国土交通省の地方整備局等は、国営公園の維持管理業務を3財団法人に委託している。一方、各財団法人は、独立行政法人都市再生機構が国営公園に設置又は管理するレストラン、駐車場等の特定公園施設の営業及び管理業務を同機構との契約により行っている。しかし、維持管理業務に係る委託費の精算に当たって、維持管理業務と特定公園施設の営業及び管理業務に従事している職員の人件費について、それぞれの業務の従事割合が明確でないまま、その全額を維持管理業務の実支出額に計上したり、一般管理費について、維持管理業務等の業務の負担額の根拠が明確でないまま、維持管理業務の契約額で計上できる額と同額又はほぼ同額を実支出額に計上したりしている事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、地方整備局等に対して、各財団法人等に業務従事者の勤務状況を把握できる証拠書類を整備保管させたり、一般管理費の負担額の合理的な配賦方法等を周知したりなどすることにより、維持管理業務の従事割合や負担額を把握し、実支出額を的確に確認する具体的な方法を指導するなどして、精算等を適切に行うよう国土交通大臣に対して平成22年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、国土交通本省、地方整備局等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、22年10月に事務連絡を発し、地方整備局等において国営公園の維持管理業務に係る委託費の精算等を適切に行うため、維持管理業務と特定公園施設の営業及び管理業務に従事している職員の従事割合について各財団法人等から勤務実績簿の提出を受けて実態把握に努めたり、一般管理費の負担額の合理的な配賦方法等について各財団法人等から資料の提供を求めて確認するための試行策を実施したりなどしていた。
そして、国土交通省は、引き続き上記の実態把握等を一定期間行うことにより、今後、実支出額を的確に確認する具体的な方法を確立した上で地方整備局等を指導するなどして、維持管理業務に係る委託費の精算等を適切に行うこととしている。