7件 不当と認める国庫補助金 50,457,000円
私立学校施設整備費補助金(防災機能強化施設整備事業)は、私立の高等学校等における防災機能の強化を図ることを目的として、校舎等の建物の耐震補強工事等を行う学校法人に対して、当該事業に要する経費の一部を国が補助するものである。
この補助金の交付額は、私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立高等学校等施設高機能化整備費))交付要綱(平成13年文部科学大臣裁定)等によれば、校舎等の建物の耐震補強工事等に係る経費を補助対象経費として、これに補助率(校舎等の建物の耐震性能に応じて2分の1以内又は3分の1以内)を乗じて算定することとされている。また、上記補助対象経費の上限額は1学校当たり2億円とされている。
本院が、24都府県の40学校法人において会計実地検査を行ったところ、7県の7学校法人において、補助の対象とならない経費を補助対象経費に含めるなどしていたため、国庫補助金50,457,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、学校法人において補助対象経費の算定方法等についての理解が十分でなかったこと、7県において実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
学校法人松蔭女子学院は、平成21年度から23年度までの各年度に実施した校舎の耐震補強工事等に係る経費を対象として、補助対象経費計620,312,000円に補助率を乗ずるなどして、国庫補助金計243,137,000円の交付を受けていた。
しかし、同法人は、補助の対象とならないロッカー、プラネタリウム投影ドーム等の備品を設置する経費を補助対象経費に含めていた。
したがって、適正な工事費により算定した補助対象経費計570,244,257円に対する国庫補助金は計223,326,000円となり、国庫補助金計19,811,000円が過大に交付されていた。
以上を部局等別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者(事業主体) | 補助事業 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(30) | 山形県 | 学校法人富澤学園 | 体育館耐震補強工事 | 23 | 284,036 | 92,946 | 21,235 | 5,346 | 補助対象経費の上限額を上回っていたもの |
(31) | 神奈川県 | 学校法人白鵬女子学院 | 耐震改修工事 | 23 | 134,975 | 67,487 | 15,487 | 7,744 | 塗装工事費の算定を誤っていたもの |
(32) | 岐阜県 | 学校法人大垣日本大学学園 | 誠心館耐震改修工事 | 22 | 138,600 | 69,300 | 8,876 | 4,439 | 補助の対象とならない経費を補助対象経費に含めていたもの |
(33) | 兵庫県 | 学校法人松蔭女子学院 | 本館南校舎東部分等耐震補強事業 | 21~23 | 620,312 | 243,137 | 50,067 | 19,811 | 同 |
(34) | 広島県 | 学校法人比治山学園 | 本館棟耐震補強事業等 | 22、23 | 221,079 | 96,037 | 17,159 | 7,093 | 同 |
(35) | 福岡県 | 学校法人福岡女学院 | 耐震補強事業(高校校舎)等 | 22、23 | 33,592 | 9,688 | 8,151 | 2,675 | 同 |
(36) | 宮崎県 | 学校法人日向学院 | 日向学院中学校普通教室棟耐震補強工事 | 20 | 200,000 | 66,666 | 10,047 | 3,349 | 工事費の値引相当額を補助対象経費から控除していなかったものなど |
(30)-(36)の計 | 1,632,594 | 645,261 | 131,024 | 50,457 |