大規模な治水事業（ダム、放水路・導水路等）に関する会計検査の結果について

（1）　事業の目的、必要性等についての検討の状況

・「志津見ダムの建設に関する基本計画」が作成されている。

（2）　事業の実施状況

・計画事業費1450億円に対し、平成22年度末までに1290億円を執行しており、計画事業費に対する執行済事業費の割合は89.0％となっている。
・事業期間28年間に対し、事業着手後の経過年数（22年度末現在）は28年となっており、事業期間に対する事業着手後の経過年数の割合は100％となっている。
・23年6月に完成した。

（3）　事業費の推移及び事業計画の変更等に伴う見直し等の状況

・当初計画事業費660億円に対し、計画事業費の変更を1回行っていて、変更後の計画事業費は1450億円となっており、当初と比較して2.1倍（790億円の増）となっている。
・ダム本体の容量変更を伴わない計画事業費の増額変更を1回行っていて、当初計画事業費に対する変更による増額分の割合を当初計画事業費の算定時期からの経過年数で除した1年当たりの増加率は10.0％となっている。
・当初事業期間15年間に対し、事業期間の変更を1回行っていて、変更後の事業期間は28年間となっており、当初と比較して1.8倍（13年間の延長）となっている。
・事業期間を過ぎてから事業期間の延長変更を1回行っている。
・アロケーション変更の主な要因は、工業用水が30,000m³ /日から10,000m³ /日に変更されたこと及び発電が追加されたことに伴うものである。

（4）　事業再評価時における投資効果等の検討の状況

・現在価値化については、評価時点より前について社会的割引率4％を用いて現在価値化していない。
なお、22年12月の事業評価監視委員会において、評価時点より前に計上されたダム建設費等について社会的割引率を用いて現在価値化するとともに、不特定容量の便益の算定について身替り建設費をダム整備期間中の各年度に割り振って再計算を行った結果（費用便益比＝1.8）を報告している。