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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第42 独立行政法人中小企業基盤整備機構

施設管理補助業務に係る契約において、業務の履行の完了を確認するための検査が適切でなかったことなどのため、仕様書等で定める業務実施日に業務が実施されていない日があるのに請負代金の全額を支払っていたもの


(335) 施設管理補助業務に係る契約において、業務の履行の完了を確認するための検査が適切でなかったことなどのため、仕様書等で定める業務実施日に業務が実施されていない日があるのに請負代金の全額を支払っていたもの

科目 (一般勘定)  新事業支援業務費 等
(施設整備等勘定)  新事業支援業務費 等
部局等 独立行政法人中小企業基盤整備機構中部支部、近畿支部、九州支部(平成24年4月1日以降は、同機構中部本部、近畿本部、九州本部)
契約名 平成19年度クリエイション・コア名古屋施設管理補助業務請負契約等9契約
契約の概要 インキュベーション施設の管理等に関する業務を実施するもの
契約の相手方 中小企業・地域シェアドサービス株式会社
契約 平成19年4月〜23年4月契約9件(随意契約4件、一般競争契約5件)
業務の履行の完了を確認するための検査 平成19年5月ほか
支払 平成19年5月ほか
支払額 234,346,432円  (平成19年度〜23年度)
過大となっていた支払額  17,218,650円  (平成19年度〜23年度)

1 施設管理補助業務の概要

(1) 施設管理補助業務の概要

 独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)は、中部支部、近畿支部及び九州支部(平成24年4月1日以降は、機構中部本部、近畿本部及び九州本部。以下「3支部」という。)において、研究開発の成果等をもとに創業する者や新事業展開を行おうとする企業等に対して、低賃料の事務室や工場を提供することにより、その成長を促進させることを目的とした施設(以下「インキュベーション施設」という。)の整備・運営を行っている。
 3支部は、19年4月から23年4月までの間に、一般競争契約又は随意契約により、中小企業・地域シェアドサービス株式会社(以下「地域シェアドサービス」という。)と9件の請負契約を締結して、インキュベーション施設の入居者等からの報告・連絡・相談受付対応、関係機関との相互連絡事項の取次ぎ、施設内巡回等のインキュベーション施設の管理及び入居者支援等に関する業務(以下「施設管理補助業務」という。)を実施させ、請負代金計234,346,432円を支払っている。
 施設管理補助業務の実施体制は、3支部においては、各支部に常駐して地域シェアドサービスに対し指示及び監督を行う監督職員として、インキュベーション施設の整備・運営を行う担当課(以下「担当課」という。)の職員を充てることとしており、一方、地域シェアドサービスにおいては、本業務の統括を行う者として業務管理者を定め、本業務を履行する業務従事者を各インキュベーション施設に1名ずつ常駐させることとしている。そして、監督職員は、業務管理者に対して指示を伝達し報告を受けて業務を監督し、業務管理者は、業務従事者に対して指示を伝達し報告を受けて業務を実施する体制となっている。
 仕様書等によると、施設管理補助業務の業務実施日は、機構と同様に、土曜日、日曜日、「国民の祝日に関する法律」(昭和23年法律第178号)に規定する休日、機構が指定する日等を除く毎日とされている

(2) 施設管理補助業務の完了検査

 地域シェアドサービスは、契約書に基づき、毎月5日又は10日までに前月末現在の業務実施状況報告書をそれぞれの支部に提出して、各支部から履行の完了の確認を受けなければならないこととなっている。
 また、3支部においては、独立行政法人中小企業基盤整備機構会計規程(平成16年7月規程16第3号)等に基づき、分任契約担当役は契約の相手方から債務の履行を完了した旨の届出を受理したときは、自ら又は補助者(以下「補助者等」という。)に命じて、当該債務の履行の完了を確認するために必要な検査(以下「完了検査」という。)を行うこととされている。
 そして、地域シェアドサービスは、各支部から履行の完了の確認を受けた後、各支部に対して請負代金の支払を請求することとなっている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、施設管理補助業務が契約書、仕様書等に従って適切に行われ、完了検査が適切に実施されているかなどに着眼して、機構本部及び3支部における前記の9契約を対象として、施設管理補助業務に係る契約書、仕様書、報告書等の関係書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 3支部は、毎月、地域シェアドサービスから業務実施状況報告書が提出されたときには、担当課の監督職員が、この報告書や業務従事者が日々行った業務の概要が記載された添付書類に基づいて、実施された業務が仕様書等に定められた業務内容に適合しているかなどの確認を行っており、補助者等は、この確認に基づいて完了検査を行っていた。
 しかし、業務実施状況報告書、これに係る添付書類等によると、19年度から23年度までの間において、業務従事者が業務を実施すべき日数延べ7,474日のうち、休暇を取得するなどして業務が実施されていない日数が延べ711日あったにもかかわらず、3支部は、毎月の完了検査でこれを見過ごしていた。このため、担当課の監督職員は、業務管理者に対して、業務従事者が業務に従事できない場合等に代替の業務従事者を業務に従事させるなどの指示を全く行っていなかった。
 したがって、本件契約は、仕様書等で定める業務実施日に業務が実施されていない日があるのに請負代金の全額を支払っていたもので適切ではなく、請負代金のうち業務が実施されていない日数に係る人件費等相当額17,218,650円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、3支部において、施設管理補助業務の実施に当たり、毎月の完了検査や業務についての指示及び監督を適切に行うことについての認識が十分でなかったことなどによると認められる。