ページトップ
  • 昭和38年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第5 農林省|
  • 不当事項|
  • 物件

土地の売渡価額が低廉と認められるもの


(233)−(234) 土地の売渡価額が低廉と認められるもの

(自作農創設特別措置特別会計) (款)自作農創設特別措置収入 (項)農地等売払収入

 近畿農政局で、土地の売渡しにあたり、売渡価格の評定が適切でなかったため売渡価額が低額となっていると認められるものが次のとおりある。

 (233)  近畿農政局で、昭和38年9月、随意契約により住友化学工業株式会社に大阪府茨木市大字蔵垣内所在の土地188坪を1,142,476円で売り渡しているが、売渡価格の評定が適切でなかったため、売渡価額が約170万円低額となっていると認められる。
 本件売渡価格の評定内容についてみると、相続税課税標準価格を基とした価格坪当り2,286円と固定資産税課税標準価格を基とした価格坪当り11,050円とを平均した6,668円を基準価格とし、これから投下費用として20%相当額1,334円を控除して算定評価格を5,334円と算出し、さらに、精通者の鑑定意見価格として近畿財務局の坪当り15,100円、大阪法務局の坪当り1,950円からそれぞれ投下費用20%相当額を控除した平均坪当り価格6,820円を採用し、これと前記算定評価格5,334円とを再平均して坪当り売渡価格6,077円総額1,142,476円と評定しているものである。
 しかしながら、

(ア) 評価にあたり売買実例価格について調査していないが、両隣の農地1,485坪を36年5月に同会社が坪当り11,004円および13,141円で購入したものがあり、この平均価格を時点修正すると17,204円となる。

(イ) 相続税、固定資産税の課税標準価格を基とした価格は、2箇所の比準地を採用し、これを基礎として算出しているが、本件土地が主要道路に面しているのに対し、比準地はいずれも上記道路から奥に入ったところにあり、これをそのまま採用することは適当とは認められず、本件道路に面した場所に比準地を求め再計算すると、当局の計算によっても相続税課税標準価格を基とした価格は14,205円、固定資産税課税標準価格を基とした価格は21,627円となる。

(ウ) 投下費用については、坪当り離作料3,000円、造成費1,098円計4,098円とし、これが借地権割合20%をこえるので20%として計算したものであるが、本件土地には小作の事実がなく、買受人が実際に投下した費用は造成費だけであるから、これを評定時に時点修正し算出すると坪当り1,173円となる。

(エ) 精通者から徴した鑑定意見価格については、うち大阪法務局の価格1,950円は上記比準地の固定資産税課税標準価格を3倍(不動産登記登録税課税標準価格認定基準表による倍数)したものであり、売買実例価格および近畿財務局の鑑定意見価格に比べて著しく開差があるから、これを排除すると坪当り15,100円となる。
 いま、仮に本院の見解に基づいて計算すると、売渡価格は坪当り15,216円総額2,860,608円となるもので、本件売渡価額1,142,476円はこれに比べて約170万円低額となる計算である。

(234)  近畿農政局で、昭和38年12月、随意契約により小田某に京都市左京区吉田神楽岡町所在の土地65.9坪を価額778,806円で売り渡しているが、売渡価格の評定が適切でなかったため、売渡価額が約50万円低額となっていると認められる。
 本件売渡価格の評定内容についてみると、相続税課税標準価格を基とした価格坪当り19,285円と固定資産税課税標準価格を基とした価格坪当り17,790円とを平均した18,537円を基準価格とし、これから投下費用として坪当り8,255円を控除して算定評価格を10,282円と算出し、さらに、精通者の鑑定意見価格として近畿財務局京都財務部の坪当り47,490円、京都地方法務局の坪当り5,930円からそれぞれ借地権割合50%相当額を控除した平均坪当り価格13,355円を採用し、これと前記10,282円とを再平均して坪当り売渡価格11,818円総額778,806円と評定しているものである。
しかしながら、

(ア) 相続税課税標準価格を基とした価格は大阪国税局で決定した37年7月現在における路線価格から算出したものであるが、評定時現在に時点修正する必要があり、これによると坪当り24,048円となる。

(イ) 固定資産税課税標準価格を基とした価格は、本件土地には路線価格がないとして比準地を求め京都市において設定した38年1月現在におけるその路線価格に近畿財務局の36年9月通達による固定資産税課税標準価格修正率6を乗じて算出したものであるが、本件土地には路線価格があるからこれを評定時現在に時点修正すべきであり、また、上記修正率は37年10月に13.1に改正されているからこれによるべきであり、これらの点を修正して計算すると坪当り46,646円となる。

(ウ) 精通者から徴した鑑定意見価格のうち京都地方法務局の価格5,930円は固定資産税課税標準価格を2倍(不動産登記登録税課税標準価格認定基準表による倍数)したものであり、前記基準価格および近畿財務局京都財務部鑑定意見価格に比べて著しく開差があるから、これを排除すると坪当り47,490円となる。 いま、仮に本院の見解に基づいて計算すると、売渡価格は坪当り20,709円総額1,364,723円となるもので、本件売渡価額778,806円はこれに比べて約50万円低額となる計算である。