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  • 昭和36年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第10 建設省|
  • 不当事項|
  • 工事

直轄工事の施行が不良なもの


(442)−(443) 直轄工事の施行が不良なもの

(道路整備特別会計) (項)道路事業費

(治水特別会計) (治水勘定) (項)河川事業費

 東北、九州両地方建設局で、工事の施行にあたり、監督および検収が当を得なかったため施行が設計と相違していて設計に比べて工事の効果が低下しているものが次のとおりある。

(442)  東北地方建設局で、昭和36年5月、指名競争契約により古久根建設株式会社に61,120,000円で請け負わせ施行した1級国道13号線上山道路第5工事は、37年3月設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、路盤工の切込砂利を設計と相違して施行したため、路盤の均一な支持力を得られず設計に比べて路盤の効果が低下していると認められる。
 本件工事は延長3,118メートルの道路を改修するもので、うち2,063メートルの路盤21,050平米(工事費8,065,000円)は、設計書および仕様書によると、粒径8センチメートル以下の切込砂利仕上り厚40センチメートルまたは45センチメートル総量8,952立米を施行することとなっているのに、実際は河川敷から採取した切込砂利をそのまま敷き込んだため、粒径8センチメートルをこえるものが15%程度1,320立米あり、このうちには玉石程度のものも多量に混入している状況で、施行が設計と相違していて路盤の均一な支持力を得られず、設計に比べて路盤の効果が低下していると認められる。
 なお、本件に対しては、請負人の負担において工事費約277万円で手直しを行なった旨の報告があった。

(443)  九州地方建設局で、昭和36年7月、指名競争契約により有限会社佐藤組に18,719,000円で請け負わせ施行した遠賀川灰田掘削築堤工事は、37年3月設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、玉石練積護岸を設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は遠賀川支川彦山川の延長898メートルを改修するもので、玉石練積護岸2,423平米(工事費6,962,000円)は、設計書および図面によると、控30センチメートルの玉石を使用し、胴込コンクリートは平米当り0.08立米、裏込コンクリートは平米当り0.12立米、また、裏込ぐり石は径6センチメートルから18センチメートルのもので平米当り0.3立米を施行することとなっているのに、実際は築石は規格に満たないもので長辺をつらに短辺を控にして使用したため、控は18センチメートルから25センチメートル程度で、裏込コンクリートは全く施行しておらず、胴込コンクリートも粗悪なもので築石が容易に抜き取られる状況であり、また、裏込ぐり石は土砂を混入した規格に適合しないものもあって、設計に比べて護岸の強度が著しく低下しているものと認められる。
 なお、本件に対しては、請負人の負担において工事費約333万円で手直しを行なった旨の報告があった。