(1件 不当と認める国庫補助金 8,167,819円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 実施年度 | 基金使用額 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める基金使用額 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(371) | 環境本省 | 青森県 | 再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金 | 24 | 19,477 | 19,477 | 8,167 | 8,167 |
この補助事業は、平成23年度に、環境省が東日本大震災による被災地域の復旧・復興や、原子力発電施設の事故を契機とした電力需給のひっ迫への対応の必要性に鑑み、再生可能エネルギー等を活用したエネルギーシステムを導入することなどを目的として、東北を中心とした被災地等の地方公共団体に対して、再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金(以下「基金」という。)を造成させるために地域環境保全対策費補助金を交付するものである。
青森県は、本件補助事業により造成した基金を取り崩して、管内の市町村等に対して、補助金(以下「県補助金」という。)を交付している。そして、中部上北広域事業組合(以下「組合」という。)は、24年度に、同県から県補助金の交付を受けており、地震等の大規模災害に備えて、地域の防災拠点となる消防本部の庁舎に、太陽光発電設備、蓄電池設備等を設置する工事を工事費19,477,500円(県補助金同額、国庫補助金相当額同額)で実施している。
上記の工事で設置した蓄電池設備(高さ2.2m、幅0.5m、奥行き0.9m、重さ0.3t)は、地震等の災害が発生して停電した場合等に、通信設備等に電力を供給するためのものであり、蓄電池、無停電電源装置等から構成されている。そして、組合は、必要な耐震措置として蓄電池設備をアンカーボルト4本(径12㎜、埋込長さ60㎜)で床に固定すれば安全であるとする請負業者から提出された施工承認書等を承認して、これにより施工していた。
しかし、組合は、蓄電池設備を含めた建築設備の耐震設計に当たり指針としている「建築設備耐震設計・施工指針」(国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所監修。以下「耐震設計指針」という。)に基づくアンカーボルトに係る耐震設計計算上の検討を行っていなかった。そこで、組合に対して耐震設計指針に基づく耐震設計計算の報告を求めて、その内容を確認したところ、地震時にアンカーボルトに作用する引抜力(注)は8.89kN/本となり、許容引抜力(注)7.46kN/本を上回っていて、耐震設計計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、本件蓄電池設備(工事費相当額8,167,819円)は、アンカーボルトの設計が適切でなかったため、地震時において転倒するなどして破損するおそれがあり、通信設備等への電力を供給する機能の維持が確保されておらず、これに係る国庫補助金相当額8,167,819円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、組合において、蓄電池設備のアンカーボルトの設計に当たり、耐震設計指針に基づき耐震設計計算を行わなければならないとする認識が欠けていたこと、同県において、組合に対する助言が十分でなかったことなどによると認められる。