1 本院が要求した是正改善の処置
宅地建物取引業を営む者の営業免許の有効期間が満了したり、廃業等の届出があったため営業免許が失効したり、営業免許が取り消されたりなどして現金で供託した営業保証金の供託原因が消滅したときは、宅地建物取引業を営んでいた者又はその承継人は、供託官に対し営業保証金の取戻請求を行うことができる。そして、この者が取戻請求権を行使しない場合には、法務省において、所定の期間が経過すると時効が完成して取戻請求権が消滅するものとして取り扱い、歳入徴収の手続をすることとしている。
しかし、この歳入徴収に関する事務処理が適切に行われているか否かを調査したところ、東京法務局ほか5供託所において、時効が完成した営業保証金について、歳入として徴収するための処理を行う要があるのに、これが行われておらず、適切とは認められない事態が多数見受けられた。
このような事態が生じているのは、法務省において供託原因消滅の有無について把握する事務処理手続を定めていなかったことなどによると認められた。
歳入徴収が未済のものを歳入として徴収するための処理を行うとともに、営業保証金の供託原因消滅の有無について把握する事務処理手続を整備するなどの措置を講ずるよう、法務大臣に対し平成2年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。
2 当局が講じた是正改善の処置
法務省では、本院指摘の趣旨に沿い、各法務局、地方法務局に対し通達を発して、供託原因消滅の有無について把握する事務処理手続を定めるなどして、営業保証金のうち時効完成したものを歳入として徴収する手続の適正化を図る処置を講じ、また、歳入徴収が未済のものを3年3月までに徴収した。