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  • 平成3年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第6 石炭鉱害事業団|
  • 平成2年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

鉱害復旧のための暗きょ排水工事の施行について


鉱害復旧のための暗きょ排水工事の施行について

(平成2年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 石炭鉱害事業団では、湧水鉱害地区において、耕作に支障を来している農地等についてその効用を回復させるために復旧工事を施行している。この復旧工事には、農地をかさ上げするなどの工事(以下「農地復旧工事」という。)と暗きょ排水工事(表土をはぎ取るなどして吸水管を埋設する工事)がある。そして、暗きょ排水工事は、農地復旧工事と組み合わせて施行されるものであるが、農地復旧工事で施行した地盤の安定を見極めるためとして、農地復旧工事の完了後、1、2年程度経過した後に施行されている。

 しかし、原形復旧工法(農地の形状を変えずにかさ上げする工法)による農地復旧工事についてみると、現況の地盤を乱さず表土だけをはぎ取り、山土でかさ上げしながら転圧しており、かさ上げ部分を含めて地盤は安定していることなどから、両工事は同時に施行することが可能であると認められた。したがって、両工事を同時に施行することとすれば、両工事に重複する表土のはぎ取り等の経費は農地復旧工事で計上するだけで足り、また、農地復旧工事の農業休止期間内で暗きょ排水工事を施行できることから、これに係る農業休止補償費が不要となり、工事費等が低減できると認められた。

 このような事態が生じているのは、石炭鉱害事業団において、同時施行により工事費等の節減を図る配慮が十分でなかったことなどによると認められた。

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 湧水鉱害地区で原形復旧工法により施行される農地復旧工事及び暗きょ排水工事について、同時に施行するために設計等の基準を整備するなどして、経済的な事業の実施に努めるよう、石炭鉱害事業団理事長に対し平成3年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。

2 当局が講じた是正改善の処置

 石炭鉱害事業団では、本院指摘の趣旨に沿い、4年5月に湧水鉱害地区で原形復旧工法により施行される農地復旧工事及び暗きょ排水工事については、原則として同時に施行するよう、設計等の基準を整備し、同年6月以降に実施計画の認可申請を行う復旧工事から適用することとした。