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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

業務用の車両に設置するカーナビについて、テレビ受信機能の必要性を十分検討して経済的な購入を行うこととするとともに、購入済みのカーナビに係る日本放送協会との受信契約を業務上の必要性に応じて適切に見直すよう改善させたもの


(3) 業務用の車両に設置するカーナビについて、テレビ受信機能の必要性を十分検討して経済的な購入を行うこととするとともに、購入済みのカーナビに係る日本放送協会との受信契約を業務上の必要性に応じて適切に見直すよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林水産本省
(項)農林水産本省共通費 等
(組織)地方農政局
(項)地方農政局
(組織)北海道農政事務所
(項)北海道農政事務所
食料安定供給特別会計(業務勘定)
(項)事務取扱費
(平成18年度以前は、食糧管理特別会計(業務勘定)(項)事務費)
国営土地改良事業特別会計
(項)土地改良事業費
平成20年度以降は、
食料安定供給特別会計(国営土地改良事業勘定)(項)土地改良事業費
部局等 7地方農政局、北海道農政事務所、38地方農政事務所
カーナビの概要 自動車の走行時に現在位置から目的地への経路案内を電子的に行う機器であって、用務先に効率的に到達することを目的として業務用の車両に設置するもの
業務上テレビを視聴する必要がないとしていたテレビ受信機能を有するカーナビの台数及び購入金額 1,216台 1億2182万円 (背景金額)(平成17年度〜22年度)
上記のうち受信契約を締結していたカーナビの台数及び受信料支払額 162台 121万円 (平成21年度)
570台 425万円 (平成22年度)
547万円

1 業務用の車両に設置するカーナビ等の概要

(1) 業務用の車両に設置するカーナビの概要

 農林水産省は、農林水産省設置法(平成11年法律第98号)に基づき、地方農政局、北海道農政事務所及び地方農政事務所(以下、これらを総称して「農政局等」という。)を設置して、同省の事務の一部を分掌させている。そして、農林水産本省(以下「本省」という。)、各農政局等及び沖縄総合事務局では、その事務の用に供するため、国の所有に属する業務用の車両(以下「車両」という。)を多数保有している。
 農林水産省は、農地等の現場に車両で移動して現地調査等を実施するなどの際に用務先に効率的に到達できるようにすることを目的として、カーナビゲーション(自動車の走行時に現在位置から目的地への経路案内を電子的に行う機器。以下「カーナビ」という。)を単体で購入して車両に設置したり、カーナビが車体に組み込まれた車両を購入したりしている。
 カーナビには、付加機能としてテレビ受信機能を有するものと有しないものとがあり、基本的な性能が同じ機種で比較すると、一般的にテレビ受信機能を有するものの方が高価であり、小売価格で5割程度高いものもある。

(2) テレビ受信機能を有するカーナビに係る受信契約の概要

 放送法(昭和25年法律第132号)及び日本放送協会放送受信規約によれば、日本放送協会(以下「協会」という。)の放送を受信することのできる受信設備(以下「受信機」という。)を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約(以下「受信契約」という。)をしなければならないとされており、法人等がその事業所等に受信機を設置する場合には、当該事業所等の部屋、自動車等、受信機の設置場所ごとにそれぞれ受信契約を締結することとされている。
 そして、放送法に規定される受信機には、テレビ受信機能を有するカーナビも含まれることとされている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 本院は、経済性等の観点から、車両に設置されているカーナビの機能は使用目的に適したものとなっているかなどに着眼して、本省、46農政局等(注1 )及び沖縄総合事務局が平成17年度から22年度までの間に購入して22年12月末時点で保有していたカーナビ1,339台、購入額計1億2860万余円(車体に組み込まれており単体での購入額が不明な25台分の購入額は含まない。)を対象として検査した。
 検査に当たっては、上記の本省、46農政局等及び沖縄総合事務局のうち本省、15農政局等(注2 )及び沖縄総合事務局において、カーナビの購入に係る契約書及び仕様書、受信料の請求書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、残りの31農政局等については、農林水産省から関係資料等の提出を受けて検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 検査対象としたカーナビ1,339台のうち、本省及び46農政局等が購入した1,217台、購入額計1億2189万余円(車体に組み込まれており単体での購入額が不明な24台分の購入額は含まない。)は、テレビ受信機能を有していた。
 しかし、上記の1,217台を対象として、当該カーナビを使用してテレビを視聴する必要性について、使用実態を実地に確認したり本省を通じて聴取したりして検査したところ、46農政局等が購入した1,216台、購入額計1億2182万余円(車体に組み込まれており単体での購入額が不明な24台分の購入額は含まない。)については、業務上テレビを視聴する必要がないとしていた。なお、残りの1台については、本省が保有する車両に設置されていて、国会業務に係る情報把握等のためにテレビを視聴する必要があるとしていた。
 また、上記の1,216台について、21、22両年度の受信料の支払状況を検査したところ、26農政局等(注3 )は、21年度に162台、22年度に570台のカーナビについて、受信契約に基づき、それぞれ121万余円、425万余円、計547万余円の受信料を支払っていた。なお、17農政局等(注4 )の368台については、既に各農政局等において購入後に業務上テレビを視聴する必要はないと判断し、協会に照会するなどした上でテレビ受信機能を無効にする措置を執ったことにより、受信契約が不要となり、受信料を支払う必要がない状況になっていた。
 したがって、上記のように、車両に設置するカーナビについて、業務上テレビを視聴する必要がないのにより高価なテレビ受信機能を有するものを購入していたり、購入済みのカーナビについて、受信契約の見直しを適切に行わずに受信料を支払ったりしていた事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められた。

ア 農政局等において、カーナビの購入の際に、テレビ受信機能の必要性についての検討を十分行っていなかったこと、また、受信料の支払の際に、カーナビを使用してテレビを視聴する必要性についての検討を十分行っていなかったこと
イ省において、テレビ受信機能の必要性を十分検討した上でカーナビの経済的な購入を行ったり、業務上の必要性に応じて協会との受信契約を適切に見直したりすることについて、農政局等に対する指導が十分でなかったこと

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、農林水産省は、23年4月に関係部局に通知を発し、カーナビにおけるテレビ受信機能の必要性について、通常業務のほか災害等緊急支援業務での使用の可能性も含めて十分検討した上で、テレビを視聴する必要がない場合には、テレビ受信機能を有しないカーナビを購入するとともに、既に購入済みのテレビ受信機能を有するカーナビについては、業務上の必要性に応じて、協会に照会するなどしてテレビ受信機能を無効にする措置を執るなど、受信契約を適切に見直す処置を講じた。

(注1)
 46農政局等  東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国、九州各農政局、北海道農政事務所、青森、岩手、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、静岡、新潟、富山、福井、岐阜、三重、滋賀、大阪、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、島根、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島各農政事務所
(注2)
 15農政局等  東北、関東、近畿、中国四国、九州各農政局、山形、福島、千葉、静岡、大阪、和歌山、鳥取、島根、徳島、高知各農政事務所
(注3)
 26農政局等  東北、関東、北陸、東海、中国四国、九州各農政局、岩手、秋田、茨城、栃木、群馬、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、静岡、岐阜、三重、鳥取、広島、香川、福岡、佐賀、大分、宮崎各農政事務所
(注4)
 17農政局等  北陸、近畿両農政局、北海道農政事務所、静岡、新潟、富山、福井、岐阜、大阪、奈良、和歌山、山口、徳島、福岡、大分、宮崎、鹿児島各農政事務所