6件 不当と認める国庫補助金 114,894,000円
私立学校施設整備費補助金(防災機能等強化緊急特別推進事業)は、私立大学等における防災機能等の強化を図ることを目的として、耐震補強工事等を行う学校法人等に対して、当該事業に要する経費の一部を国が補助するものである。
この補助金の交付額は、私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費))交付要綱(昭和58年文部大臣裁定)等によれば、危険建物の防災機能強化のための耐震補強工事、非構造部材の耐震対策工事等に係る工事費及び当該建物の耐震診断、実施設計等に係る経費を補助対象経費として、これに補助率2分の1以内(専修学校高等課程にあっては、校舎等の建物の耐震性能に応じて2分の1以内又は3分の1以内)を乗じて算定することとされている。
本院が、20学校法人において会計実地検査を行ったところ、6学校法人において、補助の対象とならない工事費等を補助対象経費に含めていたため、国庫補助金114,894,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、学校法人において補助の対象となる工事の範囲についての理解が十分でなかったこと、文部科学省において実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
学校法人早稲田大学は、平成22年度に実施した西早稲田キャンパス耐震化工事に係る経費として、補助対象経費703,673,016円に補助率2分の1を乗ずるなどして、国庫補助金351,836,000円の交付を受けていた。
しかし、同法人は、耐震補強壁等を設置していない階の廊下床材の張替えに係る経費及び耐震補強壁等の設置とは関連のない箇所のトイレの改修に係る経費を耐震補強工事に係る経費として補助対象経費に含めていた。
したがって、適正な工事費等により算定した補助対象経費673,825,024円に対する国庫補助金は336,912,000円となり、国庫補助金14,924,000円が過大に交付されていた。
以上を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 事業主体 | 補助事業 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(37) | 文部科学本省 | 学校法人学習院 | 南1号館耐震対象工事 | 23 | 263,182 | 131,591 | 23,009 | 11,505 | 補助の対象とならない工事費等を補助対象経費に含めていたもの |
(38) | 同 | 学校法人上智学院 | 耐震補強工事(四谷キャンパス4号館) | 22 | 484,290 | 204,283 | 14,126 | 5,959 | 補助の対象とならない工事監理に係る経費を補助対象経費に含めていたもの |
(39) | 同 | 学校法人早稲田大学 | 西早稲田キャンパス耐震化工事 | 22 | 703,673 | 351,836 | 29,847 | 14,924 | 補助の対象とならない工事費等を補助対象経費に含めていたもの |
(40) | 同 | 学校法人名古屋電気学園 | 附属図書館耐震補強工事等 | 22、23 | 651,057 | 276,246 | 32,434 | 13,989 | 同 |
(41) | 同 | 学校法人京都女子学園 | C校舎耐震補強改修工事 | 24 | 382,074 | 191,037 | 5,830 | 2,915 | 同 |
(42) | 同 | 学校法人瓜生山学園 | 直心館耐震改修工事等 | 24 | 665,052 | 332,525 | 131,203 | 65,602 | 補助の対象とならない工事費を補助対象経費に含めていたもの |
(37)-(42)の計 | 3,149,330 | 1,487,518 | 236,452 | 114,894 |