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  • 平成25年7月

東日本大震災からの復旧・復興事業における入札不調について


3 検査の状況

(1) 入札不調の発生状況等

東日本大震災が発生する前の22年度に、東北3県が発注した工事に係る入札不調の発生割合は、表3のとおり、宮城県で4.6%、福島県で1.6%、岩手県で0.9%となっていた。

表3 入札不調の発生件数と発生割合(平成22年度)

(単位:件)
事業主体 入札不調件数 入札工事件数 入札不調発生割合
岩手県 6 651 0.9%
宮城県 22 471 4.6%
福島県 18 1,077 1.6%
46 2,199 2.0%
注(1)
連絡協議会(第3回)の資料により作成している。
注(2)
土木一式工事に係る一般競争入札等の実績である。

そして、23年10月以降に入札に付すなどされた前記の4,538件の工事に係る入札不調の発生状況等は、次のとおりとなっている。

ア 入札不調の発生状況

(ア) 事業主体別の入札不調の発生状況

入札不調の発生割合は、表4のとおり、直轄事業と補助事業の合計でみると、件数で21.1%、金額で11.2%となっている。このうち、直轄事業についてみると、件数で15.7%、金額で5.2%となっている。

一方、補助事業のうち東北3県についてみると、件数で宮城県が27.2%、福島県14.2%、岩手県6.9%の順になっており、いずれも22年度の発生割合に比べて大幅に増加している。また、21市町についてみると、件数で宮城県管内の7市町が35.0%、福島県管内の7市町18.6%、岩手県管内の7市町16.4%の順になっている。

このように、宮城県及び同県管内市町における発生割合が高くなっているのは、前記のとおり、同県の査定決定額が東北3県の中で最も大きい1兆5092億余円となっており、これに伴い多額の災害復旧事業に係る工事の入札が行われたことが一因であると考えられる。

なお、事業主体別の入札不調の発生割合をみると、件数、金額いずれにおいても、市町、県、直轄事業の順に高くなっている。

表4 事業主体別の入札不調の発生件数、金額及び発生割合(平成23年10月から24年9月まで)

(単位:件、百万円)
事業区分 事業主体 入札不調 落札 入札不調発生割合
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
直轄
事業
東北地方整備局 151 13,187 824 248,903 975 262,091 15.4% 5.0%
東北農政局 26 2,023 122 23,628 148 25,651 17.5% 7.8%
177 15,210 946 272,532 1,123 287,743 15.7% 5.2%
補助
事業
岩手県 29 794 387 47,036 416 47,831 6.9% 1.6%
宮城県 264 28,663 704 143,468 968 172,131 27.2% 16.6%
福島県 67 3,646 402 49,823 469 53,470 14.2% 6.8%
360 33,104 1,493 240,328 1,853 273,432 19.4% 12.1%
岩手県管内の7市町 39 2,526 198 15,159 237 17.685 16.4% 14.2%
宮城県管内の7市町 291 20,882 540 34,925 831 55,808 35.0% 37.4%
福島県管内の7市町 92 2,295 402 18,988 494 21,283 18.6% 10.7%
422 25,703 1,140 69,073 1,562 94,777 27.0% 27.1%
合計 959 74,019 3,579 581,934 4,538 655,953 21.1% 11.2%
注(1)
金額は予定価格(税抜き)の合計額である(以下の表において同じ。)。
注(2)
工事の件数及び金額は、入札不調となり再度公告を行い入札に付すなどした場合には、それぞれを件数及び金額に再度計上している(以下の表において同じ。)。
注(3)
入札等の件数4,538件のうち23年10月から24年9月までに契約に至った3,579件の契約金額は計5622億9170万余円となっている。

さらに、市町別に入札不調の発生割合をみると、表5のとおり、件数、金額とも太平洋沿岸部の市町の方が、内陸部の市よりもわずかながら高くなっている。

また、発生割合を件数でみると、石巻市が50.6%、登米市48.0%、下閉伊郡山田町46.6%の順になっている。一方、陸前高田市、白石市及び郡山市においては、入札不調は発生していない。

表5 市町別の入札不調の発生件数、金額及び発生割合(平成23年10月から24年9月まで)

(単位:件、百万円)
県名 市町名 位置 入札不調 落札 入札不調発生割合
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
岩手県 宮古市 沿岸部 4 298 42 6,534 46 6,832 8.6% 4.3%
大船渡市 沿岸部 10 757 47 2,940 57 3,697 17.5% 20.4%
陸前高田市 沿岸部 27 929 27 929 0.0% 0.0%
釜石市 沿岸部 1 33 19 2,174 20 2,208 5.0% 1.5%
山田町 沿岸部 7 824 8 1,295 15 2,120 46.6% 38.9%
一関市 内陸部 16 580 46 1,120 62 1,701 25.8% 34.1%
奥州市 内陸部 1 31 9 164 10 195 10.0% 15.9%
宮城県 仙台市 沿岸部 87 3,308 194 13,396 281 16,704 30.9% 19.8%
石巻市 沿岸部 83 9,865 81 6,410 164 16,276 50.6% 60.6%
気仙沼市 沿岸部 16 1,611 67 6,576 83 8,188 19.2% 19.6%
名取市 沿岸部 31 2,000 50 2,732 81 4,733 38.2% 42.2%
南三陸町 沿岸部 1 29 21 1,256 22 1,285 4.5% 2.3%
白石市 内陸部 48 1,452 48 1,452 0.0% 0.0%
登米市 内陸部 73 4,065 79 3,101 152 7,166 48.0% 56.7%
福島県 いわき市 沿岸部 21 929 90 4,116 111 5,046 18.9% 18.4%
相馬市 沿岸部 11 476 60 3,030 71 3,507 15.4% 13.5%
新地町 沿岸部 8 287 34 2,878 42 3,165 19.0% 9.0%
福島市 内陸部 30 44 2,348 74 2,348 40.5%
郡山市 内陸部 36 837 36 837 0.0% 0.0%
白河市 内陸部 12 335 75 3,424 87 3,760 13.7% 8.9%
須賀川市 内陸部 10 266 63 2,350 73 2,617 13.6% 10.1%
沿岸部13市町の計 280 20,423 740 54,272 1,020 74,695 27.4% 27.3%
内陸部8市の計 142 5,280 400 14,801 542 20,081 26.1% 26.2%
合計 422 25,703 1,140 69,073 1,562 94,777 27.0% 27.1%
(注)
福島市の入札不調となった工事について、金額は同市が把握できないとしているため「―」とし、件数のみ計上している。
(イ) 入札及び契約方式別の入札不調の発生状況

入札及び契約方式別に入札不調の発生割合をみると、表6のとおり、件数で一般競争入札が24.0%と最も高くなっている。そして、指名競争入札が23.4%、随意契約が9.2%となっている。

なお、東北地方整備局、東北農政局及び宮城県が総合評価落札方式による一般競争入札を復旧・復興事業に係る工事で多数実施しているのは、品質を確保するよう努めていることによる。

また、福島県は緊急を要するという理由から随意契約を、21市町は指名競争入札をそれぞれ多数実施している。

表6 入札及び契約方式別の入札不調の発生件数、金額及び発生割合(平成23年10月から24年9月まで)

