科目 | (都市再生勘定) | (款)賃貸住宅業務収入 | |
(項)賃貸住宅業務収入 | |||
(都市再生勘定) | (項)賃貸住宅業務費 | ||
部局等 | 独立行政法人都市再生機構本社、東日本支社等5支社(平成23年7月1日以降は、同機構本社、東日本賃貸住宅本部、千葉地域支社等4支社) | ||
賃貸住宅団地内の敷地の貸与の概要 | 賃貸住宅団地内の居住者の利便に供する施設の用に供するため、市町村等や社会福祉法人、公益事業を営む者等に敷地を賃貸し、又は使用させるもの | ||
貸与面積が100m2 以上の敷地の件数及び面積 | 980件 | 1,403,841m2 | |
上記のうち固定資産税等を実負担しているものの件数及び面積 | 38件 | 30,695m2 | |
節減できた固定資産税等の実負担額 | 3843万円 | (平成18年度〜22年度) |
(平成23年10月21日付け 独立行政法人都市再生機構理事長宛て)
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。
記
貴機構は、賃貸住宅団地内の居住者の利便に供する施設の用に供するため、貴機構本社制定の「賃貸住宅団地財産管理取扱要領」等により、当該施設を設置、運営する者に対して、賃貸住宅団地内の敷地を賃貸し、又は敷地の使用を認めることができるとしている(以下、賃貸と使用を認めることを合わせて「貸与」という。)。
また、敷地の貸与に当たり、一定の施設の敷地について、特に必要があると認めるときは、無償又は所定の方法により算定した額より低い額により敷地を貸与することができるなどとしている。
そして、貴機構の各支社は、賃貸住宅団地の建設に当たり居住者の利便を図るために誘致するなどした公共公益施設等の敷地について、無償又は低額の賃貸料により貸与している。
地方税法(昭和25年法律第226号)によると、固定資産税は、固定資産の所在する市町村(東京都23区の場合は東京都。以下「地方団体」という。)が、毎年1月1日における当該固定資産の所有者に課するものとされている。
ただし、地方団体は、国、都道府県、市町村等(以下、これらを合わせて「市町村等」という。)が公用又は公共の用に供する固定資産や社会福祉法人等が児童福祉施設の用に供する固定資産として、所有者が無償で市町村等や社会福祉法人等に使用させる場合には、固定資産税を課することができないとされており、固定資産税を課することができない土地等に対しては都市計画税も同様に課することができないとされている(以下、固定資産税と都市計画税を合わせて「固定資産税等」という。)。
また、地方団体は、条例の定めるところにより、固定資産税等を減免することができるとされており、各地方団体の条例によると、「公益のために直接専用する固定資産(有料で使用するものを除く。)」等は、固定資産税等を減免できるとされている。
そして、これら固定資産税等の非課税及び減免の取扱いに当たっては、地方団体の条例等により、固定資産の所有者が地方団体に対して固定資産税等の非課税の申告や減免の申請を行うことなどとされている。
貴機構は、市町村等や社会福祉法人、公益事業を営む者等に対して、保育所、バス折り返し場、幼稚園等の施設の用に供するため、賃貸住宅団地内の敷地を多数貸与している。
そこで、本院は、経済性等の観点から、賃貸住宅団地内の敷地に係る固定資産税等の負担は適切なものとなっているかに着眼して、貴機構の東日本支社等7支社(注1)
(平成23年7月1日以降は、東日本賃貸住宅本部及び千葉地域支社等6支社)が、22年度に貸与している賃貸住宅団地内の敷地のうち、敷地面積が100m2
以上の980施設の敷地(無償で使用させているもの689施設、賃貸しているもの291施設、面積計1,403,841m2
)を対象として、18年度から22年度までの間の固定資産税等の負担状況を契約書、課税内訳の書類等により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
東日本支社等3支社(注2)
は、9団地において、保育所、給水施設、災害救助物資保管所、行政連絡員事務所、交番等の9施設の敷地(面積計7,877m2
)を市町村等及び社会福祉法人に無償で使用させている。そして、地方団体からこれらの敷地に係る固定資産税等計620万余円を課され、これを納付している。
