1 本院が要求した是正改善の処置
厚生省では、保険医療機関に支払われる診療報酬の基準として「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」(昭和33年厚生省告示第177号。以下「算定基準」という。)等を定めている。この算定基準等によれば、保険医療機関が病床の定数を上回って入院患者を収容している場合(以下「定数超過入院」という。)には、診療報酬の入院料のうち室料、看護料及び入院時医学管理料について所定の減額をして算定することとされている。
しかし、定数超過入院の状況にある保険医療機関が、室料等について所定の減額を行わないで診療報酬を過大に請求しそのまま支払を受けていた不適切な事態が見受けられた。
このような事態が生じているのは、保険医療機関においては、定数超過入院の状況にあるのに算定基準等についての認識が十分でなかったこと、都道府県においては、各保険医療機関に対して算定基準等を遵守させるための指導及び定数超過入院の状況の把握が十分でなかったことなどによると認められた。
入院料に係る診療報酬の請求及び支払の適正な運用を図るため、都道府県に対して、定数超過入院の状況にある保険医療機関の把握についてコンピュータを活用するなどの具体的な方法を指示するなどの処置を講ずるよう、厚生大臣に対し平成元年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。
2 当局が講じた是正改善の処置
厚生省では、本院指摘の趣旨に沿い、2年3月に都道府県に対して通知を発して、定数超過入院の状況にある保険医療機関を把握するため、国民健康保険団体連合会等に提出される診療報酬請求書に記載されたデータを活用するよう指示するなどして、入院料に係る診療報酬の請求及び支払の適正化を図る処置を講じた。