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  • 平成4年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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法人税の還付金を同一の納税者に重複して支払っていたもの


(6) 法人税の還付金を同一の納税者に重複して支払っていたもの

会計名及び科目 一般会計 国税収納金整理資金 (款)還付金 (項)各税還付金
部局等の名称 高松税務署
支払の根拠 国税通則法(昭和37年法律第66号)、法人税法(昭和40年法律第34号)
還付金の内容 納税者の請求により欠損金の繰戻しによる法人税の還付金を支払うもの
支払の相手方 1法人
還付金及び還付加算金の合計額 203,732,644円
不当支払金額 102,069,622円
 上記の税務署において法人税の還付金を支払うに当たり、支払事務が適切でなかったため、同一の納税者に対し還付金101,663,022円を重複して支払い、これに係る還付加算金406,600円との合計額102,069,622円が不当と認められる。これについては、本院の指摘により、平成5年6月に全額が返納された。

1 還付の概要

(欠損金の繰戻しによる法人税の還付金)

 税務署では、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度において欠損金額が生じた会社に対して、その事業年度の欠損金額を前事業年度の所得に繰り戻して、前事業年度の法人税額の全部又は一部に相当する金額(以下「還付金」という。)を支払うこととなっている。この還付金は、国税通則法(昭和37年法律第66号)及び法人税法(昭和40年法律第34号)に基づき、会社から欠損金の繰戻しによる還付請求書(以下「還付請求書」という。)が提出された場合に支払われるものである。

(還付金の支払事務)

 税務署では、会社から還付請求書が提出されたときは、その内容を審査し、還付すべき金額を確定した後、還付金額が確定した旨を通知するための書類(以下「通知書」という。)を作成し、会社に対してこの通知書を送付する。そして、その月の末日までに還付請求書、通知書(副本)を取りまとめ、還付金の支払件数及び金額を集計した表(以下「集計表」という。)を作成する。そして、これらの書類により支払うべき相手方、金額、支払済みの有無等を調査、確認し、適正であると認めたときは、還付金を支払うこととなっている。

2 検査の結果

 検査したところ、高松税務署では、A会社に対し、平成3年5月30日に、還付請求書のみに基づき、同会社の元年12月から2年11月までの事業年度において生じた欠損金に係る還付金101,663,022円を支払っていた。そして、3年6月20日には、還付請求書がないまま通知書(副本)及び集計表に基づき、再度、同会社に対し還付金101,663,022円及びこれに係る還付加算金406,600円、計102,069,622円を支払っていた。
 しかし、同年6月20日の還付金の支払は、5月30日の支払と同一の請求事由によるものであり、同額が既に支払済みであることを調査、確認しないまま重複して支払ったものである。したがって、上記の102,069,622円の支払は不当と認められる。
 なお、不当支払金額102,069,622円については、本院の指摘により、5年6月に全額が返納された。