ページトップ
  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
  • 平成29年11月

租税特別措置(相続税関係)の適用状況等について


前文

租税特別措置(以下「特別措置」という。)は、国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとされ、「公平・中立・簡素」という税制の基本原則の例外措置として設けられているものである。相続税関係の特別措置に関しては、政策評価は義務付けられていないが、政策評価に関する基本方針(平成17年12月閣議決定)に基づき、積極的かつ自主的に政策評価を実施するよう努めることとなっている。また、平成22年4月に施行された租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(平成22年法律第8号)によれば、税負担の軽減等を行う所得税、相続税等の法人税以外の税目に係る特別措置に関しては、適用実態を調査する必要があると認めるときは、その必要の限度において税務署長に提出される調書等を利用することなどができることとされているが、これまでに適用実態の調査が実施されたことはない。

経済社会の構造が大きく変化する中、持続的な経済成長を維持、促進するとともに、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を構築する観点から、税体系全般にわたる再構築が進められている。

相続税については、平成25年度税制改正により課税価格から控除される基礎控除額が27年1月1日から引き下げられて、課税ベースが拡大し、以前より広い層に対して課税されることになったことから、国民の関心もより高くなってきている。

本報告書は、以上のような状況を踏まえて、相続税関係の特別措置の適用状況並びに関係省庁及び財務省による検証状況等について検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。

平成29年11月

会計検査院


目次

1 検査の背景

(1) 租税特別措置の趣旨

(2) 特別措置を取り巻く状況

(3) 相続税関係特別措置の概要

ア 相続税及び贈与税の納税手続及び特別措置を適用するための手続
イ 相続税関係特別措置の手法別区分
ウ 相続税関係特別措置の適用による減収見込額の規模

(4) 特別措置に係る税制改正

(5) 関係省庁及び財務省における特別措置の検証

ア 関係省庁における特別措置に関する政策評価法等に基づく検証
イ 税制改正要望の際に行われる関係省庁及び財務省による検証

(6) これまでの会計検査の実施状況

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

(2) 検査の対象及び方法

3 検査の状況

(1) 相続税関係特別措置の適用状況

(2) 関係省庁及び財務省における相続税軽減措置に係る検証状況及び適用実績の把握状況

ア 関係省庁における政策評価の実施状況
イ 税制改正要望の際に行われる関係省庁及び財務省による検証状況
ウ 両検証が行われた際の関係省庁における適用実績の把握状況

(3) 減収見込額が多額に上っている相続税軽減措置の適用状況及び検証状況

ア 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
イ 農地等についての相続税の納税猶予及び免除等、相続税の納税猶予を適用している場合の特定貸付けの特例及び特定貸付けを行った農地又は採草放牧地についての相続税の課税の特例
ウ 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除、非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除

4 所見

(1) 検査の状況の概要

ア 相続税関係特別措置の適用状況
イ 関係省庁及び財務省における相続税軽減措置に係る検証状況及び適用実績の把握状況
ウ 減収見込額が多額に上っている相続税軽減措置の適用状況及び検証状況

(2) 所見

別表

・本文及び図表中の数値は、原則として、表示単位未満を切り捨てている。また、円グラフにおける割合は、表示単位未満を四捨五入している。

・上記のため、図表中の数値を集計しても計が一致しないものがある。

事例一覧

[小規模宅地等の特例を適用した土地を申告期限の翌日から短期間で譲渡していたもの]

<事例1>

[多額の農地等の相続税の納税猶予を受けているが、農業所得が赤字となっていて、不動産所得等と損益通算していたもの]

<事例2>

[資本金の額に対して資本剰余金の額が多額に計上されていた会社が非上場株式等の贈与税猶予の対象となっていたもの]

<事例3>

[特定資産割合及び特定収入割合が基準を超えていたものの、要件を満たすことにより事業実態がある資産保有型会社及び資産運用型会社として非上場株式等の贈与税猶予の対象となっていたもの]

<事例4>