1 本院が要求した是正改善の処置
中小企業信用保険公庫(以下「公庫」という。)が保険者となって実施している機械類信用保険では、被保険者であるリース業等を営む会社(以下「会社」という。)が、保険金の支払を受けた後に損害額を回収したときには、それを公庫に報告したぅえ、そのうちの所定額を公庫に納付することとなっている。
この保険金の支払を受けた会社における回収金の回収状況等を調査したところ、回収報告漏れが多数生じ、回収金に係る公庫納付金が公庫に納付されていない事態が見受けられた。
このような事態が生じているのは、主として次のことによると認められた。
(ア) 会社において回収金に係る事故債権管理台帳等が整備されていないのに、これを整備させるための措置を執っていないこと
(イ) 会社に対し回収金の回収状況を調査させ、その結果を報告させる措置を講ずる必要があるのに、これを行っていないこと
(ウ) 保険金の支払後、回収の見込みのあるものを重点的に管理できるような体制が執られていないこと
公庫納付金の確保に努め、保険事業の適正な運営を図るため、次のような処置を講ずるよう中小企業信用保険公庫総裁に対し平成2年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。
(ア) 事故債権管理台帳等を整備するよう会社を指導する。
(イ) 回収金の回収状況を会社から定期的に書面で報告させる。
(ウ) 回収の見込みのあるものを重点的に管理できる方法を検討する。
2 当局が講じた是正改善の処置
中小企業信用保険公庫では、本院指摘の趣旨に沿い、次のとおり公庫納付金の納付を確保し、保険事業の運営の適正化を図る処置を講じた。
(ア) 2年12月に会社に対して、事故債権管理台帳等の整備について文書を送付し指導した。
(イ) 3年4月に「機械類信用保険債権管理関係調査実施要領」を制定し、保険金を支払った会社に回収状況を年1回書面により報告させることとした。
(ウ) 保険金支払後、回収の見込みのあるものを重点的に管理する体制を整備するなどした。