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  • 昭和30年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第7 農林省|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 補助金

公共事業国庫補助工事の計画が当を得ないもの


(1526)−(1528)公共事業国庫補助工事の計画が当を得ないもの

 (組織)農林本省(項)土地改良事業費
 (組織)林野庁(項)林道事業費
 (組織)水産庁(項)漁港災害復旧事業費
 地方公共団体である県または土地改良区が国庫補助金等の交付を受けて施行した土地改良、災害復旧等の工事において、工事の施行にあたり、計画が当を得なかったため補助の目的を達していないものが、左のとおり3件9,144,969円(国庫補助金等4,367,799円)ある。

(1526)  新潟県十日町市下貫土地改良区が施行した願入溜池土地改良工事は、工事費5,840,000円(国庫補助金2,486,000円)で、ため池堤とう延長62メートルを新設したものであるが、31年5月完成後間もなく堤とうの基礎地盤の一部から漏水して十分に貯水することができない状況で工事施行の目的を達していない。
 右は、堤とうの基礎地盤が砂岩、砂質頁岩の破砕層であるから漏水のおそれがあることは予測することができたものと認められるのに、これに対する対策を考慮することなく工事を施行したもので、工事の設計が当を得なかったことによるものである。

(1527)  岡山県が施工した笠岡市金浦漁港29年災害復旧工事は、工事費1,373,141円(国庫負担金915,885円)で防波堤延長49メートルを復旧したものであるが、31年3月、工事完成後間もなく先端部21メートルが不等沈下してき裂を生じ工事施工の目的を達していない。
 右は、工事施工箇所が軟弱な泥土層で重量施設を構築するときにはきわめて不適当な地盤であるのに、旧施設の築堤地盤に対する平米当り自重4.4トンを著しく超過した6.8トンの重量施設を短期間のうちに取急ぎ施工するなど工事の設計および施工が当を得なかったことによるものである。

(1528)  徳島県が施行した奥地開発林道古屋川線開設工事は、工事費16,360,000円(国庫補助金8,180,000円)で林道延長1,539メートルを施行したものであるが、そのうちずい道延長25メートルの開さく(工事費1,931,828円、国庫補助金965,914円)は工事完成直前の31年5月崩壊し、工事施行の目的を達していない。
 右は、周辺一帯が地層の安定していないいわゆる衝上帯でずい道開さくにはきわめて不適当な地質であり、とくに本件工事施行箇所は頁岩、砂岩等の破砕層が縦走しているあん部で、かつ、土かぶりもわずかに3メートルから11メートル程度であるから崩壊の危険は予測することができたものと認められるのに、これらの事情を考慮することなく工事を施行したもので、位置および工法の選定が当を得なかったことによるものである。