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  • 昭和26年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第11 電気通信省|
  • 不当事項|
  • (電気通信事業特別会計)|
  • 予算経理

経理がびん乱していたもの


(909) 経理がびん乱していたもの

(款)事業収入 (項)業務収入

(款)事業支出 (項)業務費 外1科目

 電気通信省電気通信研究所で、支払代金及び売渡代金を流用していたもの、過大な支払をしたもの、その他工事の施行又は物品の購入について正規の契約手続によらなかつたものなど、経理がはなはだしくびん乱していたものが次のとおりある。

(1) 支払代金を流用していたもの

〔1〕 昭和25年11月、沖電気工業株式会社から交換装置、計器類等2,675,500円のものを購入し、購入物品納入完了後26年3月にその代金全額の支払手続をとりながらその全額を留保し、6月に支払うまで他に流用していた。

〔2〕 26年3月、株式会社緑和商会から真空管ソケツト、エナメル電線等3,354,815円のものを購入し、購入物品の納入が完了していないのに3月及び4月にその代金全額の支払手続をとつたが、7月及び8月の納入物品の代金3,009,820円を同会社に支払つたこととしているのは8月及び9月で、その間同金額を他に流用していた。
 なお、納入物品3,009,820円と契約金額との差額344,995円のものは、27年11月に至つても納入されず、その代金は会社に支払つていないが、歳入にも納入されていない。

〔3〕 26年6月、富士通信機製造株式会社から自動交換機器類3,278,165円のものを購入し、同月購入物品の納入が完了していないのにその代金全額の支払手続をとり、未納品の引当金として支払代金のうち1,000,000円を留保し、これを実際に未納品が納入された9月に支払うまで他に流用していた。

(2) 物品売渡代金を流用していたもの

 26年4、5月ごろ、武蔵電器工業株式会社外1名に工作機械類、計器類等を223,000円で売り渡し、その代金を受領しながら収入に計上せず、8月に至り歳入に納付し、その間同金額を他に流用していた。

(3) 過大な支払をしたもの

〔1〕 26年4月、品川交通株式会社と乗用車借上につき年度契約を締結し、9月までの借上台数448台、割増時間459時間の料金として1,526,500円を支払つたものがあるが、右は、統制額による支払では業者に対して酷であるとの理由から、業者が実際の借上料に付掛して請求してきたものに対し、水増請求の事情を承知しながら内容の検討をせず、その金額に合うように関係書類を作製して支払つたもので、本院会計実地検査の際乗用車使用伝票につき調査した結果等によると、実際の借上台数及び割増時間はそれぞれ228台、459時間であり、物価庁の認可料金1日1台の借上料2,800円、割増時間1時間につき480円として適正料金を計算すれば約85万円となり、差引約66万7,000円が過大に支払われたものである。

〔2〕 26年4月、有限会社磯自動車商会と自動車の修理につき年度契約を締結し、9月までの修理代金として1,085,200円を支払つたものがあるが、右は、業者が実際の修理費に付掛して請求してきたものに対し、水増請求の事情を承知しながら内容の検討をせず、その金額に合うように関係書類を作製して支払つたもので、当局者の計算によると約35万円が過大に支払われたものである。

〔3〕 26年6月、高橋家具製作所にじゆう器類修理を976,300円で請け負わせ、7月その代金を支払つたものがあるが、右は、契約に当つて修理品個数及び破損の程度を確認することなく見込によつたため、実際に修理したのは2号いす等880個であるのに1,027個を修理したものとして代金を支払つた結果、約23万円が過大に支払われたものである。

(4) 工事の施行又は物品の購入につき正規の契約手続によらなかつたもの

〔1〕 富士電炉工業株式会社外3会社から2,100,000円で購入したPPM端局用整流電源装置以外4件は、実際は25年10月ごろに納入されたのに、26年9月に契約し同月納入させたこととして処理している。

〔2〕 沖電気工業株式会社に1,000,000円(外に官給材料2,265,748円)で請け負わせた印刷電信中継交換装置及び集信継電器架すえ付工事は、実際は26年6月に完成しているのに、27年2月に契約し3月に完成させたこととして処理している。

〔3〕 富士通信機製造株式会社から1,486,239円で購入したH2号1次プレ・セレクター・ボード等は、実際は26年9月から10月ごろまでの間に納入されたのに、27年2月に契約し3月に納入させたこととして処理している。

 なお、右の外所管業務に関し、関係職員が不正行為の容疑で26年10月から12月までの間に起訴され東京地方裁判所で審理中のものが8件ある。