東北管区警察局は、東日本大震災により分庁舎(鉄筋コンクリート造平屋建て、床面積254.0m2)等が被災したことから、平成24年1月に、施設解体撤去工事契約を一般競争契約により、株式会社白岩工務店と契約額32,550,000円で締結して分庁舎等の解体撤去工事(以下「本件工事」という。)を施行している。
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号。以下「建設リサイクル法」という。)等によれば、コンクリート、木材、アスファルト・コンクリート等を用いた建築物等に係る解体工事等であって一定規模以上(建築物の解体工事の場合は床面積80m2以上)のものについては、当該工事の受注者は分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物(注1)の再資源化(注2)を行わなければならないこととされている。このため、東北管区警察局は、解体する分庁舎等の床面積が80m2以上であり、本件工事が建設リサイクル法の適用を受けることから、契約書に特定建設資材廃棄物の種類、再資源化をするための中間処理施設の名称及び所在地等を明記して、本件工事により生ずる特定建設資材廃棄物の再資源化を行うよう定めていた。
東北管区警察局は、建物解体工事費等の直接工事費に、間接工事費を加えて工事原価を算出し、これに本件工事により生ずるコンクリート殻等を処分するための費用である処分費11,261,768円を加えた額に一般管理費を加えて工事価格を算出するなどして、本件工事の予定価格を39,380,250円と積算していた。このうち、処分費については、同局は、分庁舎等の図面等から本件工事により生ずるコンクリート殻等の処分数量を算出し、これに市販の積算参考資料に掲載されていた最終処分場でがれき類を処分する単価を乗ずるなどして積算していた。
本院は、経済性等の観点から、予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、本件工事を対象として、東北管区警察局において、契約書、予定価格の積算内訳書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり、予定価格の積算が適切でない事態が見受けられた。
すなわち、東北管区警察局は、建設リサイクル法に基づき、本件工事から生ずる特定建設資材廃棄物の再資源化を行うこととしていたことから、再資源化をするための中間処理施設においてコンクリート殻等を破砕処理する単価(1,617円/t)を用いるなどして処分費を積算すべきところを、誤って前記の最終処分場でがれき類を処分する単価(11,800円/t)を用いるなどしていた。
したがって、正しい処分費の単価を用いるなどして本件工事の予定価格を修正計算すると、他の項目において積算過小となっていた費用を考慮しても、適正な予定価格は25,818,450円となることから、本件契約額32,550,000円はこれに比べて約670万円割高になっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、東北管区警察局において、本件工事の予定価格の積算に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。