(単位:件、百万円)
事業主体 入札及び契約方式 入札不調 落札 入札不調発生割合
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
東北地方
整備局
一般競争入札 総合評価落札方式有 136 12,398 783 240,669 919 253,067 14.7% 4.8%
総合評価落札方式無 2 33 2 33 0.0% 0.0%
小計 136 12,398 785 240,702 921 253,100 14.7% 4.8%
指名競争入札 15 789 12 965 27 1,754 55.5% 44.9%
随意契約 27 7,235 27 7,235 0.0% 0.0%
東北農政
一般競争入札 総合評価落札方式有 25 1,986 120 23,521 145 25,507 17.2% 7.7%
総合評価落札方式無
小計 25 1,986 120 23,521 145 25,507 17.2% 7.7%
指名競争入札 1 37 1 74 2 111 50.0% 33.2%
随意契約 1 32 1 32 0.0% 0.0%
岩手県 一般競争入札 総合評価落札方式有 16 528 184 32,094 200 32,623 8.0% 1.6%
総合評価落札方式無 10 208 114 8,881 124 9,089 8.0% 2.2%
小計 26 736 298 40,975 324 41,712 8.0% 1.7%
指名競争入札
随意契約 3 58 89 6,060 92 6,118 3.2% 0.9%
宮城県 一般競争入札 総合評価落札方式有 237 27,420 539 131,834 776 159,254 30.5% 17.2%
総合評価落札方式無 1 48 4 536 5 585 20.0% 8.3%
小計 238 27,468 543 132,370 781 159,839 30.4% 17.1%
指名競争入札 15 723 14 922 29 1,646 51.7% 43.9%
随意契約 11 470 147 10,174 158 10,645 6.9% 4.4%
福島県 一般競争入札 総合評価落札方式有 4 88 41 1,963 45 2,052 8.8% 4.3%
総合評価落札方式無 1 16 16 269 17 285 5.8% 5.7%
小計 5 105 57 2,232 62 2,338 8.0% 4.5%
指名競争入札
随意契約 62 3,540 345 47,590 407 51,131 15.2% 6.9%
東北3県
の計
一般競争入札 総合評価落札方式有 257 28,037 764 165,892 1,021 193,930 25.1% 14.4%
総合評価落札方式無 12 273 134 9,687 146 9,960 8.2% 2.7%
小計 269 28,311 898 175,579 1,167 203,890 23.0% 13.8%
指名競争入札 15 723 14 922 29 1,646 51.7% 43.9%
随意契約 76 4,070 581 63,826 657 67,896 11.5% 5.9%
21市町 一般競争入札 総合評価落札方式有 1 298 13 3,668 14 3,967 7.1% 7.5%
総合評価落札方式無 235 17,268 287 23,654 522 40,922 45.0% 42.1%
小計 236 17,566 300 27,323 536 44,890 44.0% 39.1%
指名競争入札 183 8,103 673 31,251 856 39,355 21.3% 20.5%
随意契約 3 33 167 10,498 170 10,531 1.7% 0.3%
合計 一般競争入札 総合評価落札方式有 419 42,720 1,680 433,751 2,099 476,472 19.9% 8.9%
総合評価落札方式無 247 17,541 423 33,375 670 50,916 36.8% 34.4%
小計 666 60,261 2,103 467,127 2,769 527,388 24.0% 11.4%
指名競争入札 214 9,653 700 33,214 914 42,867 23.4% 22.5%
随意契約 79 4,103 776 81,592 855 85,696 9.2% 4.7%
(ウ) 入札不調の発生割合等の推移

事業主体別に入札不調の発生割合の推移についてみると、図1のとおり、東北地方整備局、東北農政局及び東北3県については、24年2月から同年5月にかけて15%以下まで一旦低くなっている期間もあるが、その後、同年6月頃から増加している。また、21市町については、20%以上で推移している。

図1 入札不調の発生割合等の推移(平成23年10月から24年9月まで)

入札不調の発生割合等の推移(平成23年10月から24年9月まで)
(エ) 入札不調となった工事の入札状況

入札不調となった工事の入札状況をみると、表7のとおり、全体では、応札者がいないものが77.1%、応札者はいるが入札価格が予定価格を上回っているため落札者がおらず不落となったものが19.1%となっており、応札者がいないものが大半を占めている。

また、これを予定価格の事前公表、事後公表の別にみると、予定価格の事後公表が行われている場合は、応札者がいないものが65.0%、不落となったものが31.3%となっているのに対して、事前公表が行われている場合は、応札者がいないものが95.7%と大部分を占めている。これは、予定価格を事前公表する場合は、応札を予定していた者が公表された予定価格では採算が合わないと判断し入札を控えたなどのためであると考えられる。

表7 事業主体別の入札不調となった工事の入札等の状況

(単位:件)
事業主体 応札者がいないもの 不落となったもの その他
予定価格の
公表時期
件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合
東北地方整備局 113 74.8% 37 24.5% 1 0.6% 151 100.0%
事前
事後 113 74.8% 37 24.5% 1 0.6% 151 100.0%
東北農政局 15 57.6% 9 34.6% 2 7.6% 26 100.0%
事前
事後 15 57.6% 9 34.6% 2 7.6% 26 100.0%
岩手県 21 72.4% 0.0% 8 27.5% 29 100.0%
事前 19 73.0% 0.0% 7 26.9% 26 100.0%
事後 2 66.6% 0.0% 1 33.3% 3 100.0%
宮城県 251 95.0% 6 2.2% 7 2.6% 264 100.0%
事前 246 96.4% 2 0.7% 7 2.7% 255 100.0%
事後 5 55.5% 4 44.4% 0.0% 9 100.0%
福島県 21 31.3% 45 67.1% 1 1.4% 67 100.0%
事前
事後 21 31.3% 45 67.1% 1 1.4% 67 100.0%
21市町 319 75.5% 87 20.6% 16 3.7% 422 100.0%
事前 98 100.0% 0.0% 0.0% 98 100.0%
事後 221 68.2% 87 26.8% 16 4.9% 324 100.0%
740 77.1% 184 19.1% 35 3.6% 959 100.0%
事前 363 95.7% 2 0.5% 14 3.6% 379 100.0%
事後 377 65.0% 182 31.3% 21 3.6% 580 100.0%
注(1)
不落とは、応札者はいるが入札価格が予定価格を上回り入札が不成立となることである。
注(2)
その他には、指名競争入札において応札者が1者であったため、競争性が十分確保されていないとして、入札要綱等に基づき入札を無効とした工事等が含まれている。
(オ) 工事の規模別の入札不調の発生状況

工事の規模別の入札不調の発生割合についてみると、図2のとおり、予定価格が少額になるほど高くなる傾向となっている。

図2 工事の規模別の入札不調の発生状況

工事の規模別の入札不調の発生状況
(カ) 事業別の入札不調の発生状況

事業別の入札不調の発生状況についてみると、表8のとおり、道路及び下水道に係る事業での入札不調の発生が件数、金額ともに多い状況となっている。

また、津波から人命や財産を守ることになる堤防、護岸等を整備する漁港、河川、港湾、海岸の各事業においても相当数の入札不調が発生している。

表8 事業別の入札不調の発生件数、金額及び発生割合

(単位:件、百万円)
事業名 入札不調 落札 入札不調発生割合
件数 金額 件数 金額 件数 金額 1件当たり
の金額
件数 金額
河川 111 7,609 288 47,659 399 55,269 138 27.8% 13.7%
海岸 12 2,277 208 59,750 220 62,028 281 5.4% 3.6%
砂防 6 111 14 1,062 20 1,174 58 30.0% 9.4%
道路 303 22,382 1,346 151,436 1,649 173,818 105 18.3% 12.8%
港湾 19 4,571 235 118,536 254 123,108 484 7.4% 3.7%
下水道 277 16,366 472 43,084 749 59,450 79 36.9% 27.5%
公園 23 795 52 2,316 75 3,112 41 30.6% 25.5%
住宅 10 346 50 6,313 60 6,660 111 16.6% 5.2%
漁港 51 11,972 294 84,740 345 96,713 280 14.7% 12.3%
農業 98 5,991 417 45,657 515 51,648 100 19.0% 11.6%
その他 49 1,593 203 21,374 252 22,968 91 19,4% 6.9%
959 74,019 3,579 581,934 4,538 655,953 144 21.1% 11.2%
(注)
「その他」は、事業区分が明確でないものなどについて集計している。

イ 入札不調が発生することによる工事の遅延状況

入札不調が発生すると、事業主体の発注担当者は再度公告を行い入札に付して(以下、このことを「再度公告入札」という。)、落札されるように、工事内容や地域要件等の入札参加資格を見直したり、入札事務が再び発生したりするため、再度公告入札を実施するまでに相応の時間を要することになり、その分、工事が遅延することも考えられる。

