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  • 昭和59年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第5 日本道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

トンネル内の監視員通路に設置するハンドレールの工事費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの


トンネル内の監視員通路に設置するハンドレールの工事費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの

科目 (款)高速道路建設費 (項)建設工事費
部局等の名称 仙台、東京第一、名古屋、広島各建設局
工事名 東北自動車道坂梨トンネル北(その3)工事ほか10工事
工事の概要 高速道路建設工事の一環として、トンネル、舗装、ハンドレール等を施工する工事
工事費 12,833,060,500円
請負人 大成建設株式会社・株式会社竹中土木東北自動車道坂梨トンネル北(その3)工事共同企業体ほか3共同企業体及び積水樹脂株式会社ほか5会社
契約 昭和58年5月〜59年11月 指名競争契約又は随意契約

 上記の各工事において、トンネル内の監視員通路に設置するハンドレールの工事費の積算(積算額2億6640万余円)が適切でなかったため、積算額が約1億0900万円過大になっていた。

 このように積算額が過大になっているのは、バスストップに設置するハンドレールの施工実態に基づいて定められている積算基準を、構造が簡易で作業が容易なトンネル内の監視員通路のハンドレール設置作業にそのまま適用していたことによるもので、作業の実態に即した積算をする要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)
 日本道路公団(以下「公団」という。)では、高速道路等の建設工事を毎年多数実施しているが、このうち、仙台建設局ほか3建設局が昭和59事業年度に施行しているトンネル等の工事11工事(工事費総額128億3306万余円)について検査したところ、次のとおり、トンネル内の監視員通路に設置するハンドレールの工事費の積算について、適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記各工事は、高速道路建設工事の一環として、トンネル、舗装、ハンドレール等の工事を施行するものであるが、このうち、ハンドレールの工事は、トンネル内の側壁部に設置される監視員通路の路肩部に、転落防止用安全施設として、高さ80cmの鋼管製の手すり(径42.7mm又は48.6mm)を設置するものである。そして、このハンドレール設置の工事費の積算に当たっては、公団本社制定の土木工事積算要領(以下「積算要領」という。)に定める設置歩掛かり1m当たりとび工0.25人を適用して、1m当たりの設置単価(材料費等を含む。)を5,244円から5,940円、11工事設置延長47,132mで総額2億6640万余円と算定していた。

 しかして、前記積算要領におけるハンドレールの設置歩掛かりは、バスストップのハンドレール(径48.6mm及び60.5mmの鋼管を使用した柵状のもの)設置作業の実績に基づいて定められたもので、その内容をみると、工場で柵状に組み立てられた1スパン4m、重量約120kgのハンドレールを5tトラッククレーンを使用して建て込む作業内容であることから、従事する作業員の職種をこの種重量物取扱い等を行うとび工とし、その作業実績歩掛かりに、5tトラッククレーンの経費に見合う分を加算して、1m当たりとび工0.25人となっている。

 しかしながら、本件ハンドレールの設置作業は、監視員通路に平均2m間隔であらかじめ設置されているさや管に、工場で加工された重量約4.8kgの鋼管の支柱を建て込み、これに重量約7.6kgの鋼管を取り付けるだけの簡単なもので、トラッククレーンを使用する必要はなく、施工の実績も人力により1m当たり0.08人程度で施工している状況であった。また、作業員の職種も、本件のように軽量の鋼管を地上において設置する簡単な作業の場合はとび工より労務単価の低い土工(普通作業員)が従事するのが通常であると認められる。

 したがって、上記各工事のハンドレール設置の工事費について施工の実態を考慮して積算したとすれば、積算額を約1億0900万円低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、60年5月に積算要領のハンドレール工の歩掛かりを適正なものに改め、同月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。

上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、60年5月に積算要領のハンドレール工の歩掛かりを適正なものに改め、同月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。

トンネル内の監視員通路に設置するハンドレールの工事費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたものの図1