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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第21 独立行政法人農畜産業振興機構|
  • 不当事項|
  • 補助金

酪農ヘルパー事業円滑化対策事業の実施に当たり、補助金により造成した基金が過大に使用されていたもの


(2) 補助金により造成した基金の使用が適切でなかったもの

1件 不当と認める機構の補助金 7,529,264円

 酪農ヘルパー事業円滑化対策事業の実施に当たり、補助金により造成した基金が過大に使用されていたもの

(1件 不当と認める機構の補助金 7,529,264円)

 酪農ヘルパー事業円滑化対策事業は、酪農ヘルパー事業円滑化対策事業実施要綱(平成15年15農畜機第48号。以下「実施要綱」という。)等に基づき、農家が休日を確保する場合、農家に突発事故が発生した場合等に、農家に代わって酪農ヘルパーが家畜の飼養管理を行う事業(以下「酪農ヘルパー事業」という。)を円滑に推進するため、酪農ヘルパー事業等を実施する農業協同組合等の団体(以下「利用組合」という。)に対して、補助金を交付するなどするものである。
 実施要綱等によれば、機構は、社団法人酪農ヘルパー全国協会(以下「全国協会」という。)に対して補助金を交付して酪農ヘルパー事業円滑化対策補助基金を造成させ、全国協会は同基金を取り崩して、都道府県知事の指定する団体(以下「都道府県団体」という。)が都道府県事業基金を造成するのに必要な資金の2分の1に相当する額の範囲内で、都道府県団体に対して補助金を交付することとされている。そして、都道府県団体は、都道府県事業基金を取り崩して、酪農ヘルパー事業等を実施する利用組合に補助金を交付したり、自ら酪農ヘルパー事業の普及・啓発のための推進会議を開催したりなどしている。
 本院が、機構、全国協会及び30事業主体(都道府県団体)において会計実地検査を行ったところ、1事業主体において次のような事態が見受けられた。

  補助事業者 間接補助事業者 補助事業 年度 事業費 左に対する機構の補助金相当額 不当と認める基金取崩額 不当と認める機構の補助金相当額
千円 千円 千円 千円
(400) 社団法人酪農ヘルパー全国協会 社団法人福島県酪農ヘルパー協会
(事業主体)
酪農ヘルパー事業円滑化対策 16〜20 108,131 53,105 15,058 7,529

 都道府県団体である社団法人福島県酪農ヘルパー協会(以下「県協会」という。)は、県協会と7利用組合(平成16年度は12利用組合)が16年度から20年度までの間に、酪農ヘルパー事業円滑化対策事業を実施するための事業費計108,131,940円の財源の一部として、県協会が造成した基金(以下「県事業基金」という。)計106,210,000円(機構の補助金相当額53,105,000円)を取り崩したとして、全国協会に実績報告書を提出していた。
 しかし、県協会は、上記の実績報告書の作成に当たり、各利用組合の支払実績額を確認することなく、各利用組合に交付した当初の額をそのまま記載していたり、取り崩した県事業基金の一部を各利用組合に交付していなかったのに交付したこととしていたり、県協会が実施した研修費に事業の対象とならない観光施設の入場料等を含めていたりなどしていて、実績報告書は実績を反映したものになっておらず、本件補助事業に係る経理が適正を欠いていた。
 このため、県協会及び各利用組合の支出に係る証ひょう類、決算資料等を提出させた上で、これらの書類から本事業の事業費を精査したところ、適正な補助対象事業費は計91,151,474円となり、前記の県事業基金の取崩額計106,210,000円との差額計15,058,526円が県事業基金から過大に取り崩されており、これに係る機構の補助金相当額計7,529,264円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、県協会において、本件補助事業の適正な実施に対する認識が欠如していたこと、全国協会において、県協会に対する本事業の実施及び実績についての調査が十分でなかったこと、機構において、全国協会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。