そこで、24年9月末時点において、再度公告入札を実施して落札者が決定した工事の当初入札日から再度公告入札日までの期間、落札者が決定しなかった工事の当初入札日から24年9月末までの期間(以下、これらの期間を「再度公告入札準備期間」という。)について、東北3県及び21市町の工事において確認できた267件についてみると、表9のとおり、再度公告入札準備期間が3か月を超えている工事が東北3県で16件、21市町で43件、このうち6か月を超えている工事が21市町で9件となっていた。

表9 再度公告入札準備期間の分布状況

(単位:件)
事業主体 1ヶ月以内 1ヶ月超
2ヶ月以内
2ヶ月超
3ヶ月以内
3ヶ月超
4ヶ月以内
4ヶ月超
5ヶ月以内
5ヶ月超
6ヶ月以内
6ヶ月超
1年以内
合計
東北3県 24
(8)
38
(10)
19
(8)
8
(1)
7
(0)
1
(0)
0
(0)
97
(27)
21市町 57
(19)
49
(10)
21
(5)
27
(4)
5
(0)
2
(0)
9
(3)
170
(41)
(注)
括弧内の件数は、平成24年9月末時点において落札者が決定していない工事の件数で内数である。

このように、一度入札不調が発生した場合には、再度公告入札を実施する際の発注担当者の業務量が増えることはもとより、着工の遅れから工事が数箇月遅延することも考えられる。

上記の事態について事例を示すと、次のとおりである。

<事例1>一般競争入札において入札不調となり、工事を追加して再度公告入札した事例

A県B市は、平成23年10月にC下水道災害復旧工事の一般競争入札を行ったが、応札者がいなかったことから入札不調となった。その後、再度、同年11月に2回目及び3回目の一般競争入札を行ったが、いずれも予定価格を下回る者がいなかったことから入札不調となった。

そこで、B市は、設計図書の内容を見直し、1回目の予定価格36,520,000円に仮設工や付帯工事を追加し予定価格52,060,000円として、同年12月に4回目の一般競争入札を行ったところ落札した。この間、2か月程度の期間を要している。

<事例2>指名競争入札において入札不調となり、複数の工事を合わせて再度公告入札した事例

D県E郡F町は、平成24年5月に、G漁港災害復旧(他3件)工事の予定価格を212,125,902円として事前公表し、町内に本社を有する複数の者を指名して指名競争入札を行ったが、応札者は1者であった。F町は、入札要綱により、2者以上の応札者がなければ競争性が十分確保できないことから入札が成立しないとしているため、本入札を無効とした。

そして、当該工事に3件の工事を合わせて予定価格を305,489,333円とし、同年8月に、G漁港災害復旧(他6件)工事として指名競争入札を行ったところ、2者の応札者があり落札した。この間、2か月程度の期間を要している。

<事例3>随意契約において入札不調となったが工事を実施できる期間が限られているため、およそ1年後に見積合わせを実施した事例

H県I農林事務所は、平成23年11月に、J施設災害復旧(23年災)工事(ため池整備)の随意契約を行うために、予定価格18,904,000円で見積合わせを行ったが、見積書の提出を依頼した9者が全て辞退したため入札不調となった。

その後、24年10月に再度、随意契約をするため9者に見積書の提出を依頼したところ、1者が見積書を提出し契約に至った。この間、10か月程度の期間を要している。

なお、見積合わせを翌年度の同時期に実施しているのは、春から秋の営農期間にため池を供用しなければならず、工期を冬から春に設定する必要があったためである。

(2) 東北3県における労働者、建設資材の需給の動向等

工事の完成に必要となる労働者や建設資材は、原則として、受注者がその一切を手配して契約を履行するものであるから、建設事業者は、工事を請け負うに足る労働者や建設資材を確保できなければ、入札の参加を控えることになる。

また、収益をもって費用を賄えなければ民間事業者としての経営が成り立たなくなることから、入札時に採算が合わなかったり、工事を落札できたとしても、契約締結後に労働者や建設資材の需給がひっ迫することにより労務費、建設資材の価格等が高騰することで、最終的な原価等が請負代金額を上回ることが予見されたりする場合には、建設事業者の入札に参加する意欲は低下することになる。

東北3県における労働者及び建設資材の需給の動向は、次のとおりとなっている。

ア 労働者の需給の動向等

東北3県における建築、土木関係の職種の有効求人倍率についてみると、表10のとおり、3県とも東日本大震災の発生後は高くなっており、人手不足の深刻な状況が続いている。なお、東日本大震災以降は、鉄筋工、型枠工等の技能労働者(以下「技能者」という。)の賃金に変動が見受けられるとされており、技能者に対する賃金の支払実態の調査等に基づき定められる公共工事の予定価格の積算に必要な設計労務単価(以下「公共工事設計労務単価」という。)は、後掲の表12のとおり、上昇傾向となっている。

表10 東北3県における各職種の有効求人倍率

県名 職種 23年3月 24年3月 24年6月 24年9月 24年12月 25年3月


建築・土木・測量技術者 1.10 3.40 3.85 5.74 5.27 5.32
型枠大工、とび工、鉄筋工 0.87 3.43 4.54 5.53 6.00 5.14
土木作業員、ダム・トンネル掘削作業員等 0.48 1.26 1.44 2.21 2.66 1.94


建築・土木・測量技術者 1.02 3.38 3.38 3.95 4.44 5.07
型枠大工、とび工、鉄筋工 7.42 8.01 9.81 16.43 9.12
土木作業員、ダム・トンネル掘削作業員等 2.79 2.99 3.36 4.12 3.68


建築・土木・測量技術者 2.98 4.01 4.64 3.98
型枠大工、とび工、鉄筋工 5.43 7.75 11.68 9.07
土木作業員、ダム・トンネル掘削作業員等 2.51 3.23 3.56 3.44
注(1)
東北3県の各労働局の「常用求人・求職バランスシート」等の資料により作成している。
注(2)
有効求人倍率が把握できなかったものについては「-」としている。

イ 建設資材の需給の動向等

(ア) 事業主体別の入札不調の発生状況

東北3県で実施される復旧・復興事業に係る工事において最も必要とされる建設資材として生コンクリートがあるが、生コンクリートの材料となる砂、砕石等の骨材が生コンクリートに占める割合は一般的に6割を超える。そこで、骨材として使用する砂及び砕石並びに生コンクリートの需給の動向についてみると、図3-1、図3-2及び図3-3のとおり、震災後徐々に全国平均とのかい離が生じ、ひっ迫した傾向にある。

図3-1 骨材(砂)の需給の動向

骨材(砂)の需給の動向
注(1)
国土交通省が公表している「主要建設資材需給・価格動向調査結果」により作成しているが、同調査は、沿岸部、内陸部を問わない県単位の調査となっている(図3-2及び図3-3も同じ)。
注(2)
上記の需給動向は、1(緩和)、2(やや緩和)、3(均衡)、4(ややひっ迫)、5(ひっ迫)として各モニターからの回答を平均したものであり、3.5を超えると需給はひっ迫傾向に、2.5に満たないと需給は緩和傾向にあるといえる(図3-2及び図3-3も同じ)。

図3-2 骨材(砕石)の需給の動向

骨材(砕石)の需給の動向

図3-3 生コンクリートの需給の動向

生コンクリートの需給の動向
(イ) 建設資材の単価の推移

一般的に、建設資材の需給がひっ迫すると、その結果として建設資材の価格は高騰することになる。そこで、震災以降の建設資材の単価を震災前の単価と比較してみると、図4のとおり、仙台地区においては、25年2月以降の生コンクリートの価格が震災前に比べて40%超と最も高い上昇率となっていた。

図4 主な建設資材の単価の推移等(仙台地区の例)

主な建設資材の単価の推移等(仙台地区の例)
注(1)
一般財団法人経済調査会及び一般財団法人建設物価調査会の資料により作成している。
注(2)
平成23年3月の価格を1.00として作成している。

以上のとおり、東北3県においては、労働者や建設資材の需給がひっ迫し、労務費や資材価格が高騰している。そして、建設事業者が新規に従業員を大量に雇用したり、建設資材の供給事業者が工場等の生産設備の本格的な増設等をしたりするためには多額の投資が必要になるが、復旧・復興による需要が5年間の集中復興期間を過ぎた後は一段落するという予測の下では、本格的な雇用、設備投資等には慎重にならざるを得ない。このため、各事業者は、多額の投資を要しない範囲内で、現在の従業員の業務量を増やしたり、日々の設備の稼働時間を増加させたりするなどして、復旧・復興事業に係る工事の受注に対応していると考えられる。

