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  • 平成2年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったもの


(206) 雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定)(項)雇用安定等事業費
部局等の名称 北海道ほか12都県(支給庁)
岩見沢公共職業安定所ほか25公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 30事業主
特定求職者雇用開発助成金の支給額の合計 65,281,488円
不適正支給額 34,464,795円
 特定求職者雇用開発助成金の支給決定に当たり、事業主からの申請に対する調査確認が十分でなかったため、上記の30事業主に対して34,464,795円が不適正に支給されていた。これらについては、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。

1 保険給付の概要

(特定求職者雇用開発助成金)

 特定求職者雇用開発助成金は、雇用保険(前掲の 「雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの」 参照 )で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、55歳以上(注1) 65歳未満の高年齢者など就職が特に困難な者(以下「特定求職者」という。)の雇用機会の増大を図るため、特定求職者を雇用した事業主に対して、当該雇用労働者に支払った賃金の一部を助成するものである。

(特定求職者雇用開発助成金の支給)

 この助成金は、事業主が特定求職者を公共職業安定所の紹介により新たに常用労働者として雇い入れたことなどを支給要件としている。その支給対象期間は雇入れ後1年(重度の身体障害者などについては1年6箇月)、また、支給額は支給対象期間に支払った賃金の額に所定の支給率(注2) を乗じて得た額となっている。そして、公共職業安定所が、事業主から提出された申請書に記載されている当該雇用労働者の氏名、生年月日、雇用年月日、支払賃金額等を審査して支給を決定し、これに基づいて、各都道府県が支給することとなっている。

(注1)  55歳以上 昭和62年7月1日から平成元年3月31日までの間は暫定措置として45歳以上となっている。

(注2)  所定の支給率 高年齢者の場合の支給率は1/4(中小企業事業主の場合は1/3)であるが、昭和62年4月1日から平成元年3月31日までの間は暫定措置として1/2(中小企業事業主の場合は2/3)となっている。

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道ほか26都府県(支給決定庁 札幌公共職業安定所ほか211公共職業安定所)から特定求職者雇用開発助成金の支給を受けた事業主のうち、1,406事業主(支給額2,339,231,919円)について、公共職業安定所における特定求職者雇用開発助成金の支給決定の適否を検査した。

(不適正支給の事態)

 検査したところ、北海道ほか12都県で、30事業主に対する支給(支給額65,281,488円)について34,464,795円が不適正に支給されていた。これは、岩見沢公共職業安定所ほか25公共職業安定所において、事業主が誠実でなかったなどして、既に雇用している者を新たに雇用したこととしているなど申請書の記載内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによるものである。

 なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。

 これらの不適正支給額を都道県別に示すと次のとおりである。

都道県名 公共職業安定所 本院が調査した事業主数 不適正受給事業主数 左の事業主に支給した特定求職者雇用開発助成金 左のうち不適正特定求職者雇用開発助成金

北海道

岩見沢ほか1

12

2
千円
5,315
千円
2,292
宮城県 仙台 12 1 3,212 1,934
山形県 米沢 13 2 1,068 831
栃木県 足利 20 1 1,179 1,179
埼玉県 所沢ほか1 19 2 6,200 3,516
東京都 五反田ほか4 53 7 15,869 8,073
神奈川県 戸塚ほか2 20 3 7,481 2,554
新潟県 長岡ほか3 29 5 6,453 2,608
兵庫県 西宮 10 1 1,578 752
広島県 広島ほか2 15 3 5,072 3,220
山口県 下松 5 1 4,795 1,549
高知県 高知 6 1 1,702 1,064
福岡県 直方 3 1 5,352 4,887
 計 26箇所 217 30 65,281 34,464