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  • 昭和56年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第9 建設省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

下水道工事におけるマンホール用型枠費の積算について


下水道工事におけるマンホール用型枠費の積算について

 建設省では、国庫補助事業として地方公共団体が行う下水道の整備を多数実施しているが、青森県ほか6県及び青森県ほか16都県管内の242市町村等計249事業主体が昭和56年度に施行している981工事(工事費総額534億6433万余円、国庫補助金相当額316億6627万余円)について検査したところ、次のとおり、これら工事で施工したマンホール用型枠費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記各工事においては、新設した管きょの点検、清掃等を行うための施設として多数のマンホールを築造しているが、これらのマンホールのうち、標準化された1号から4号までの円形マンホール(以下「円形標準マンホール」という。)の型枠費についてみると、54年5月に同省が各地方公共団体に示した「下水道用設計標準歩掛り表一管路施設(開削)編一」に定められている合板円形型枠歩掛かり又は鋼製型枠歩掛かり(矩形マンホールが対象となっているもの)を準用するなどして1m2 当たり7,958円から2,540円マンホール7,613箇所分で合計5億9216万余円(国庫補助金相当額3億5056万余円)と積算していた。

 しかして、上記の歩掛かりのうち、前者は合板等を材料としてマンホール設置のつど型枠を製作することを、後者はマンホールの形状に合わせて鋼製型枠を組み合わせることをそれぞれ前提として定められたものであるが、円形標準マンホールについては、同省監修の下水道施設設計指針で内径、外径とも規格化されており、また施工例も多いところから、近年、能率がよく経済的なマンホール専用の鋼製型枠が普及していて施工に当たってはこれを使用するのが一般的で、これによれば、組立て、解体の工数が合板円形型枠歩掛かりの2分の1以下になるなど工費が大幅に低減しており、本院が前記の各工事について調査したところでも、大部分がマンホール専用の鋼製型枠を使用して施工している状況であって、これについて適切な歩掛かりで計算すると1m2 当たり単価は2,204円から2,811円(この開差は労務費単価の地域差による。)となり、上記の積算は施工の実態に適合していないと認められた。

 したがって、本件各工事について上記によりマンホール用型枠費を積算したとすれば、積算額を約3億1342万円(国庫補助金相当額1億8606万円)程度低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、建設省では57年10月に「下水道用設計標準歩掛り表一管路施設(開削)編一」に施工の実態に適合した歩掛かりを追加して各地方公共団体あて通達を発し、11月以降積算する工事から適用することとする処置を講じた。