独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)は、賃貸住宅等の管理等に関する業務を行っているが、賃貸住宅団地内における駐車場事業については、当初駐車場の整備及び経営に人員等を振り向けることが困難であったため、機構の出資会社である日本総合住生活株式会社(以下「JS」という。)に行わせてきた。しかし、住宅供給に係る経営方針が変化するなどしているのに、本来機構が賃貸住宅と一体的に管理すべき駐車場事業を競争性及び透明性が十分でないまま引き続きJSに行わせている事態が見受けられた。
したがって、機構において、JSの駐車場事業の経営及びその資産を承継することにより駐車場と賃貸住宅を一体的に管理して事業の一層の効率化を図るとともに、JSに対する投資の利益を回収して事業運営に資するよう、独立行政法人都市再生機構理事長に対して平成22年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、機構本社において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、24年3月末を目途に駐車場事業をJSから承継することとして、23年1月に、JSと事業譲渡に向けた基本的事項に係る覚書を交換するとともに、事業を適正な価額で譲り受けるために駐車場事業資産の評価方法等について検討を行っている。また、承継後、駐車場利用者のサービス向上及び業務の効率化に資するために賃貸住宅との一体的な管理を進めていくこととして、管理運営方法について検討を行っている。
JSに対する投資の利益の回収については、同社の経営状況等を勘案するとともに、国土交通省に設置された「独立行政法人都市再生機構の関係会社における利益剰余金の取扱いに関するワーキンググループ」における検討結果も踏まえつつ、適切に対応することとしている。