1 本院が要求した是正改善の処置
再就職手当の支給要件は、就職日の前日における基本手当の支給残日数が同手当の所定給付日数の2分の1以上あることなどとなっている。
この再就職手当の支給の適否について調査したところ、受給者が就職日前の最新の失業認定日から就職日の前日までの失業期間について失業の認定を受けずに再就職手当の支給申請をしてきているのに、当該期間について失業の認定を行うことなく申請どおりに支給を決定していた。その結果、当該期間について失業の認定を行ったうえで支給残日数を確認した場合には再就職手当の支給要件を欠くことになる受給者に同手当が支給されているなどの不適切な事態が見受けられた。
このような事態が生じているのは、支給要件を満たしているか否かの確認の取扱いに関し、具体的な運用について指針を示すことなく、就職日前の最新の失業認定日によって支給残日数を把握する例外的な方法を認めたことなどによると認められた。
再就職手当の支給が適切に行われるよう方策を樹立するとともに、各都道府県及び公共職業安定所に対してその施策の徹底を図るなどの措置を講ずるよう、労働大臣に対し平成元年11月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。
2 当局が講じた是正改善の処置
労働省では、本院指摘の趣旨に沿い、同年12月に各都道府県知事に対し通達を発して、同月以降の支給決定に際しては、就職日の前日までの期間について失業の認定を行った後に支給残日数を確認することとするなどの取扱方法を定め、再就職手当の適切な支給を確保する処置を講じた。