所管、会計名及び科目 | 内閣府所管 | 一般会計 | (組織)内閣本府 | (項)沖縄開発事業費 |
環境省所管 | 一般会計 | (組織)環境本省 | (項)廃棄物処理施設整備費 | |
部局等 | 環境本省、9都県 | |||
交付の根拠等 | 予算補助(平成16年度以前は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)) | |||
交付金事業者等 (事業主体) |
市12、町3、村1、特別区3、一部事務組合10、財団法人2 、計31事業主体 | |||
交付金事業等の概要 | 廃棄物の円滑かつ適正な処理を行うことにより生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的として、廃棄物処理施設の整備を行う市町村等の整備事業等の実施に要する費用に充てるため、国が交付するもの | |||
交付対象とならない予備品等の納入に係る費用を交付対象事業費に含めていたもの | 11億6263万余円
(平成14年度〜21年度)
|
|||
上記に対する交付金等相当額 | 3億9187万円
|
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を求める。
貴省は、循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に基づき、廃棄物の発生抑制、再使用及び再生利用に関する施策を進め、廃棄物を適正に処理するために、ごみ処理施設、し尿処理施設等(以下、これらの施設を「廃棄物処理施設」という。)の整備を実施する市町村等の事業主体に対して、平成16年度までは廃棄物処理施設整備費国庫補助金(注1)
を、17年度からは循環型社会形成推進交付金(以下「交付金」といい、両者を合わせて「交付金等」という。)を交付している。
交付金等の交付申請、交付決定等の手続は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号。以下「適正化法」という。)等の法令、廃棄物処理施設整備費国庫補助金交付要領(昭和54年環整第12号)、循環型社会形成推進交付金交付取扱要領(平成17年環廃対発第050411002号。以下、両要領を合わせて「交付要領」という。)等において、それぞれ具体的に定められている。
そして、適正化法等によれば、都道府県は、事業主体から交付申請書等の提出を受け、その記載事項に不備又は不適当なものがないかなどの審査を行い、その後、貴省が交付決定を行うこととされている。また、都道府県は、事業の完了後に事業主体から提出される実績報告書により、交付金等の交付対象事業が交付要領等に基づいて適切に実施されたかどうか審査を行い、交付金等の額の確定を行うこととされている。
交付要領によると、交付金等の交付対象となる経費は、廃棄物の処理に直接必要な受入・供給設備、破砕・破袋設備、圧縮設備等の設備及びこれを補完する設備から成る一体的な施設を建設するための経費とされている。また、その交付対象事業費は、本工事費、付帯工事費等の工事費及び事業主体が事業施工のために要する事務費とされている。
一方、貴省は、事業主体が廃棄物処理施設の整備契約を締結する際の参考とするために、「廃棄物処理施設の発注仕様書作成の手引き(標準発注仕様書及びその解説)」(以下「標準発注仕様書」という。)を作成している。標準発注仕様書には、事業主体が実施する工事として、機械設備工事、土木建築工事等が記載されるとともに、廃棄物処理施設の稼働後に所期の性能を維持するために必要となる予備品、消耗品、維持管理に必要な工具等(以下、これらを合わせて「予備品等」という。)が記載されている。
そして、事業主体は、この標準発注仕様書を参考として発注仕様書を作成し、工事を実施している。
本院は、合規性、経済性等の観点から、廃棄物処理施設の整備に係る交付金等の交付が適切に行われているかなどに着眼して、13都府県(注2)
の90事業主体において会計実地検査を行った。
そして、検査に当たっては、17年4月から22年12月までにしゅん工した施設137件(総事業費計3646億7761万余円、交付対象事業費計2576億0797万余円、交付金等相当額計1014億0599万余円)を対象として、廃棄物処理施設の整備に伴う関係書類及び現地の工事の内容を確認するなどして検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
交付要領によると、交付金等の交付対象となる経費は、廃棄物処理施設等を建設するための経費とされているが、廃棄物処理施設で使用する予備品等については明記されていない。しかし、交付金等が施設の建設を対象として交付されるものであること、本工事費に含まれるのは工事の施工に必要な材料費、労務費等とされていることなどから、廃棄物処理施設のしゅん工後に使用されることとなる予備品等は交付対象に含まれないものと認められた。
一方、事業主体が廃棄物処理施設の整備契約を締結する際に参考とする標準発注仕様書には、交付金等の交付対象である受入・供給設備が機械設備工事として記載されていたり、予備品等がその他の工事に含まれていたりしていて、事業主体によっては、標準発注仕様書に記載されている予備品等が交付対象となるとの誤解を生じさせる記載となっていた。
このため、9都県(注3)
管内の31事業主体で整備した44件(総事業費計1024億0527万余円)においては、予備品等の納入に係る費用計11億6263万余円(交付金等相当額計3億9187万余円)が交付対象事業費に含まれていた。
三重県の事業主体Aは、交付金の交付を受けて、平成20年度にクリーンセンターを工事費47億1977万余円(交付対象事業費44億3142万余円、交付金14億7714万余円)で整備している。
そして、Aは、当該契約において、標準発注仕様書を参考とし、コンベアの交換部品等3年分を予備品等(交付対象事業費1億2710万余円、交付金相当額4236万余円)に含めて発注仕様書を作成し、請負業者に納入させており、交付申請に当たり、誤解して予備品等の納入に係る費用を交付対象事業費に含めていた。
上記のとおり、交付要領に定めがない廃棄物処理施設の予備品等を交付金等の交付対象としている事態は適切とは認められず、是正改善を図る要があると認められる。
このような事態が生じているのは、事業主体において、交付要領に定められた交付金等の交付対象についての理解が十分でないことにもよるが、貴省において、予備品等について、交付要領で交付対象とならないことを明確に規定していないこと、都道府県に対して、交付金等の交付申請書及び実績報告書の審査に際し、交付金等の交付対象についての確認を十分に行うよう周知していないことなどによると認められる。
廃棄物処理施設の整備に係る交付金等は、廃棄物処理施設の新設等を行う場合に廃棄物処理に直接必要な設備及びこれを補完する設備から成る一体的な施設を建設するための経費の一部を交付するものであり、今後も継続して交付されることが見込まれている。
ついては、貴省において、今後、廃棄物処理施設の整備に係る交付金等の交付が適切に行われるよう、次のとおり是正改善の処置を求める。
ア 交付要領において、予備品等は交付金等の交付対象とならないことを明確に規定すること
イ 都道府県の行う交付金申請書及び実績報告書の審査が適切に行われるようにするため、都道府県に対して、交付金等の交付対象についての確認を十分に行うよう周知すること