会計名及び科目 | 厚生保険特別会計 | (健康勘定) | (款)保険収入 | (項)保険料収入 |
(年金勘定) | (款)保険収入 | (項)保険料収入 |
部局等の名称 | 北海道ほか24都府県(182社会保険事務所) |
保険料納付義務者 | 1,264事業主 |
徴収不足額 | 1,251,449,441円 |
1 保険料の概要
健康保険は、常時従業員を雇用する事業所の従業員を被保険者として、業務外の疾病、負傷、分娩等に関し医療、療養費、傷病手当金、出産手当金等の給付を行う保険である。また、厚生年金保険は、常時従業員を雇用する事業所の65歳未満の従業員等を被保険者として、老令、死亡等に関し年金等の給付を行う保険である。
保険料は、被保険者と事業所の事業主とが折半して負担し、事業主が納付することとなっている。
そして、これらの事業主は、都道府県の社会保険事務所に対し、次の届け書を提出することとなっている。
(ア) 新たに従業員を雇用したときには、資格取得年月日、報酬月額等を記載した被保険者資格取得届
(イ) 毎年8月には、同月1日現在において雇用している被保険者の報酬月額等を記載した被保険者報酬月額算定基礎届
(ウ) 被保険者の報酬月額が所定の範囲以上に増減したときには、変更後の報酬月額等を記載した被保険者報酬月額変更届
これらの届け書の提出を受けた社会保険事務所は、届け書に記載された被保険者の報酬月額に基づいて標準報酬月額(注1)
を決定し、これに保険料率を乗じて得た額を保険料として徴収している。
このほか、事業主は被保険者に対して賞与等の支払を行ったときには、その支払総額等を記載した賞与等支払届を提出することとなっている。この届け書の提出を受けた社会保険事務所は、その都度、賞与等の支払総額に特別の保険料率を乗じて得た額を健康保険の保険料として徴収している。
(注1)
標準報酬月額 健康保険では第1級80,000円から第42級980,000円(平成4年9月までは第1級68,000円から第39級710,000円)まで、厚生年金保険では第1級80,000円から第30級530,000円までの等級にそれぞれ区分されている。被保険者の標準報酬月額は、実際に支給される報酬月額をこの等級のいずれかに当てはめて決定される。
2 検査の結果
北海道ほか24都府県の187社会保険事務所管内の1,061,735事業主のうち、特別支給の老令厚生年金(注2) の裁定を受け年金の額の全部を支給されている受給権者(後掲の「厚生年金保険の老令厚生年金等の支給が適正でなかったもの」参照 )を使用している事業主など4,541事業主について、都道府県における保険料の徴収の適否を検査した。
検査したところ、北海道ほか24都府県の182社会保険事務所において、4,475事業主のうち1,264事業主について徴収額が1,251,449,441円(健康保険保険料359,963,357円、厚生年金保険保険料891,486,084円)不足していた。これは、上記の25都道府県において、事業主が制度を十分理解していなかったり、誠実でなかったりして、次のように届出を適正に行っていなかったのに、これに対する調査確認及び指導が十分でなかったことによるものである。
(ア) 特別支給の老齢厚生年金の受給権者等に係る被保険者資格取得届の提出を怠っていた。
(イ) 報酬月額に算入しなければならない諸手当を算入していなかった。
(ウ) 資格取得年月日の記載が事実と相違していた。
なお、これらの徴収不足額については、本院の指摘により、すべて徴収決定の処置が執られた。
これらの徴収不足額を都道府県別に示すと次のとおりである。
(注2) 特別支給の老齢厚生年金 厚生年金保険において行う保険給付であり、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あって老齢基礎年金に係る保険料納付済期間が25年以上ある者などが、60歳以上で退職したときに、その者が65歳に達するまでの間支給される。そして、受給権者が厚生年金保険の適用事業所に雇用され被保険者資格を取得すると、その報酬月額に応じて年金の額の一部又は全部の支給が停止される。