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  • 平成3年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 農林水産省|
  • 平成2年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

市街化区域内に所在する国有農地等の有効な利活用を図るための処分の促進について


市街化区域内に所在する国有農地等の有効な利活用を図るための処分の促進について

(平成2年度決算検査報告参照)

1 本院が表示した改善の意見

(検査結果の概要)

 農林水産省では、自作農創設等のため国が小作人に売り渡すことなどを目的として不在地主等から買収した小作地等(国有農地)や、開拓事業を行うため国が地権者から買収した山林、原野等(開拓財産)を管理している。そして、管理の形態は、その処分が行われるまでの間、農耕目的で貸し付けたり(農耕貸付地)、一時的に住宅、店舗、工場等の用地として農耕以外の目的で貸し付けたり(転用貸付地)するなどとなっている。

 このうち、市街化区域内に所在する国有農地及び開拓財産(以下、これらを「国有農地等」という。)については、農林水産省が、自作農の創設又は土地の農業上の利用の増進の目的に供しないこととして不要地認定を行い売払うこととしている。

 そして、農林水産省では、農耕貸付契約の解約を行う農耕貸付地売払促進円滑化事業を実施するなどしてその売払いの促進に努めているが、長年月の経過により権利・利害関係が複雑化したことなどにより売払いが進んでおらず、土地の有効利活用の観点からみて早急に検討を要するものとなっている。

 そこで、本院が市街化区域内に所在する国有農地等の利活用の状況等を検査したところ、農耕貸付地が家庭菜園程度にしか利用されていなかったり、全く利用されていなかったりしている事態や、早期に売払いを要する転用貸付地が長期にわたり貸し付けられたままとなっている事態などが見受けられた。これらの事態は、国有農地等を宅地等として有効利活用するなどの観点からみて適切ではなく、改善を必要とすると認められた。

(検査結果により表示した改善の意見)

 市街化区域内に所在する国有農地等の有効利活用を図るなどのため、次の処置を執るなどして、その処分を促進するよう、農林水産大臣に対し平成3年12月に、会計検査院法第36条の規定により改善の意見を表示した。

(1) 農耕貸付地等について

(ア) 売払いの相手方となる旧所有者等についての調査を計画的に行うとともに、旧所有者等への売払いの通知ができない場合の公告制度を積極的に活用すること

(イ) 農耕貸付地売払促進円滑化事業の対象範囲に、新たに売払いの相手方の大部分を占める旧所有者等に係るものを含めること

(ウ) 農耕借受者の営農状況及び離作の意向を的確に把握するとともに、農耕借受者が耕作を全く行っていない場合、積極的に契約解除の措置を講ずること

(2) 転用貸付地について

 都道府県に対し売払計画を作成させるとともに、転用借受者に対して買受け及び資金調達の計画を作成させ、これらの計画に基づき、転用借受者に対して買受けを積極的かつ継続的に勧奨すること

2 当局が講じた改善の処置

 農林水産省では、本院指摘の趣旨に沿い、4年2月に、都道府県等に対し、市街化区域内に所在する国有農地等の処分の促進に努めるよう指示するとともに、同年6月及び10月に地方農政局等に通達を発するなどして、次のとおり、市街化区域内に所在する国有農地等の処分の促進を図るために必要な処置を講じた。

(1) 農耕貸付地等について

(ア) 売払いの相手方となる旧所有者等の調査を計画的に行うとともに、売払いの通知ができない場合の公告制度の活用を積極的に行うこととした。

(イ) 農耕貸付地売払促進円滑化事業の対象範囲を拡大し、新たに旧所有者等に売り払うべき農耕貸付地を同事業の対象とした。

(ウ) 農耕借受者の営農状況及び離作の意向を把握するため、耕作状況報告書を借受者から都道府県に提出させることとし、不耕作の場合には契約解除等の措置を積極的に講ずることとした。

(2) 転用貸付地について

 長期の転用貸付けを解消するため、都道府県に対し売払計画を作成させるとともに、転用借受者に対して買受け及び資金調達計画を作成させ、これらの計画に基づいて、転用借受者に対する買受け勧奨を積極的かつ継続的に実施することとした。