成19年度 公益法人等 510
(15.5)
99,151
(45.8)
2,688
(81.9)
101,040
(46.7)
81
(2.4)
16,098
(7.4)
3,279
(100)
216,289
(100)
  うち関係法人 406
(25.8)
93,955
(54.2)
1,136
(72.4)
67,058
(38.7)
27
(1.7)
12,236
(7.0)
1,569
(100)
173,249
(100)
(参考)
18年度
公益法人等 583
(13.9)
88,340
(42.6)
3,493
(83.8)
110,560
(53.4)
89
(2.1)
8,112
(3.9)
4,165
(100)
207,013
(100)
  うち関係法人 479
(21.7)
83,337
(50.5)
1,644
(74.6)
73,812
(44.7)
79
(3.5)
7,707
(4.6)
2,202
(100)
164,857
(100)

 なお、再委託の実施状況についての会計検査院の検査に際して、契約相手方である公益法人等に再委託の実施の有無を確認したところ、日本原子力研究開発機構において、業務の全部又は大部分を第三者に再委託する場合には発注者である同機構の承認が必要であるのに、契約相手方である公益法人等が同機構の承認を得ないまま再委託している事態が16件見受けられた。
 上記について事例を示すと、次のとおりである。

<事例>

[発注者の承認を得ないまま再委託が行われているもの]
〔32〕  日本原子力研究開発機構は、平成19年度に、イントラネットの運用管理等の情報化推進に関する業務について、当該システムの構築、改良及び運用・保守作業を実施し、システムの細部にわたり熟知、精通していることなどを理由に、特定の関係法人と随意契約(契約金額8,946千円)を行っていた。そして、本契約の契約書においては、同機構の承認を得た場合を除き、業務の全部又は大部分を第三者に再委託することを禁止していた。
 しかし、同機構が、21年3月に、上記業務の実施状況を確認したところ、同法人は、同機構の承認を得ないまま、その大部分を民間業者に再委託(再委託率93.0%)して実施していた。
 なお、同機構は、上記の事態を受けて、再委託の状況についての把握方法を見直すこととし、21年3月に、再委託の状況に係る届出の様式を定めるなどの措置を講じている。

 次に、19年度の元契約のうち再委託支払金額が判明している400件について、再委託率(元契約に係る独立行政法人の支払金額に占める再委託支払金額の割合をいう。以下同じ。)の状況をみると、図表69 のとおり、再委託率が50%以上となっている契約の割合は件数で44.5%、支払金額で45.4%となっており、このうち再委託率が90%以上となっているものは件数で6.5%、支払金額で1.4%となっている。
 これを20年報告における18年度の元契約のうち再委託支払金額が判明している517件に係る再委託率の状況と比較すると、全体的な傾向については18年度と大きな変化は見られない。したがって、上記のように再委託率が高率となっている契約については、再委託の妥当性や随意契約とした理由との整合性に留意して、競争契約への移行も念頭に置きつつ、契約方式が適切なものとなっているか十分な検討を行う必要があると認められる。

図表69 再委託率の状況とその変化(平成19年度)

(単位:件、百万円、%)

区分
再委託率
件数   件数割合   支払金額   支払金額割合  
平成18年度に対する増減率 18年度 18年度に対する増減率 18年度
  90%以上 26 13.0 6.5 4.4 1,124 △26.0 1.4 1.7
80%以上90%未満 34 △26.0 8.5 8.8 538 △42.7 0.6 1.0
70%以上80%未満 57 △30.4 14.2 15.8 30,315 △9.6 38.9 38.6
60%以上70%未満 31 △31.1 7.7 8.7 979 △58.6 1.2 2.7
50%以上60%未満 30 △28.5 7.5 8.1 2,427 292.6 3.1 0.7
50%以上 178 △25.2 44.5 46.0 35,384 △9.2 45.4 44.8
  40%以上50%未満 47 △18.9 11.7 11.2 1,041 △68.7 1.3 3.8
30%以上40%未満 48 37.1 12.0 6.7 3,887 203.3 4.9 1.4
20%以上30%未満 31 △34.0 7.7 9.0 6,723 193.0 8.6 2.6
10%以上20%未満 38 △40.6 9.5 12.3 5,509 △72.1 7.0 22.7
10%未満 58 △22.6 14.5 14.5 25,227 19.1 32.4 24.3
50%未満 222 △20.4 55.5 53.9 42,388 △11.4 54.5 55.1
合計 400 △22.6 100 100 77,773 △10.4 100 100