このように、現有の建設事業者の労働力や供給事業者の生産設備等を前提とすると、東北3県に所在する建設事業者等では限界があると考えられることから、早急に復旧・復興を進捗させるためには、労働者の広域的な確保や建設資材の広域的な調達を進めるための対策が重要であると考えられる。

(3) 国が講じている入札不調対策

連絡協議会は、24年2月に開催された第2回目の協議において、入札不調の原因としては、主に技術者や技能者の不足、実勢価格と予定価格とのかい離の二つが考えられるとしている。また、同年6月に開催された第3回目の協議において、今後、本格的に復興事業に係る工事が発注される段階ではこれまで以上の入札不調対策が求められるとしている。そして、これらの連絡協議会の内容を踏まえて、国土交通省及び農林水産省は、表11のとおり、技術者や技能者を確保したり、予定価格等を適切に算定したりするための入札不調対策を講じ、東北地方整備局、東北農政局、東北3県等に対して、通知等を発出して周知している(通知等については別表1参照)。

表11 入札不調対策の概要

目的 入札不調対策
(注)
ア 技術者や技能者の
確保のための対策
①復興JV制度の活用
②1人の主任技術者が管理できる近接工事等の明確化
イ 予定価格等の適切
な算定のための対策
③実勢価格を反映した公共工事設計労務単価の設定
④急激な物価変動に伴う請負代金額の変更(インフレスライド)
⑤急激な物価変動に伴う請負代金額の変更(単品スライド)
⑥発注ロットの拡大を踏まえた間接工事費の算出、点在する工事箇所ごとの工事費の算定
⑦被災地以外からの技術者・技能者の確保に要する追加費用への対応
⑧宿泊等に係る間接費の設計変更の導入
⑨建設資材の遠隔地からの調達に伴う設計変更の導入
(注)
技術者とは、建設業法(昭和24年法律第100号)等に規定する一定の国家資格、実務経験等を有する者であり、工事現場において工事の施工の技術上の管理を行うため、下請代金の多寡により監理技術者又は主任技術者の配置が必要となる。

上記の各対策の内容は、次のとおりとなっている(各対策には表11に対応する番号を付してある。)。

ア 技術者や技能者の確保のための対策

(ア) 復興JV制度の活用(①)

東北3県における建設工事については、不足する技術者や技能者を広域的な観点から確保することを可能とするため、国土交通省は24年2月に、農林水産省は同年3月に、従来は地元の建設事業者のみが入札に参加していた工事において、被災地域の地元の建設事業者が被災地域外の建設事業者と結成する共同企業体が入札に参加できる制度(以下、この共同企業体を「復興JV」といい、復興JVが入札に参加できる制度を「復興JV制度」という。)を試行的に導入した。

そして、当初は予定価格が5億円程度を上回る大規模な工事又は技術的難易度の高い工事は対象から除くこととしていたが、その後、依然として入札不調が多数発生している状況に鑑みて、24年10月にこの金額を引き上げ、復興JVの対象となる工事を拡大している。

(イ) 1人の主任技術者が管理できる近接工事等の明確化(②)

建設業法(昭和24年法律第100号)及び同法施行令(昭和31年政令第273号)により、国又は地方公共団体が発注する建設工事等で1件の請負代金の額が2500万円(当該建設工事が建築一式工事である場合については5000万円)以上の工事については、より適正な施工の確保が求められるため、当該建設工事に関し工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者である主任技術者等は、工事現場ごとに、専任の者でなければならないとされている。ただし、建設工事のうち密接な関係のある二以上の建設工事を同一の建設事業者が同一の場所又は近接した場所において施工するものについては、同一の専任の主任技術者がこれらの建設工事を管理することができるとされている。

しかし、上記の内容については限定的に運用されていたことから、国土交通省は、技術者確保のために、24年2月に、工事の対象となる工作物に一体性又は連続性が認められる工事で、かつ、工事現場の相互の間隔が5km程度の近接した場所において同一の建設事業者が施工するものについては、1人の専任の主任技術者が原則2件程度の工事を管理することができることとした。さらに、25年2月には、工事の対象となる工作物に一体性又は連続性が認められる工事のほか、施工に当たり相互に調整を要する工事についても、1人の専任の主任技術者が原則2件程度の工事を管理することができることとした。

また、これを受けて、農林水産省も24年2月に、この内容について周知している。

イ 予定価格等の適切な算定のための対策

(ア) 実勢価格を反映した公共工事設計労務単価の設定(③)

国土交通省及び農林水産省は、毎年10月に建設労働者等に対する賃金の支払実態に関する調査を行い、翌年3月に各都道府県ごとの公共工事設計労務単価を決定している。

しかし、両省は、東北3県で入札不調が多発しており公共工事設計労務単価の見直しが求められているとして、24年2月及び6月にそれぞれの年度の公共工事設計労務単価を改定している。その後、25年3月に両省は、24年10月に行った調査に基づき、25年度の公共工事設計労務単価を決定している。

これにより、東北3県における公共工事設計労務単価は、表12のとおり、25年度の単価は震災直後の23年度の単価に比べて、20%以上の上昇となっている。これは、国土交通省及び農林水産省によれば、労働市場の実勢価格を反映させることに加えて、これまで加味していなかった法定福利費相当額を含めることとしたり、被災地等の入札不調の抑制のために単価を引き上げることとしたりしたことによるとしている。

表12 公共工事設計労務単価の推移

(単位:円/日)
職種 県名 平成23
年度
(A)
24年度 平成25
年度
(A)
B/A
(%)
24年2月
改定
24年6月
改定
型枠工 岩手県 16,100 16,800 16,800 16,800 21,200 131.6%
宮城県 16,700 18,100 18,100 19,100 24,000 143.7%
福島県 13,600 14,200 14,200 14,200 17,000 125.0%
とび工 岩手県 12,600 13,200 13,200 13,200 16,600 131.7%
宮城県 13,100 14,200 14,200 15,000 18,900 144.2%
福島県 14,200 14,900 14,900 14,900 17,900 126.0%
鉄筋工 岩手県 13,900 14,500 14,500 14,500 18,300 131.6%
宮城県 15,500 16,800 16,800 17,700 22,400 144.5%
福島県 14,800 15,500 15,500 15,500 18,600 125.6%
普通作業員 岩手県 11,800 11,800 11,800 11,800 15,100 127.9%
宮城県 11,100 11,800 11,800 11,800 15,100 136.0%
福島県 10,700 10,700 10,700 11,700 15,000 140.1%
交通誘導員A 岩手県 7,100 7,900 7,900 7,900 9,600 135.2%
宮城県 7,900 8,800 8,800 8,800 10,600 134.1%
福島県 8,400 8,600 8,600 8,600 10,300 122.6%
(注)
交通誘導員Aとは、交通誘導警備業務に係る一定の資格を有する警備業者の警備員をいう。
(イ) 急激な物価変動に伴う請負代金額の変更(④、⑤)

国土交通省及び農林水産省が7年に策定した標準の工事請負契約書においては、予期することのできない特別の事情により、工期内に急激な物価変動を生じ、請負代金額が著しく不適当となったときは、受注者は請負代金額の増額変更を請求することができるなどとされている(以下、このことを「インフレスライド」という。)。しかし、この運用について具体的な基準等がなかったことから、両省は24年2月に適用対象工事、請負代金の変更額の算定式等の運用基準を定めた。

また、特別な要因により工期内に主要な工事材料の価格が著しい変動を生じ、請負代金額が不適当となったときは、発注者又は受注者はその変更を請求することができるとされている(以下、このことを「単品スライド」という。)。単品スライドの対象となる工事材料、請負代金の変更額等の算定式を定めた運用基準については、20年に両省から各都道府県等に周知されている。

(ウ) 発注ロットの拡大を踏まえた間接工事費の算出、点在する工事箇所ごとの工事費の算定(⑥)