しかし、上記の敷地は、市町村等及び社会福祉法人に対し、公用若しくは公共又は児童福祉施設の用に供する敷地として無償で使用させているもので、固定資産税等を課すことができないとされているものであるのに、東日本支社等3支社が、固定資産税等の非課税の申告をせず、地方団体から課された固定資産税等をそのまま納付しているのは適切とは認められない。
東日本支社等5支社(注3)
は、23団地において、バス折り返し場、郵便作業所等の26施設の敷地(面積計12,690m2
)をバス会社、郵便事業株式会社等に無償で使用させている。そして、地方団体からこれらの敷地に係る固定資産税等計2247万余円を課され、これを納付している。
しかし、地方団体においては、これらの敷地について、条例等で固定資産税等を減免できることとしている場合があり、その場合には、申請を行うことにより減免の取扱いを受けることができると認められるのに、東日本支社等5支社は、上記の敷地について、減免が受けられるか否かの確認をしないまま固定資産税等を納付しており適切とは認められない。
また、減免の取扱いを受けることができないとしても、敷地の使用者にも一定の便益が生じていることや、固定資産税等相当額は敷地を無償で使用する者に負担を求めるべき経費であることなどから、無償で敷地を使用させた上に、更に固定資産税等まで負担することは適切とは認められない。
千葉地域、埼玉地域両支社は、3団地において、幼稚園及びバス運行基地3施設の敷地(面積計10,128m2
)を学校法人やバス会社に賃貸して、賃貸料を計1546万余円収受している。一方、地方団体からこれらの敷地に係る固定資産税等計2522万余円を課され、これを納付しており、賃貸料はこれを計975万余円下回っている。
しかし、敷地の賃貸料は、敷地を使用収益させることの対価であり、少なくとも敷地の管理に必要な経費以上の額とするのが合理的であるのに、千葉地域、埼玉地域両支社が賃貸料の見直しを行わず、固定資産税等を賄うに足りる額の賃貸料の支払を求めていないことは適切とは認められない。
したがって、上記の(1)から(3)までの38施設の敷地について、固定資産税等の非課税や減免の取扱いを受けたり、固定資産税等相当額を敷地の使用者から収受したり、賃貸料を固定資産税等相当額まで増額したりすることにより、貴機構の固定資産税等の実負担相当額を3843万余円節減できたと認められる。
(是正及び是正改善を必要とする事態)
上記のとおり、無償で使用させている敷地について、地方団体に固定資産税等の非課税の申告や減免の申請をしたり、敷地の使用者に固定資産税等相当額の負担を求めたりすることなく、地方団体から課された固定資産税等を納付している事態、また、賃貸している敷地について、賃貸料を見直さないまま固定資産税等を賄えない低い額としている事態は適切でなく、是正及び是正改善を図る要があると認められる。
(発生原因)
このような事態が生じているのは、東日本支社等5支社において、固定資産税等の非課税や減免の取扱いについての理解が十分でないこと、敷地の使用者に固定資産税等相当額の負担や固定資産税等を賄うに足る賃貸料の支払を求めて固定資産税等の実負担相当額の節減を図ることについての認識が十分でないことなどによると認められる。
貴機構においては、無償又は低額な賃貸料で貸与できる敷地の範囲を見直し、有償化を図っているところであるが、従前に貸与した敷地を含め、今後も引き続き賃貸住宅団地内の敷地を無償又は低額な賃貸料で市町村等や社会福祉法人、公益事業を営む者等に貸与することが見込まれる。
ついては、貴機構において、賃貸住宅団地内の敷地の貸与を適切かつ経済的に行うよう、アのとおり是正の処置を要求し及びイのとおり是正改善の処置を求める。
ア 前記38施設の敷地について、地方団体に固定資産税等の非課税の申告や減免の申請をしたり、敷地の使用者に固定資産税等相当額の負担を求めたり、敷地の賃借人に固定資産税等相当額以上の額まで賃貸料の増額を求めたりすること
イ 賃貸住宅団地内の敷地を貸与している支社等に対して、今後、敷地を無償で使用させる場合は、当該敷地に係る固定資産税等の非課税又は減免の取扱いについて確認し、地方団体に非課税の申告又は減免の申請をしたり、敷地の使用者に固定資産税等相当額の負担を求めたりするよう周知すること、また、敷地を賃貸する場合は、少なくとも固定資産税等相当額以上の賃貸料を求めるよう周知するとともに、定期的に賃貸料を見直すよう指導すること
(注1) | 東日本支社等7支社 東日本、千葉地域、神奈川地域、埼玉地域、中部、西日本、九州各支社
|
(注2) | 東日本支社等3支社 東日本、千葉地域、埼玉地域各支社
|
(注3) | 東日本支社等5支社 東日本、千葉地域、神奈川地域、埼玉地域、九州各支社
|