会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)防衛本省 | (項)武器車両等整備費 | |||
部局等 | 海上幕僚監部、艦船補給処、165部隊等 | |||||
給食事務を支援すソフトウェアの概要 | 海上自衛隊の給食実施機関等が行う献立の作成、給食額の計算等の給 食事務を支援するソフトウェア | |||||
契約の相手方 | 富士電機ITソリューション株式会社 | |||||
契約 |
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支払 |
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支払額 | 4731万余円
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有効に利用されていない上記ソフトウェアの改修に係る経費 | 4731万円
(平成21年度)
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標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を求める。
貴自衛隊は、営舎に居住しなければならない海曹長等や艦艇の乗組員等に対して食事を支給しており、給食実施の手続に関する達(昭和41年海上自衛隊達第19号)により給食実施機関として指定されている部隊や病院等(以下「給食機関」という。)において給食を実施している。給食機関は、献立を作成し食事の調理及び配食をするほか、栄養価の算定、糧食の請求・調達、食数の管理、糧食の在庫管理、給食額の計算等の業務の全部又は一部を行っている。
また、造修補給所(以下「造補所」という。)は、給食機関が献立を作成する際の基準となる標準献立表を作成したり、各給食機関から提出される給食額計算書等の各種報告書を取りまとめて海上幕僚監部へ報告したりするなどの給食に関する業務を行っている(以下、給食機関及び造補所が行う給食に係る業務を「給食事務」という。)。
そして、海上幕僚監部は、防衛省組織令(昭和29年政令第178号)等の規定により、需品等の補給、保管及び整備の計画の総合調整並びに糧食等の調達、補給等を任務とする部隊等の業務の総合運営を行うこととされており、給食の実施に関する訓令(昭和35年防衛庁訓令第54号)に基づき、毎年度造補所から提出される給食額計算書等を基に各種報告書を作成した上、給食機関の給食の実態を防衛大臣に報告している。
貴自衛隊は、従前から艦艇部隊等を除く給食機関及び造補所において、給食事務を支援するためのソフトウェア(以下「給食ソフト」という。)を職員が使用するパーソナルコンピュータにインストールして利用してきた。
しかし、近年、艦艇乗組員の栄養管理の必要性が増してきたことなどから、艦船補給処(以下「艦補処」という。)は、給食ソフトを艦艇部隊でも利用できるようにするとともに、操作性の向上や給食事務の効率化を図るなどのため、給食ソフトの改修を行うこととし、平成20年12月に、「給食事務管理装置のソフトウェア改修役務請負契約」を富士電機ITソリューション株式会社(以下「富士電機IT」という。)と締結し、22年3月に契約代金4731万余円を支払っている。
改修後の給食ソフト(以下「新ソフト」という。)は、献立管理、請求・調達管理、食数管理、在庫管理、給食額・栄養管理等の機能から構成され、入力データから各種の帳票類が自動的に作成できるなど給食事務の効率化に寄与するものとなっており、22年度当初から給食機関及び造補所(以下、これらを合わせて「給食機関等」という。)において利用を開始することを予定していた。
しかし、利用開始前に、帳票データの一種を出力する機能を追加することにしたため、新ソフトの給食機関等への配布が遅れ、新ソフトの利用開始時期は、当初の予定より1か月から2か月程度遅延することとなった。
本院は、有効性等の観点から、給食機関等において新ソフトが有効に利用されているかなどに着眼して、海上幕僚監部、艦補処、165給食機関等のうち16給食機関等において、新ソフトを利用した各種帳票の作成状況を確認するなどの方法により会計実地検査を行い、149給食機関等については、利用状況の報告を求め、その報告内容を確認するなどの方法により検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
検査を実施した165給食機関等における新ソフトの利用状況は、次表のとおりである。
\ | 平成22年度 | 23年度(4月〜 6月) | ||||||
利用状況 | 利用していない理由 | 利用状況 | 利用していない理由 | |||||
年度途中での配布 | 不具合の発生 | 操作が未習熟等 | 年度途中での配布 | 不具合の発生 | 操作が未習熟等 | |||
全ての機能を未利用 | 150 | 114 | 30 | 41 | 5 | 0 | 0 | 5 |
一部の機能を利用 | 15 | 11 | 4 | 6 | 158 | 2 | 125 | 150 |
合計 | 165 | 125 | 34 | 47 | 163 | 2 | 125 | 155 |
22年度においては、165給食機関等において、全ての機能が利用されていないなど新ソフトは、ほとんど利用されておらず、利用開始時期から1年以上経過した23年度においても、163給食機関等において、依然として、全ての機能が利用されていない、又は一部の機能しか利用されていない状況となっていた。
給食機関等においては、年度の途中から新ソフトを利用した給食事務に移行することは非効率であること、利用開始後に不具合が発生したこと、操作に習熟していないことなどを理由に、市販の表計算ソフトを利用したり、改修前の給食ソフトを利用したりするなどしていた。
海上幕僚監部は、前記のとおり、需品等の補給、保管及び整備の計画の総合調整並びに糧食等の調達、補給等を任務とする部隊等の業務の総合運営を行うこととされているにもかかわらず、新ソフトの運用方針や運用計画を策定していなかったり、給食機関等に対し新ソフトの運用開始時期を明確に示していなかったりなどしていて、その利用について給食機関等の裁量に任せていた。また、給食機関等における新ソフトの利用状況及び不具合の発生状況を十分に把握しておらず、給食機関等に対する新ソフトの操作教育の必要性についても十分に認識していなかった。
そして、艦補処は、給食機関等から利用開始後に発生した新ソフトの不具合の連絡を逐次受けていたが、富士電機ITと不具合の修補に関する協定を締結するのが大幅に遅延しているなど、新ソフトを円滑に利用するための管理が適切に行われていない状況となっていた。
以上のように、貴自衛隊においては、給食事務の効率化がほとんど図られておらず、4731万余円を要して改修した新ソフトが有効に利用されていない状況となっていた。
給食ソフトの改修は、貴自衛隊における給食事務の効率化を図ることなどの目的で行われているにもかかわらず、給食機関等において新ソフトが十分利用されていない事態は適切とは認められず、是正改善を図る要があると認められる。
このような事態が生じているのは、海上幕僚監部において、新ソフトに係る運用方針及び運用計画を策定するなどしておらず、その利用について給食機関等の裁量に任せていたこと、給食機関等における新ソフトの利用状況及び不具合の発生状況を十分に把握しておらず、操作教育等の必要性についても十分認識していなかったことなどによると認められる。
貴自衛隊においては、今後も引き続き新ソフトを給食機関等において利用していくこととしている。
そして、前記の事態についての本院の指摘に基づき、海上幕僚監部は、23年8月31日付けで運用方針及び運用計画を策定し、給食機関等及び艦補処に対して通知を発して、新ソフトを利用した給食事務に移行できるよう体制を整備するなどするとともに、艦補処は、23年9月末までに新ソフトの不具合の修補を完了している。
ついては、今後、新ソフトを有効に利用して、貴自衛隊における給食事務の一層の効率化を図るため、海上幕僚監部において、新ソフトの利用状況の把握に努め、給食機関等における習熟度の向上を図るために早急に操作教育の方法を検討し、速やかに給食機関等に対して操作教育等を実施するよう是正改善の処置を求める。