東北地方整備局、東北農政局、東北3県等は、迅速かつ効率的な施工を確保するために、発注する工事1件当たりの規模(以下「発注ロット」という。)を大型化することとしている。しかし、発注ロットを大型化すると、1件の工事であっても施工箇所が点在することにより、建設機械を複数箇所に運搬する費用や複数箇所の交通規制等がそれぞれの箇所で発生するなど、積算額と実際にかかる費用がかい離することが考えられることから、国土交通省は、従来、市町村をまたいで工事箇所が複数ある工事について、工事箇所ごとに共通仮設費等の間接工事費を算出できるとしており、同省は、24年2月に、東北地方整備局にこの内容を再度周知している。

さらに、国土交通省は同年6月に、農林水産省は25年3月に、市町村合併に伴い広域の市町村が存在している状況に鑑みて、市町村をまたがなくても、積算額と実際に要する費用との間にかい離が生ずるおそれがあると事業主体が判断する工事については、市町村より狭い範囲で工事箇所を設定して、この工事箇所ごとに間接工事費を算出できると周知している。

(エ) 被災地以外からの技術者・技能者の確保に要する追加費用への対応、宿泊等に係る間接費の設計変更の導入(⑦、⑧)

国土交通省は24年2月に、農林水産省は同年3月に、復興JV制度の試行等に伴い、東北3県においては、今後、東北3県以外からの技術者・技能者の確保の動きが進むと考えられることにより、現行の積算基準による積算では技術者・技能者に係る宿泊費等にかい離が生ずることが想定されるとして、土木請負工事工事費積算基準(昭和42年7月建設省官技発第35号。建設事務次官通達別紙)等により算定される共通仮設費率及び現場管理費率に補正係数を乗ずることにより対応することとした。

さらに、国土交通省は24年6月に、農林水産省は同年7月に、今後の復興事業の本格化に伴って東北3県以外からの技術者・技能者の確保が更に必要になる場合が想定されるとして、契約締結後、技術者・技能者の確保に要する方策に変更があった場合に必要になる宿泊費、技術者・技能者の輸送に要する費用等については、設計変更により対応することとした。

(オ) 建設資材の遠隔地からの調達に伴う設計変更の導入(⑨)

国土交通省は24年6月に、農林水産省は同年7月に、復興事業等の実施に伴って、東北3県においては、一部の建設資材の需給がひっ迫しつつあり、場合によっては遠隔地から調達せざるを得なくなることが想定されるとして、東北3県における工事を円滑に実施するために、工事実施段階において当初の調達条件により難い場合には、調達の実態を反映して、輸送費、購入費等については、設計変更により対応することとした。

以上のとおり、①は入札に参加できる者を増やそうとする対策であり、②は入札に参加できる機会を増やそうとする対策である。また、③、⑥及び⑦は実勢価格を反映した予定価格とすることにより、④、⑤、⑧及び⑨は受注者が契約締結後に採算が合わなくなる懸念を払拭することにより、建設事業者が入札に参加しやすくしようとするなどする対策である。

(4) 入札不調対策の導入状況、活用実績等

ア 事業主体における入札不調対策の導入状況及び活用実績

国の入札不調対策の内容は、国土交通省及び農林水産省から東北地方整備局、東北農政局、東北3県等に周知されているが、入札不調対策の導入及び活用については、事業主体の判断に任されている。そこで、事業主体における国の入札不調対策の導入状況及び活用実績についてみると、表13のとおり、東北地方整備局、東北農政局及び東北3県についてはほとんどの対策は導入されて活用されているが、一部の市町については導入されていない対策も見受けられた。特に、復興JV制度については、仙台市及び石巻市以外の19市町については導入されていないが、その理由は復興JV制度を導入する際の構成員の条件等を定めることが困難であり、また、復興JVを結成することができる地元建設事業者の絶対数が足りないことなどとなっていた。

また、導入されているものの活用率の低い対策も見受けられた。

表13 各事業主体における国の入札不調対策の導入状況及び活用実績

事業主体 入札不調対策
①復興J
V制度の
活用
②1人の
主任技術
者が管理
できる近
接工事等
の明確化
③実勢価
格を反映
した公共
工事設計
労務単価
の設定
④急激な
物価変動
に伴う請
負代金額
の変更
(インフ
レスライ
ド)
⑤急激な
物価変動
に伴う請
負代金額
の変更
(単品ス
ライド)
⑥発注
ロットの
拡大を踏
まえた間
接工事費
の算出、
点在する
工事箇所
ごとの工
事費の算
⑦被災地
以外から
の技術
者・技能
者の確保
に要する
追加費用
への対応
⑧宿泊等
に係る間
接費の設
計変更の
導入
⑨建設資
材の遠隔
地からの
調達に伴
う設計変
更の導入
東北地方整備局
東北農政局
岩手県
宮城県
福島県
岩手県 宮古市 ×
大船渡市 × ×
陸前高田市 × × ×
釜石市 ×
山田町 × × × ×
一関市 × × × ×
奥州市 × × × × ×
宮城県 仙台市
石巻市
気仙沼市 ×
名取市 ×
南三陸町 × ×
白石市 × × × ×
登米市 ×
福島県 いわき市 ×
相馬市 ×
新地町 × × ×
福島市 × × × ×
郡山市 ×
白河市 × × ×
須賀川市 × ×
計26事
業主体
○ (A) 6 17 26 6 5 13 18 8 7
△ (B) 1 7 0 20 20 9 5 10 12
×   19 2 0 0 1 4 3 8 7
導入率((A+B)/26) 26.9% 92.3% 100.0% 100.0% 96.1% 84.6% 88.4% 69.2% 73.0%
活用率(A/(A+B)) 85.7% 70.8% 100.0% 23.0% 20.0% 59.0% 78.2% 44.4% 36.8%
注(1)
平成25年3月現在の状況である。
注(2)
「○」は導入済みで活用実績があるもの、「△」は導入済みであるが活用実績がないもの、「×」は導入していないものである。

イ 復興JV制度の活用

(ア) 事業主体における復興JVの構成員の条件等

復興JVは、被災地域の建設事業者が被災地域外の建設事業者と結成する共同企業体であるが、被災地域の範囲については、事業主体において定めることとされている。また、復興JVの入札参加を認める対象工事についても、東北3県における復旧・復興工事とされているものの、具体的には、被災地域の範囲と同様に、事業主体において定めることとされている。

そこで、東北地方整備局、東北農政局、東北3県、仙台市及び石巻市が定めた復興JVの構成員の条件及び対象工事についてみると、表14のとおり、復興JVの構成員の条件は区々となっており、例えば、岩手県は県内に本社を有する者同士の組合せとしているのに対して、東北地方整備局、東北農政局、宮城県及び福島県は、県内に本社を有する者と県外に本社を有する者との組合せを可能としており、仙台市及び石巻市も市内に本社を有する者と市外に本社を有する者との組合せを可能としている。

表14 各事業主体における復興JVの構成員の条件等

事業主体 構成員の条件 対象工事
代表者 代表者以外の構成員
東北地方整備局
(河川、道路等
の工事)
構成員のうちいずれか1者が工事施工場所の所在す
る県内に本社(本店)を有する者
地方整備局長等が必要が
あると認める工事。ただ
し、技術的難易度の高い
工事又は予定価格が5億80
00万円以上の工事を除
く。
東北地方整備局
(港湾及び空港
工事)
工事施工場所の所在する
県内に本社(本店)を有
する者
条件なし
東北農政局 被災地域の地元の建設事
業者
条件なし 東北3県における復旧・復
興工事。ただし、技術的
難易度の高い工事又は予
定価格が5億8000万円以上
の工事を除く。
岩手県 沿岸広域振興局の所管区
域(注2)又は県北広域振
興局本局の所管区域(注3)
内に本社又は本店を有
する者
県内に本社又は本店を有
する者
予定価格が2500万円以上1
9億4000万円未満の工事
で、入札公告において指
定するもの
宮城県 県内に本社又は本店を有
する者
3000万円以上3億円未満は
「東北・北海道型」(注4)
、3億円以上19.4億円未
満は「東北・北海道型」
及び「全国型」(注5)
予定価格が3000万円以上1
9億4000万円未満の工事
で、入札公告において指
定するもの
福島県 県内に本社又は本店を有
する者
県内に本社(本店)又は
支社(支店)、営業所を有
する者
予定価格が1億円以上19億
4000万円未満の工事で、
公告において指定するも
仙台市 市内に本店を有する者 条件なし 予定価格が1000万円以上5
億円未満の工事で、入札
公告において指定するも
石巻市 市内に本店を有する者 条件なし 予定価格が3000万円以上1
9億4000万円未満の工事
で、入札公告において指
定するもの
注(1)
平成25年5月現在の状況である。
注(2)
沿岸広域振興局の所管区域  釜石市、大槌町、宮古市、山田、岩泉両町、田野畑村、大船渡、陸前高田両市、住田町
注(3)
県北広域振興局本局の所管区域  久慈市、普代村、洋野町、野田村
注(4)
東北・北海道型  本社又は本店が、東北6県(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島各県)又は北海道に所在する者
注(5)
全国型  本社又は本店が、東北6県及び北海道以外に所在する者
(イ) 復興JVの落札件数等

