科目 | (損益勘定) (項)営業費 |
部局等の名称 | 関東、中部、近畿、中国各地方自動車局及び北海道、東北、信越、九州各地方自動車部 |
契約名 | 自動車線駅業務委託契約 |
契約の概要 | (1) 関東地方自動車局管内八日市場駅ほか10自動車線駅における乗車券類発売等業務を部外に委託するもの (2) 関東地方自動車局西那須野自動車営業所ほか42自動車営業所で実施した貸切営業に係る貸切乗車券の発売を部外に委託するもの |
契約の相手方 | 株式会社 日本交通観光社 |
契約年月日 | 昭和58年4月1日 随意契約 |
契約期間 | 昭和58年4月〜59年3月 |
委託費 | (1) 20,867,284円 (2) 18,837,360円 |
上記の各部局において、委託の要のない乗車券類発売等業務を部外に委託するなどしていたため、約3970万円が不経済となっていた。
このような事態を生じたのは、自動車線委託駅の設置に関する基準が定められていなかったり、自動車営業所に貸切乗車券が常備されていなかったりなどしていることによるもので、委託経費の節減を図る要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)では、鉄道事業に関連する運送事業として自動車事業を運営しており、自動車線駅における乗車券類の発売等の業務(以下「駅業務」という。)を部外に委託する場合、その業務委託経費については、自動車線委託業務処理基準規程(昭和40年自達第1号)等の定めるところにより、委託業務の種類ごとに地方自動車局長等が定めた率(乗車券類の委託発売手数料率は旅客運賃及び料金の8%)又は額により算定することとしている。
しかして、四国総局ほか8地方自動車局等(注1)
の業務委託経費について検査したところ、次のとおり、適切でないと認められる事態が見受けられた。
1 自動車線委託駅の設置について
自動車線駅8,411箇所のうち、国鉄等の職員が配置されている鉄道線駅と接続する自動車線駅は345箇所あり、このうち264箇所では鉄道線駅の出札窓口で自動車線の駅業務を行わせているが、四国総局ほか8地方自動車局等管内の松山駅ほか80箇所では、別途、駅業務を部外に委託し、鉄道線駅舎内や駅舎に隣接した場所に駅業務の窓口を設置していて、昭和58年度において、業務委託経費703,270千円を支払っている。
しかして、上記81箇所の自動車線委託駅の駅業務の実態について調査したところ、乗車券類の発売業務が大部分を占めていて、その発売枚数も鉄道線駅の出札窓口で行わせている箇所における発売枚数と同程度であって、長距離路線及び観光路線上の駅又は貸切誘致等の営業拠点として位置付けられていないことなどから、自動車線駅と接続する鉄道線駅の出札窓口で駅業務を行うことができ、部外に委託する要がないと認められる箇所が、関東地方自動車局ほか5地方自動車局等(注2)
管内の八日市場駅ほか10駅、業務委託経費20,867千円見受けられた。
いま、仮に上記11駅について、駅業務の委託を廃止して、これと接続する鉄道線駅の出札窓口で当該業務を行ったとすれば、上記委託経費約2086万円を節減できたと認められる。
2 貸切乗車券の取扱いについて
国鉄では、58年度の貸切収入は21,833件、1,815,762千円に上っていて、このうち、自動車営業所で発売した貸切乗車券は4,824件、257,202千円、駅業務を委託している業者(以下「委託先」という。)で発売した貸切乗車券は9,452件、705,578千円、計14,276件、962,780千円となっている。そして、委託先で発売した貸切乗車券に対して、委託発売年数料56,446千円を支払っている。
しかして、委託先で発売した上記9,452件について調査したところ、このうち3,517件、235,467千円については、関東地方自動車局ほか7地方自動車局等(注3)
管内において自動車営業所職員が渉外、誘致活動により貸切旅客を募集したり、自動車営業所で直接貸切旅客の申込みを受けたりしたものであるが、自動車営業所に貸切乗車券を常備していなかったり、当該貸切旅客から旅客運賃及び料金の後払いの要望があっても後払いの取扱いをしていなかったりしたため、当該貸切乗車券を自動車営業所で発売することなく委託先で発売させ、これに対して委託発売手数料18,837千円を支払っていた。
しかしながら、上記のような場合、自動車営業所で当該貸切乗車券を発売して委託発売手数料経費の節減に努める要があると認められる。
いま、仮に上記3,517件について、自動車営業所で貸切乗車券を発売したとすれば、上記委託発売手数料約1883万円を節減できたと認められる。
このような事態を生じたのは、自動車線委託駅の設置に関する基準が定められていなかったり、自動車営業所に貸切乗車券が常備されていなかったり、貸切旅客に対する旅客運賃及び料金の後払いの取扱いに関する規定が十分活用されていなかったりしていたことによるものと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、日本国有鉄道では、1項については、昭和59年10月、「自動車線業務委託駅(接続駅)の改善について」の事務連絡を発して、自動車線委託駅の設置に関する基準を定め、11駅については59年度から61年度までに鉄道線駅へ統合し又は廃止することとする処置を、2項については、59年10月、「自動車貸切乗車券発行の適正化について」の事務連絡を発して自動車営業所に貸切乗車券を常備し同月以降実施するとともに、同月、「自動車貸切旅客運賃及び料金の後払の取扱いについて」の通達を発して貸切旅客に対する旅客運賃及び料金の後払いの取扱方を定め、12月から実施することとする処置を講じた。
(注1) 四国総局ほか8地方自動車局等 四国総局、関東、中部、近畿、中国各地方自動車局及び北海道、東北、信越、九州各地方自動車部
(注2) 関東地方自動車局ほか5地方自動車局等 関東、中部各地方自動車局及び北海道、東北、信越、九州各地方自動車部
(注3) 関東地方自動車局ほか7地方自動車局等 関東、中部、近畿、中国各地方自動車局及び北海道、東北、信越、九州各地方自動車部