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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第33 独立行政法人都市再生機構|
  • 不当事項|
  • 役務

顧客情報等総合管理システムの管理運営に係る業務委託契約において、実施する必要がなくなった業務に係る契約の変更を適切に行わなかったため、契約額が過大となっていたもの


(414) 顧客情報等総合管理システムの管理運営に係る業務委託契約において、実施する必要がなくなった業務に係る契約の変更を適切に行わなかったため、契約額が過大となっていたもの

科目 (都市再生勘定) (項)一般管理費
  (宅地造成等経過勘定) (項)一般管理費
    (項)市街地整備特別業務費
    (項)ニュータウン整備(大都市圏)事業費
部局等 独立行政法人都市再生機構募集販売本部(平成23年7月1日以降は同機構首都圏ニュータウン本部)
契約名 顧客情報等総合管理システム管理運営業務
契約の概要 顧客情報等を総合的に管理するシステムの管理運営業務を行うもの
契約の相手方 株式会社URリンケージ
契約 平成20年6月 随意契約
契約額 630,000,000円  
過大となっていた契約額 26,093,746円  

1 契約の概要

 独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)の本社は、平成20年6月に、本社、募集販売本部(23年7月1日以降は首都圏ニュータウン本部)、支社、出先事務所等がニュータウンの宅地の造成、販売等の事業及び業務を効率的かつ円滑に遂行できるようにするため、これらの事業及び業務に係る顧客情報、販売実績等を総合的に管理する顧客情報等総合管理システム(以下「総合管理システム」という。)について、同年7月から23年3月までの間における管理運営業務を契約額630,000,000円で、株式会社URリンケージ(以下「リンケージ」という。)に公募を経た随意契約により委託している。そして、21年5月までは、本件委託業務の監督、履行状況の確認、契約の変更が必要な場合の変更契約の締結、支払等の事務は、本社が行っていたが、同年6月の組織改編により、業務の所掌が本社から募集販売本部に移管されたことに伴い、同月以降、上記の事務は募集販売本部が引き継いで行っている。
 本社は、本件委託契約の締結時に、総合管理システムと21年度中に設計及び開発を予定している経営実績等を管理するシステム(以下「経営管理システム」という。)とを接続することとしていて、この接続に当たっては、総合管理システムと経営管理システムの双方で設計、改修等を実施することとしていた。そして、委託契約では、仕様書により、総合管理システムの設計、改修等(以下「設計・改修等」という。)を実施する時期が到来した時にこれを実施することとしていて、委託費に設計・改修等に係る経費(以下「設計改修費」という。)を含めていた。
 契約書によると、設計改修費を含む委託費の支払は、3か月ごとに11回に分けて行うこととしていて、その支払額は、1回目から10回目までは契約額の10分の9の額を10等分した額とし、最終の11回目は残りの10分の1とすることとされている。また、機構は、必要があるときは、委託業務の内容を変更することができ、これにより委託費を変更する必要があるときは、リンケージと協議することとされている。
 そして、本社が定めた「業務委託契約事務処理要領の運用について」(平成16年7月本社経理資金部長通知)によると、契約書及び仕様書の記載事項の内容に変更があった場合には、直ちに契約の変更を行わなければならないとされている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、本社及び募集販売本部において、合規性、経済性等の観点から、契約処置が適切に行われているかなどに着眼して、本件委託契約を対象に、契約書、仕様書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
 すなわち、募集販売本部は、21年9月に、情報セキュリティ等の問題から総合管理システムと経営管理システムの接続等を行わないこととしており、これにより設計・改修等を実施する必要がなくなっていた。
 しかし、募集販売本部は、本件委託契約の内容に設計・改修等が含まれていないと誤認していて、委託業務の内容を変更して契約額を減額する契約の変更を行っていなかった。このため、23年2月の会計実地検査までに行われた10回の委託費の支払において、設計改修費の10分の9に相当する額が支払われていた。
 したがって、募集販売本部が、契約の変更により設計改修費を減額していれば、本件契約額は603,906,254円となり、前記の契約額630,000,000円は、これに比べて26,093,746円が過大となっていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、本社及び募集販売本部において、契約内容の引継ぎが十分でなかったこと、募集販売本部において、仕様書等の内容を十分に確認していなかったことなどによると認められる。