事業主体において復興JVが落札した工事件数は、表15のとおり、制度の試行が始まってから1年以上が経過しているものの、計23件となっていた。そして、東北地方整備局においては、復興JVを対象として入札が行われた工事件数が63件あるものの、このうち復興JVが入札に参加した工事件数は9件となっていた。さらに、東北農政局においては、復興JV制度を導入しているものの、これまで一度も復興JVが参加できる入札を行っていなかった。

表15 各事業主体における復興JV制度の落札工事件数等

事業主体 復興JVの
結成数
復興JVを対象と
した入札工事件数
左のうち復興JV
が入札に参加した
工事件数
左のうち復興JV
が落札した工事件
東北地方整備局
(河川、道路等の工事)
1 36 7 1
東北地方整備局
(港湾及び空港工事)
2 27 2 1
東北地方整備局の計 3 63 9 2
東北農政局 0 0 0 0
岩手県 19 5
宮城県 72 170 6
福島県 14 12 10 9
仙台市 6 61 0 0
石巻市 12 1
合計 23
注(1)
連絡協議会(第5回及び第6回)の資料等により作成している。
注(2)
東北地方整備局、東北農政局、福島県及び仙台市は平成25年3月31日現在、岩手県、宮城県及び石巻市は25年2月14日現在のものである。
注(3)
件数が把握できなかったものについては「―」としている。

(5) 事業主体における独自の入札不調対策

前記のとおり、国及び地方公共団体は、一般競争入札の入札参加資格として、工事の種類や予定価格等に応じて地域要件、施工実績要件等を定めたり、指名競争入札においても、一定の地域内に事業所を有する者、一定の施工実績を有する者等を入札参加者として指名したりしている。

このような入札参加資格については、工事の品質を確保しつつ緩和することにより、入札参加者が増加することが期待されることから、入札不調対策として一定の効果があると考えられる。そこで、東北地方整備局、東北農政局、東北3県等の入札参加資格及びその緩和状況についてみると次のとおりとなっている。

ア 地域要件の緩和

事業主体は、入札参加資格として、当該事業主体の所管する区域内に本社を有する者のみ入札に参加できるなどとする地域要件を定めている(東北地方整備局、東北農政局及び東北3県の標準的な地域要件は別表2参照)。

そして、事業主体は、通常時は、このような地域要件を定めて入札を行い、その結果、入札不調となった場合には、表16のとおり、地域要件を緩和して再度公告入札を実施するなどとしている。

さらに、東北農政局は災害復旧事業に係る工事について原則として地域要件を定めないこととしており、また、東北地方整備局は復旧・復興事業に係る一部の工事について当初の入札から地域要件を緩和することとしている。

表16 入札不調時及び復旧・復興工事における地域要件

事業
主体名
通常時に入札不調となった場合
における地域要件
復旧・復興工事における地域要件
東北地方整
備局(河
川、道路等
の工事)
県内に本社が所在していることを地域要
件としているものは、東北地方整備局管
内に本社が所在することに地域要件を緩
和するなどしている。
平成24年4月から、被災地域の復旧・復
興工事で入札不調が予想される場合等、
一部の工事において、地域要件として、
本社が所在する区域が通常時は県内であ
るものを当初の入札から東北地方整備局
管内にしている。
東北地方整
備局(港湾
及び空港工
事)
入札参加者が少ないと予想される工事に
ついては、当初の入札から、地域要件を
緩和している。
同左
東北農政局 入札不調の要因に応じて地域要件を緩和
するなどしている。
24年2月から、災害復旧工事について
は、原則として地域要件を設定しないこ
ととしている。
岩手県 県内の一部地域に主たる営業所を有する
者を地域要件としているものは、県内全
域に主たる営業所を有する者に地域要件
を緩和することとするなどしている。
24年10月から、設計額1億円未満で工事
場所が沿岸地区の工事については、原則
的な地域要件に内陸部の広域振興局管内
に主たる営業所を有する者を加えること
により地域要件を緩和することとしてい
る。
宮城県 順次地域要件を緩和することとしてい
る。
24年4月から、復旧・復興工事について
は、当初の入札から、県内に本社を有す
る者に地域要件を緩和できることとして
いる。
福島県 地域要件を再検討するなどとしている。 規定等を特に定めていない。

前記について参考事例を示すと、次のとおりである。

<参考事例1>当初の入札から地域要件を緩和したところ、契約に至った事例

東北地方整備局仙台河川国道事務所は、平成24年8月に、被災した海岸の災害復旧工事(予定価格285,090,000円)の入札参加資格について、通常であれば、工事施工場所の所在する宮城県内に本社を有する者と地域要件を設定するが、当初の入札から東北地方整備局管内に本社を有する者と地域要件を緩和して一般競争入札を行ったところ、8者が応札し山形県内に本社を有する者と契約を締結するに至った。

<参考事例2>入札不調となった後に地域要件を緩和したところ、契約に至った事例

岩手県沿岸広域振興局は、平成24年4月に、被災した橋りょうの災害復旧工事(予定価格28,939,000円)の入札参加資格について、同振興局管内に本社を有する者と地域要件を設定して一般競争入札を行ったところ、応札者がいなかったことから不調となった。

その後、同振興局は、当該地域要件を緩和して、岩手県内に本社を有する者も入札参加が可能とするなどして改めて一般競争入札を行ったところ、5者が応札して、同振興局の区域外の同県胆沢郡金ケ崎町に本社を有する者と契約を締結するに至った。

一方、市町の多くが入札参加資格として、当該市町の区域内に本社又は本店を有する建設事業者を指名して入札を実施しているが、中には、当該市町の区域外の者を指名して入札を行っている市町も見受けられた。

上記について参考事例を示すと、次のとおりである。

<参考事例3>入札不調となった後に、町内又は隣接市内から東北地方にしたところ、同町の区域外の者と契約に至った事例

岩手県下閉伊郡山田町は、平成24年1月に、被災した橋りょうの災害復旧工事(予定価格62,718,600円)について、同町内又は隣接する宮古市内に本社を有する8者を指名して指名競争入札を行ったところ、応札者がいなかったことから不調となった。

その後、東北地方に支社を有する者も指名して、11者による指名競争入札を行ったところ、5者が応札し、盛岡市内に支社を有する者と契約を締結するに至った。

イ 施工実績要件の緩和

施工実績要件については、工事の品質を確保しつつ、緩和できるものについては緩和することにより、より多くの建設事業者が入札に参加しやすくなるため、入札不調対策として一定の効果があると考えられる。

上記について参考事例を示すと、次のとおりである。

<参考事例4>入札不調対策として、施工規模については要件とせず、総合評価落札方式で考慮することとした事例

東北農政局は、災害復旧工事の入札不調対策として、平成24年2月から一定規模以下の工事において、25年1月からは全ての工事において、同種工事の施工実績について工種のみを入札参加資格とし、施工規模については総合評価落札方式により評価することとし、要件として求めないこととしている。

