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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第2 内閣府|
  • (内閣府本府)|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

国営公園維持管理推進費補助金により造成された基本財産から生じた運用益について、使途を明確に定めるとともに、区分経理を行わせることなどにより、その管理が適切に行われるよう是正改善の処置を求めたもの


国営公園維持管理推進費補助金により造成された基本財産から生じた運用益について、使途を明確に定めるとともに、区分経理を行わせることなどにより、その管理が適切に行われるよう是正改善の処置を求めたもの

所管、会計名及び科目 総理府所管 一般会計 (組織)沖縄開発庁 (項)沖縄開発庁
部局等 内閣府本府(平成13年1月5日以前は総理府)
補助の根拠 予算補助
補助事業 財団法人海洋博覧会記念公園管理財団基本財産造成
国営公園維持管理推進費補助金の概要 財団法人海洋博覧会記念公園管理財団の基本財産の造成を助成し、財政的基礎を確立することにより、国営沖縄記念公園の適切な維持管理の推進を図るもの
国営公園維持管理推進費補助金の総額
6億円
(昭和51年度〜55年度、平成4年度〜8年度)

国営公園維持管理推進費補助金等により造成された基本財産の額
22億7500万円
(平成22年度末現在)

基本財産から生じた運用益の額
10億3921万余円
(昭和51年度〜平成22年度)

上記のうち国営公園維持管理推進費補助金により造成された基本財産から生じた運用益相当額
4億7010万円
 

【是正改善の処置を求めたものの全文】

国営公園維持管理推進費補助金により造成された基本財産から生じた運用益の管理について

(平成23年10月28日付け 内閣総理大臣宛て)

標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を求める。

1 国営公園維持管理推進費補助金により造成された基本財産から生じた運用益の管理の概要

(1) 国営公園維持管理推進費補助金の概要

 貴府は、昭和51年度から55年度までの間及び平成4年度から8年度までの間に、国営公園維持管理推進費補助金交付要綱(以下「交付要綱」という。)等に基づき、財団法人海洋博覧会記念公園管理財団(以下「海洋博財団」という。)に対して、国営公園維持管理推進費補助金(以下「維持管理補助金」という。)を計6億円交付している。維持管理補助金は、国営沖縄記念公園(昭和62年3月24日以前は国営沖縄海洋博覧会記念公園。以下同じ。)の維持管理業務を受託し、亜熱帯性植物に関する調査研究、技術開発等の公益事業を行う機関として51年7月に設立された海洋博財団の基本財産の造成について助成し、その財政的基礎を確立することにより、国営沖縄記念公園の適切な維持管理の推進を図り、もって国民の心身の健全な発達に寄与することを目的として交付するものとされている。

(2) 維持管理補助金により造成された基本財産から生じた運用益の管理

 海洋博財団の基本財産は、維持管理補助金のほか、沖縄県からの出えん金6億円、収益事業からの繰入れなどにより造成されており、平成22年度末現在では総額22億7500万円となっている。そして、基本財産から生じた運用益は、昭和51年度から平成22年度までの間で計10億3921万余円となっている。
 貴府が定めた国営公園維持管理推進費補助金管理運営要領(以下「運営要領」という。)によれば、維持管理補助金により造成された基本財産(以下「補助造成財産」という。)から生じた運用益の使途は、貴府が別途定めることとされている。また、その運用益の収入及び支出を他の収入及び支出と区分して経理(以下「区分経理」という。)し、帳簿及び証拠書類(以下、これらを合わせて「帳簿等」という。)を整備して、海洋博財団において補助造成財産を保有する間、保存しなければならないこととされている。
 そして、海洋博財団は、運営要領に基づいて、補助造成財産を国債等の投資有価証券等として管理し、運用しており、その運用益に係る収入及び支出について、毎会計年度終了後に「基本財産造成及び運用益収支に係る実績報告」を貴府に提出するなどしている。

(3) 海洋博財団の一般会計

 海洋博財団の会計規則等によれば、会計区分は、一般会計及び特別会計とされていて、一般会計では、特別会計で取り扱うこととされる公園の維持管理業務等以外の業務の会計経理について取り扱うこととなっている。そして、基本財産及びその運用益、調査研究等の公益事業等は一般会計で経理することになっている。

2 本院の検査結果

(検査の観点及び着眼点)

 海洋博財団は、国営沖縄記念公園の維持管理業務を受託し、各種の調査研究等の公益事業を行うことを目的に設立され、貴府から維持管理補助金の交付を受けるなどして、基本財産を造成しており、運用益も多額に上っている。
 そこで、本院は、合規性等の観点から、交付要綱、運営要領等に基づいて、補助造成財産の管理及び運用が適切に行われているか、その運用益の管理が適切に行われているかなどに着眼して検査した。

(検査の対象及び方法)

 昭和51年度から平成8年度までの間に交付された維持管理補助金及び昭和51年度から平成22年度までの補助造成財産の運用益等を対象として、実績報告書、収支計算書等により貴府及び海洋博財団において会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 貴府は、運営要領において、補助造成財産の運用益の使途を別途定めることとされているのに、これを定めていなかった。また、海洋博財団は、補助造成財産の運用益について、前記のとおり一般会計において経理しており、そして、運営要領によれば、収入及び支出ごとに区分経理を行い、帳簿等を整備及び保存しなければならないこととされているのに、支出については、区分経理を行っておらず、帳簿等の整備及び保存を行っていなかった。このため、補助造成財産の運用益に係る支出の使途は明確となっていなかった。なお、収入については、区分経理を行っており、帳簿等の整備及び保存を行っていた。
 また、海洋博財団から貴府に提出された「基本財産造成及び運用益収支に係る実績報告」には、基本財産の運用益の収入及び支出が記載されている。そして、収入については維持管理補助金、沖縄県からの出えん金等ごとに金額が記載されているが、支出についてはその全額を実態とは関係なく調査研究費等と公益管理費とで折半するなどした額が記載されているのみであり、具体的な使途は把握できない状況となっていた。
 したがって、昭和51年度から平成22年度までの間に基本財産から生じた運用益計10億3921万余円のうち補助造成財産の運用益相当額4億7010万余円については、交付要綱等に基づく適切な管理が行われていなかったと認められる。

(是正改善を必要とする事態)

 貴府において、運営要領で定めることとされている補助造成財産の運用益の使途を定めておらず、具体的な使途を把握していない事態及び海洋博財団において、補助造成財産の運用益の支出について、区分経理が行われていなかったり、帳簿等の整備及び保存を行っていなかったりしていて、補助造成財産の運用益が適切に管理されていない事態は適切とは認められず、是正改善の要があると認められる。

(発生原因)

 このような事態が生じているのは、貴府において、補助造成財産の運用益について、その使途を定めていなかったこと、また、海洋博財団が補助造成財産の運用益に係る支出の区分経理や帳簿等の整備及び保存を行っていなかったのに、それらの事態の把握ができていなかったことなどによると認められる。

3 本院が求める是正改善の処置

 補助造成財産は、海洋博財団において、今後も適切な管理及び運用が行われなければならないものである。
 ついては、貴府において、補助造成財産の運用益の管理が適切に行われるよう、次のとおり是正改善の処置を求める。
 ア 補助造成財産の運用益の使途を明確に定め、その具体的な使途を把握すること
 イ 海洋博財団に対して、補助造成財産の運用益に係る支出について、勘定科目を設定させるなどして区分経理を行わせ、帳簿等を整備及び保存させること