会計名及び科目 | 労働保険特別会計(雇用勘定)(項)雇用安定等事業費 |
部局等の名称 | 青森県ほか11県(支給庁) |
八戸公共職業安定所ほか28公共職業安定所(支給決定庁) | |
支給の相手方 | 33事業主 |
地域雇用開発助成金の支給額の合計 | 710,427,814円 |
不適正支給額 | 393,726,519円 |
1 保険給付の概要
地域雇用開発助成金は、雇用保険(前掲の「雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの」参照 )で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、雇用機会が不足している地域の雇用開発を促進するため、施設や設備の新設、増設、購入又は賃借(以下「施設等の設置・整備」という。)を行って当該地域に居住する求職者等を雇用した事業主に対して支給されるものである。そして、この助成金は、〔1〕 雇い入れた労働者に支払った賃金の一部を助成する地域雇用奨励金(以下「奨励金」という。)、〔2〕 施設等の設置・整備に要した費用と雇い入れた労働者数に応じて助成する地域雇用特別奨励金(以下「特別奨励金」という。)及び〔3〕 施設等の設置・整備に伴う従業員の移転に要した費用を助成する地域雇用移転給付金から成っている。
このうち、奨励金及び特別奨励金は、公共職業安定所が、事業主から提出された奨励金及び特別奨励金の申請書等に記載されている雇用労働者数、雇用年月日、支払賃金額、設置・整備された施設等の内容等を審査して支給を決定し、これに基づいて、都道府県が支給することとなっている。そして、奨励金及び特別奨励金の支給要件等は次のとおりとなっている。
(1) 奨励金
(ア) 支給要件は、事業主が地域雇用開発等促進法(昭和62年法律第23号)の規定に基づいて政令で指定された雇用開発促進地域(注1) 又は特定雇用開発促進地域(注2) 内において、施設等の設置・整備をして新たに事業を始めるか又は事業を拡大すること。
これに伴い、公共職業安定所に対して「事業所設置・整備及び雇入れ計画書」を提出した日(以下「計画日」という。)から「事業所設置・整備及び雇入れ完了届」を提出した日(以下「完了日」という。)までの間に、当該地域に居住する求職者等を公共職業安定所の紹介により常用労働者として雇い入れることなど
(イ) 支給額は、計画日から完了日までの間に雇い入れた労働者に対して施設等の設置・整備に係る事業の開始日以降支払った賃金の額に、所定の助成率(注3) を乗じて得た額
(ウ) 支給対象期間は、6箇月ごとに計1年間(特定雇用開発促進地域の離職者については3年間)
(2) 特別奨励金
(ア) 支給要件は、事業主が、奨励金の支給要件に該当して実際に奨励金の受給資格決定を受けていること。計画日から完了日までの間に行った施設等の設置・整備に要した費用の合計額が500万円以上で、これに伴い雇い入れた労働者が5人(小規模企業事業主(注4) の場合は3人)以上であることなど
(イ) 支給額は、設置・整備した施設等に要した費用と雇い入れた労働者数に応じて1回当たり25万円から1000万円
(ウ) 支給対象期間は、毎年1回ずつ計3年間(雇用開発促進地域)又は計5年間(特定雇用開発促進地域)
(注1) 雇用開発促進地域 多数の求職者が居住し、雇用機会が相当程度不足している地域
(注2) 特定雇用開発促進地域 雇用開発促進地域のうち産業構造の変化などにより雇用状況が著しく悪化している地域又は悪化するおそれがあると認められる地域
(注3) 所定の助成率 1/4(中小企業事業主の場合は1/3)であるが、昭和62年4月1日から平成元年3月31日までの間は暫定措置として1/2(中小企業事業主の場合は2/3)となっている。なお、特定雇用開発促進地域の事業主が、特定雇用開発促進地域の離職者を雇い入れた場合は3年間支給されるが、その助成率は2年目以降漸減する。
(注4) 小規模企業事業主 常時雇用する労働者の数が20人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5人)を超えない事業主
2 検査の結果
北海道ほか23県(支給決定庁 函館公共職業安定所ほか130公共職業安定所)から地域雇用開発助成金の支給を受けた事業主のうち、779事業主(奨励金支給額2,815,465,689円、特別奨励金支給額3,639,750,000円、計6,455,215,689円)について、公共職業安定所における地域雇用開発助成金の支給決定の適否を検査した。
検査したところ、青森県ほか11県で、33事業主に対する支給(奨励金支給額348,927,814円、特別奨励金支給額361,500,000円、計710,427,814円)について393,726,519円(奨励金175,726,519円、特別奨励金218,000,000円)が不適正に支給されていた。これは、八戸公共職業安定所ほか28公共職業安定所において、事業主が誠実でなかったり、制度を十分理解していなかったりして、既に雇用している者を新たに雇用したこととしているなど申請書等の記載内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによるものである。
なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
これらの不適正支給額を県別に示すと次のとおりである。