<参考事例5>特殊な工種の工事のみに施工実績要件を付している事例

福島県は、入札制度改革の一環として、平成19年度以降、同種や類似工事の実績に関する要件、同規模工事の実績に関する要件については、原則、設定しないこととしている。すなわち、トンネル工事、橋りょう下部工事、ダム工事等の特殊又は難易度の高い工事については例外的にこれらの要件を設定することができるものの、その他の工種の工事については、原則として施工実績要件を付さないこととしている。

ウ 等級要件の緩和

等級要件については、工事の品質を確保しつつ緩和できるものについては緩和することにより、より多くの建設事業者が入札に参加できることになるため、入札不調対策として一定の効果があると考えられる。

上記について参考事例を示すと、次のとおりである。

<参考事例6>本来、B等級に属する建設事業者に入札参加が認められる工事について、C等級に属する建設事業者の入札参加も認めている事例

東北地方整備局は、平成23年12月以降は、一般土木工事のB等級(予定価格3億円以上7億2000万円未満)に属する建設事業者に入札参加が認められる工事のうち工事難易度の低い一部の工事についてはC等級(同6000万円以上3億円未満)に属する建設事業者も入札に参加できるなどとしている。なお、これにより、25年2月現在の東北地方整備局のB等級の登録事業者数は46者であるが、C等級の建設事業者を含めると1,070者になる。

<参考事例7>A等級及びB等級に属する建設事業者に、本来、それぞれの上位等級に属する建設事業者に入札参加が認められる工事への参加を認めている事例

宮城県は、平成24年4月以降は、復旧・復興工事の土木一式工事について、A等級(予定価格3000万円以上1億円未満)及びB等級(同1000万円以上3000万円未満)に属する建設事業者も、本来、それぞれの上位等級であるS等級及びA等級に属する建設事業者に入札参加が認められる工事の入札に参加できる制度を試行している。なお、これにより、S等級(登録事業者数107者)の工事には352者が、A等級(同245者)の工事には730者が入札に参加できることになる。

エ 建設資材の不足に対する事業主体の対策

東北3県の沿岸部では、港湾工事等に使用する割栗石、コンクリート用又は道路用の骨材、生コンクリート等の建設資材の不足が著しいことから、個々の建設事業者だけでは解決できない問題であるとして、東北地方整備局、東北農政局及び宮城県は、次のとおり、二次製品の活用により需要量を減少させたり、遠隔地からの調達により供給量を増加させたりするなどの対策を執っている。

(ア) 東北地方整備局及び東北農政局における対策
a 代替品の活用、遠隔地からの調達等

東北地方整備局及び東北農政局は、海岸工事、港湾工事等におけるコンクリートの使用量が膨大になることから、現場で生コンクリートを打設する代わりに、遠隔地で製作した二次製品等を活用することにより、直轄工事における生コンクリートの使用量の減少に取り組んでいる。また、一般に、砕石、砂等は、価格に占める運搬費の割合が大きいため、工事現場に近い生産地から調達されることになるが、これらの資材は遠隔地から調達することも可能であることから、東北地方整備局は、港湾工事において、建設事業者が生コンクリート用の砕石等を船舶等により遠隔地から調達したり、コンクリートミキサー船を用いたりするようにして供給量の増加に取り組んでいる。

b 生コンクリートの需給予測

東北地方整備局は、東北3県における国、地方公共団体等が発注する工事での建設資材の需要の見込数量及び事業者団体における建設資材の供給可能量について定期的に調査を実施して、国、地方公共団体、供給事業者の団体等に対して、その需給見通しなどの情報を提供している。そして、これによれば25年度から28年度までの東北3県の沿岸部の9地区における生コンクリートの需給予測において、図5のとおり、需要量が供給可能量を大幅に上回る地区が見受けられた。

図5 東北3県沿岸部の9地区における生コンクリートの需給の動向 (単位:m3/月)

東北3県沿岸部の9地区における生コンクリートの需給の動向
(注)
平成25年度の需要量は、25年10月1日から26年3月31日までのものである。
c 生コンクリートの供給増大

生コンクリートは、品質を確保するために、練り混ぜてから打設完了まで2時間以内、工場から現場までの運搬時間は90分以内と制限されていることから、工事現場において供給を受けることが可能な生コンクリート工場は、90分圏内に所在する範囲に限られる。このことから、東北地方整備局は、今後、三陸沿岸道路の整備が本格的に開始されることに伴い生コンクリートの膨大な需要が見込まれる岩手県の宮古地区及び釜石地区で、建設事業者により生コンクリート工場の設置等がなされるような対策の導入を検討しているとしている。

(イ) 宮城県における対策

宮城県は、復旧・復興事業に係る工事の増大により、生コンクリートの需要量が供給可能量を大幅に上回る見通しである気仙沼地区及び石巻地区において、生コンクリート用の砂を県外から調達するために、24年8月から同年11月にかけて、荷揚施設の確保と仮置場の候補地の選定について、情報提供や調整を行い、同年12月から県外からの調達を開始している。

(6) 入札不調対策等に対する意識調査

ア 24年10月から25年3月までの入札不調の発生割合

東北地方整備局、東北農政局、東北3県等の23年10月から24年9月までの入札不調の平均発生割合は、表17のとおり、直轄で15.7%、東北3県で19.4%となっている。

表17 入札不調の平均発生割合(平成23年10月から24年9月まで)

(単位:%)
事業主体 直轄 東北3県 21市町
東北地方
整備局
東北地方
農政局
岩手県 宮城県 福島県
入札不調の
平均発生割合
15.7 15.4 17.5 19.4 6.9 27.2 14.2 27.0

前記のとおり、国土交通省及び農林水産省は、24年2月以降、各種の入札不調対策を示しており、東北地方整備局、東北農政局、東北3県等はこれを受けて対策を導入するなどしてきているところであるが、24年10月から25年3月までの入札不調の平均発生割合は、直轄で25.1%、東北3県で19.8%となっている。そして、25年3月の発生割合は、図6のとおり、直轄で9.0%、東北3県で7.6%となっている。

図6 入札不調の発生割合等(平成24年10月から25年3月まで)

入札不調の発生割合等(平成24年10月から25年3月まで)
(注)
連絡協議会(第6回)の資料等により作成している。

イ 東北3県及び近隣3県に所在する建設事業者に対する意識調査

入札不調が続いている原因の一つは、被災地域に存在する建設事業者数、技術者、技能者等の人数、資材を供給する生産設備の能力等が決まっており、受注者側で一定の期間内に受注することが可能な工事の絶対量には限度があるのに対して、事業主体における発注量が東日本大震災前に比べて大幅に増加していることによるが、復旧・復興事業を迅速かつ円滑に実施していくためには、これまで講じられた入札不調対策の効果を検証して、その結果によっては更なる対策を講ずるよう検討することも必要である。そして、入札不調対策の効果の検証に当たっては、受注者となる建設事業者において、入札不調対策に対してどのような意識を持っているのかなどを把握しておくことも重要である。そこで、東北3県及び近隣3県に所在する建設事業者のうち各県に登録されている建設事業者からそれぞれ1,500者を抽出して、計3,000者に対して25年4月に質問票により意見を徴取したところ、東北3県927者、近隣3県979者、計1,906者(回答率63.5%)から回答が得られた(回答者の属性については別図表-1及び2参照)。

そして、入札への不参加理由、入札不調対策に関する認知度、評価等、建設事業者の受注余力等、入札参加資格の緩和の各項目に対する回答は次のとおりとなっている。

(ア) 入札への不参加理由

東北3県の建設事業者927者のうち復旧・復興工事について、入札参加資格があるのに一般競争入札への参加を見合わせたことや、指名競争入札の指名通知を受けたが入札を辞退したことがあるとした者は660者(71.1%)となっており、その主な理由は、図7のとおり、自社の技術者が手一杯であるとした者が74.2%と相当の割合を占めるなど労働者関係の理由が大半を占めていた。

図7 入札不参加の主な理由     (単位:%)

