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  • 昭和27年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項

大蔵省


第6 大蔵省

 租税および徴税関係経費

 昭和27年度における租税収入の徴収決定済額は7397億7千余万円、収納済額は6952億3千6百余万円であって、その収納割合93.98%は前年度の91.39%に比べ好転しているが、なお収納未済額は既往年度分を加えると1034億1千5百余万円(うち滞納処分執行停止等を除いた純滞納額約766億円)に達している。
 本院会計検査の結果注意を要すると認められる点は、

(ア) 法人、個人の経理内容または取引関係の調査の不徹底、課税資料の通報連絡または活用の不十分、法令の適用誤りなどのため課税標準類の決定を誤ったものが多いこと、

(イ) 源泉徴収所得税については、その納付成績は次第に良好となっているが、なお納付に対する監査不十分等のため徴収すべきものを徴収していないものがあること

(ウ) 確定した租税債権について手続の過誤により徴収決定すべき金額を誤ったり、滞納税金特に利子税等の付帯税について適確な徴収処置を欠いたものがあること、

(エ) 過誤納税金の還付の促進については努力の跡は認められるが、なお過納発生後長期間にわたり放置していたものがあること、

(オ) その他税務職員が税金等をほしいままに領得したものがあること

などであって、租税の徴収過不足を是正させたものおよび租税の徴収上の過誤を是正させたものについては別項に記載したとおり396件(109−504 )あるが、税務官署間および署内相互の連絡を緊密にして徴税事務の適確周到な遂行を期するとともに担当職員の訓練になお一層の努力をする要があると認められる。

 国有財産の管理および処分

 全国財務局の昭和27年度における国有財産の処分収入および利用収入の徴収決定済額は96億8千余万円であって、これに対し年度末の収納未済額が12億8千余万円あり徴収決定済額の13%余に当っているが、既往年度分の27年度末における収納未済額6億7千5百余万円を合わせると収納未済額累計は19億5千5百余万円に達する状況である。

 右収納未済額のおもなものは、船舶共有持分の一部償却額および金利7億3千1百余万円、財産税等物納財産の処分収入4億8千6百余万円、国有財産の貸付料3億3千8百余万円であって、このような結果となったのは債務者の経営不振等に因ることが多いと認められるが、貸付料については、毎年定期に徴収すべきものを数年分取りまとめまたは年度末に至って徴収決定したことなどにも因るものと認められる。
 右のほか、27年度分貸付料として同年度中に徴収処置を講じなければならなかったのに、これを翌年度に繰り越したものが約6900件3億5百余万円あったので、本院においても処理の促進について注意を促したところであるが、うち100万円以上のもの42件1億6千9百余万円についてみると、28年9月末までにおおむね徴収決定を了した。

 このように徴収決定が遅延したのは、平和回復に伴い国有財産に対する賠償指定の全面的解除および日米行政協定に基く提供国有財産の実態調査の施行等により事務量が増加したなどの事情に因るものとはいえその処理の促進を期すべきである。