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  • 昭和29年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第8 農林省|
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集荷奨励金の交付にあたり処置当を得ないもの


(1798) 集荷奨励金の交付にあたり処置当を得ないもの

 (項)食糧管理費

 食糧庁で、昭和29年5月、全国販売農業協同組合連合会(以下「全販連」という。)に対し、供米用包装資材の集荷奨励金として22,856,000円を支出しているが、その交付が適切でなかったため約1800万円が過渡となっている。

 右奨励金は、28年の災害により九州地区の供米用かます原料わらが品不足となり遠隔地からこれを移入する必要を生じ、また、かますは災害用として需要が増加したため地域的、時期的に高価となり、供米農家の負担を増し、ひいて供米上支障をきたすこととなるので、これらの集荷を促進するため、各農業協同組合(以下「農協」という。)が取り扱った28年産米用新かますの購入価格が政府買入価格1枚当り75円を上回ったものにつき系統集荷団体の負担した額および農協が支払った原料わらの輸送費を補償することとしたもので、全販連の申請に基きかます4,010,205枚の負担額として14,056,000円および原料わら1,610,352貫の輸送費として8,800,000円計22,856,000円を全販連に支払い、福岡ほか6県の農協連合会(以下「県連」という。)を通じて各県内の農協に交付させたものである。

 本院において30年4月以降右奨励金交付の基準となった前記全販連の申請内容について調査したところ、系統集荷団体の帳簿上同団体が1枚当り75円を上回って集荷したかますは581,391枚その負担額3,250,267円、また、輸送した原料わらは237,514貫、その輸送費1,436,650円計4,686,917円となっていて、これに比べ全販連の申請額は、かますにおいて3,428,814枚10,805,733円、原料わらにおいて1,372,838貫7,363,350円計18,169,083円超過しているのに、食糧庁は十分の調査もしないで申請額と同額の奨励金を支払ったもので、その処置当を得たものとは認められない。

 しかして、前記奨励金の使途について調査したところ、かますの分については、全販連は交付を受けた14,056,000円を県連に交付し、県連は1,135,906円を奨励金の交付を受けるための陳情費等として差し引いて残額12,920,094円を農協に交付したところ、農協は実際に負担した額3,250,267円をこえる6,558,233円を手元に保留し、残額6,361,861円のうち839,585円をかます生産者等に、5,522,276円を供米農家に交付している。また、原料わらの分については、全販連は交付を受けた8,800,000円に自己資金1,046,561円を合わせ計9,846,561円を県連に交付したところ、県連は3,935,839円を欠損補てん金等に充て、残額5,910,722円を農協に交付し、農協は実際に支払った原料わらについての立替運賃1,436,650円をこえる2,093,583円を手元に保留し、残額3,817,139円をかます生産者等に交付している状況である。