入札不参加の主な理由
注(1)
図中の数字は、入札参加資格があるのに一般競争入札への参加を見合わせたことや、指名競争入札の指名通知を受けたが入札を辞退したことがあるとした660者のうち、当該理由を選択した者の割合である。また、複数回答を可としているため、各理由の割合を合計しても100%にはならない。
注(2)
図中のnは、回答者数を表している(以下の図において同じ)。
(イ) 入札不調対策
a 入札不調対策に関する東北3県の建設事業者の認知度等

(a) 建設事業者の認知度

東北3県の事業主体が執った入札不調対策の内容について、東北3県の建設事業者927者の認知度については、図8のとおり、建設事業者が受注した後に費用が増加し赤字になるという懸念を払拭するための対策である建設資材の遠隔地からの調達に伴う設計変更の導入を知らないとしている者の割合が51.8%、宿泊等に係る間接費の設計変更の導入を知らないとしている者の割合が48.4%となっており、およそ半数を占めていた。また、点在する工事箇所ごとの工事費の算定を知らないとしている者の割合が48.6%となっていた。

図8 東北3県の建設事業者における入札不調対策の認知度   (単位:%)

東北3県の建設事業者における入札不調対策の認知度

(b) 建設事業者の評価

入札不調対策について、その内容をよく知っている又は少しは知っているとしている者における各対策についての評価は、図9のとおり、効果があるとやや効果があるとを合わせた者の割合は、復興JV制度については44.0%となっていた一方で、その他の対策については60%程度となっていた。

図9 入札不調対策に対する評価      (単位:%)

入札不調対策に対する評価

また、復興JV制度については、効果はないとあまり効果はないとを合わせた者の割合が27.8%と最も高く、その理由は、図10のとおり、実際には自社からも技術者を出さざるを得ないため単体で受注する場合と変わらないが54.3%、単体で受注する方が何かと動きやすいが42.9%となっており、復興JV制度の目的に沿って制度が活用されるよう対象工事を検討する必要があると思料される。また、よく知らない相手とJVを組もうと思わないが47.8%、被災地又は被災地以外の会社と日頃付き合いのある者がいないが36.9%などとなっていた(その他の対策については巻末別図表-3参照)。

図10 復興JV制度について効果はない又はあまり効果はないとしている理由 (単位:%)

復興JV制度について効果はない又はあまり効果はないとしている理由
(注)
図中の数字は、復興JV制度について効果はないとあまり効果はないとを合わせた184者のうち、当該理由を選択した者の割合である。また、複数回答を可としているため、各理由を合計しても100%にはならない。

(c) 入札不調対策の活用実績

前記のとおり、インフレスライド等の対策については、効果があるとしている者が60%程度を占めていたが、24年度の公共工事を元請として受注したことがある者のうち、入札不調対策の適用対象となる工事を行ったことがあるとする者における同対策の適用状況についてみると、図11のとおり、建設事業者自らの意思又は事業主体の都合により実施されなかったとする者は、いずれの対策においても60%を超えていた。

図11 各入札不調対策の適用状       (単位:件、%)

各入札不調対策の適用状
b 入札不調対策に関する近隣3県の建設事業者の認知度

近隣3県の建設事業者が東北3県における工事を受注した場合に影響が大きいと思われる入札不調対策に関する近隣3県の建設事業者979者の認知度については、図12のとおり、入札不調対策の内容について、知らないとしている者の割合が60%を超えていた。

図12 近隣3県の建設事業者における入札不調対策の認知度  (単位:%)

近隣3県の建設事業者における入札不調対策の認知度
(ウ) 建設事業者の受注余力等
a 東北3県の建設事業者の受注余力等

前記のとおり、東北3県の建設事業者の入札不参加の理由として、労働者や資材の確保ができないとする理由が大半を占めているが、今後、公共工事を受注した場合における労働者や資材の確保の見通しについてみると、必要となる又は使用すると回答した者に占める、やや確保が難しそうとかなり確保が難しそうとを合わせた者の割合が高い主なものは、労働者については、交通誘導員A(67.1%)、鉄筋工(64.2%)、型枠工(63.5%)、資材については、捨石(43.1%)、鋼矢板(33.7%)、生コンクリート(32.6%)であった。

また、会社の手持ち工事の件数や規模、技術者の数を考慮した建設事業者の今後の受注余力について、あまり余力がないとした者の割合は34.1%、ほとんど余力がないとした者の割合は13.0%となっていた。

b 近隣3県の建設事業者の参入意欲等

(a) 復旧・復興事業に係る工事への建設事業者の参入実績

近隣3県の建設事業者979者のうち元請又は下請として、復旧・復興事業に係る工事へ参入したとしている者は324者(33.0%)となっていた。参入した理由については、被災地の復旧・復興にぜひとも貢献したかったが66.3%、被災地の知り合いの会社から手伝いを頼まれたが51.8%、地元の公共工事が少なかったが32.0%などとなっていた。

(b) 東北3県で実施される今後の復旧・復興事業に係る工事への参入意欲等

近隣3県の建設事業者979者のうち東北3県で実施される復旧・復興事業に係る工事について、今後、受注する予定がある又は受注を希望している者は459者(46.8%)となっていた。その理由については、被災地の復旧・復興にぜひとも貢献したいが73.6%、会社としての施工実績を積みたいが50.1%、地元の公共工事が少ないが46.8%などとなっていた。

また、東北3県で実施される復旧・復興事業に係る工事について、今後、受注する予定がある又は受注を希望している者は半数程度を占めているが、仮に、受注しようとする場合に懸念する主な事項は、図13のとおり、技術者や作業員の宿泊先の確保、資材価格の高騰、被災地の工事の入札参加資格等となっていた。

図13 受注しようとする場合に懸念する主な事項   (単位:%)

受注しようとする場合に懸念する主な事項
(注)
図中の数字は、東北3県で実施される復旧・復興事業に係る工事について、今後、受注する予定があると受注を希望しているとを合わせた459者のうち、当該事項を選択した者の割合である。また、複数回答を可としているため、各理由を合計しても100%にはならない。

なお、近隣3県の建設事業者が地元の事業主体に要望する事項として、被災地の工事の実績を地元の公共工事における総合評価落札方式や指名競争入札で積極的に考慮してほしいとしている者が193者(42.0%)となっていた。

(エ) 入札参加資格の緩和
a 東北3県における入札参加資格の緩和に対する東北3県の建設事業者の意見

復旧・復興事業に係る工事に関する入札不調対策として地元以外の建設事業者の入札への参加を認める地域要件の緩和を図ることなどについて、東北3県の建設事業者の意向を内陸部と沿岸部に分けてみると、図14、図15及び図16のとおり、賛成と条件付きで賛成とを合わせた者の割合がいずれも50%を超えていた。

図14 地域要件の緩和についての東北3県の建設事業者の意見   (単位:%)

地域要件の緩和についての東北3県の建設事業者の意見
(注)
沿岸部か内陸部かについて回答していない者があるため合計しても計と一致しない(図15及び図16も同じ。)。

図15 施工実績要件の緩和についての東北3県の建設事業者の意見  (単位:%)

施工実績要件の緩和についての東北3県の建設事業者の意見

図16 等級要件の緩和についての東北3県の建設事業者の意見   (単位:%)

等級要件の緩和についての東北3県の建設事業者の意見

そして、条件付きで賛成としている者は、地域要件の緩和については300者、等級要件の緩和については308者となっていた。その条件についてみると、地域要件の緩和については、対象事業を災害復旧事業等に限定が52.0%、入札不調となった案件に限定が51.3%、工種の限定が34.6%となっており、また、等級要件の緩和については、対象事業を災害復旧事業等に限定が50.9%、入札不調となった案件に限定が53.5%、工種の限定が30.8%となっていた。

b 東北3県における入札参加資格の緩和に対する近隣3県の建設事業者の意見

前記のとおり、近隣3県の建設事業者が被災地の工事を受注しようとする場合に懸念する事項として、入札参加資格がないとしている者の割合が61.8%となっていたが、仮に、地域要件の緩和を行った場合の効果についての評価は、図17のとおり、効果があるとやや効果があるとを合わせた者の割合が50%を超えていた。

図17 地域要件の緩和を行った場合の効果についての評価    (単位:%)

地域要件の緩和を行った場合の効果についての評価