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  • 平成4年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 第2 農林漁業金融公庫|
  • 不当事項|
  • 貸付金

総合施設資金等の貸付けが不当と認められるもの


(235)−(241) 総合施設資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 北海道、東京、長野、近畿、宮崎各支店
受託金融機関 北海道信用農業協同組合連合会ほか4金融機関
貸付けの根拠 農林漁業金融公庫法(昭和27年法律第355号)、特定農産加工業経営改善臨時措置法(平成元年法律第65号)、過疎地域活性化特別措置法(平成2年法律第15号)
貸付金の種類 総合施設資金、振興山村・過疎地域経営改善資金、農林漁業施設資金、特定農産加工資金
貸付けの内容 農林漁業者等に対する総合施設資金等の貸付け
貸付件数 7件
貸付金の合計額 407,900,000円
不当貸付金額 68,283,439円

 上記の5支店で行った7件407,900,900円の貸付けにおいて、68,283,439円の貸付けがその目的に沿わない結果になっていて、不当と認められる。

1 貸付金の概要

 農林漁業金融公庫(以下「公庫」という。)は、農林漁業者等に対して、農林漁業の生産力の維持増進等に必要な長期かつ低利の資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
 このうち、公庫が直接貸付けを行う場合は、公庫が借入申込書類を審査して、所定の条件を満たしていると認めたものに対して貸し付け、事業の完成状況、事業費の支払状況等によって貸付金の使途などを確認することとしている。また、公庫が金融機関に委託して貸付けを行う場合は、受託金融機関が借入申込書類の審査を行い、一部の資金については公庫が貸付決定を行うこととしているが、そのほかの資金については受託金融機関が公庫の直接貸付けの場合に準じて貸付け等の事務を行うこととしている。

2 検査の結果

 公庫の貸付けについて調査したところ、7件407,900,000円の貸付けにおいて、68,283,439円の貸付けが不当と認められる。これらの資金の借入者からは、事実と相違した内容の借入申込みや事業完成報告がされていた。しかし、これに対する審査及び確認が適切でなかったなどのため、貸付金額を過大に算定していた。
 これを貸付先別に示すと次のとおりである。

支店名
(受託金融機関名)
貸付先
(所在地)
貸付対象

貸付年月
(貸付利率)

貸付対象事業費 左に対する貸付金額 貸付金額のうち不当と認める額 摘要
千円 千円 千円

(総合施設資金)
 

(235) 東京支店 農業者 ガラス温室の新築等 3.11
(年4.8%)
107,841 86,000 11,283 低額実施
千葉県信用農業協同組合連合会 千葉県印旛郡富里町
 この貸付けは、ガラス温室1棟(2,611.44m2 )の新築等に必要な資金107,841,000円の一部として、86,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、この額は契約額を水増ししていたもので、実際は83,018,000円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると74,716,200円となるので、本件貸付金額との差額11,283,800円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成5年9月に繰上償還された。
 
(236) 近畿支店 農業者 ガラス温室の新築等 3.8
(年5.0%)
55,477 49,900 15,731 低額実施
大阪府信用農業協同組合連合会 大阪府泉南郡岬町
 この貸付けは、ガラス温室2棟(1,013.51m2 )の新築等に必要な資金55,477,606円の一部として、49,900,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を55,756,948円で実施したとしていたが、この額は契約額を水増しするなどしたもので、実際は37,965,363円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると34,168,826円となるので、本件貸付金額との差額15,731,174円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成5年9月に繰上償還された。
 

(振興山村・過疎地域経営改善資金)
(237) 北海道支店 農業協同組合 プラスチック温室の屋根の張り替え 3.12
(年4.8%)
39,140 30,000 5,110 低額実施
北海道信用農業協同組合連合会 転貸先農業者転貸先所在地北海道有珠郡壮瞥町
 この貸付けは、プラスチック温室18棟(8,491.2m2 )の屋根の張り替えに必要な資金39,140,000円の一部として、30,000,000円を貸し付けたものである。転借者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、この額は張替工事の契約額を水増ししたもので、実際は31,112,000円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると24,889,600円となるので、本件貸付金額との差額5,110,400円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成5年7月に繰上償還された。
 

(農林漁業施設資金)
 
(238) 宮崎支店 農業者 鶏舎の新築等 3.2
(年5.0%)
101,372 80,000 19,188 低額実施
株式会社宮崎銀行 宮崎県児湯郡川南町
 この貸付けは、鶏舎1棟(823m2 )の新築及びこれに係るケージ等の内部設備機器の設置に必要な資金101,372,600円の一部として、80,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を102,691,473円で実施したとしていたが、この額はケージ等の内部設備機器の設置についてその契約額を水増ししたもので、実際は76,014,473円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると60,811,578円となるので、本件貸付金額との差額19,188,422円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成5年6月に繰上償還された。
 
(239) 宮崎支店 農業者 全自動卵焼製造機の設置 3.3
(年5.0%)
28,320 22,000 3,872 低額実施
株式会社宮崎銀行 都城市
 この貸付けは、全自動卵焼製造機2台の設置に必要な資金28,320,000円の一部として、22,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は値引きを受けていて、これより低額な22,660,000円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると18,128,000円となるので、本件貸付金額との差額3,872,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金残高3,751,000円については、平成5年6月に繰上償還された。
 
(240) 長野支店 農業者 ガラス温室の新築等 63.10
(年4.8%)
110,155 80,000 8,133 低額実施
長野市
 この貸付けは、ガラス温室2棟(1,482m2 )の新築及び農地(10,020m2 )の取得に必要な資金110,155,000円の一部として、80,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、事業内容を一部変更したため事業を79,972,900円で実施したとし、貸付金16,560,000円を繰上償還していたが、実際は、ガラス温室の新築工事について値引きを受けるなどして、これより低額な69,132,900円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると55,306,320円となるので、上記の繰上償還後の貸付金額63,440,000円との差額8,133,680円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金残高6,441,304円については、平成5年10月に繰上償還された。
 

(特定農産加工資金)
 
(241) 長野支店 特定農産加工業者 ジャム製造設備の設置等 4.5
(年4.55%)
76,850 60,000 4,963 低額実施
株式会社八十二銀行 長野県北佐久郡軽井沢町
 この貸付けは、ジャム製造設備2基、ジュース製造設備1基及びラベリングマシン一式の設置等に必要な資金76,850,575円の一部として、60,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を79,119,862円で実施したとしていたが、実際は、ジャム製造設備の機種を変更するなどして、これより低額な68,795,047円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると55,036,037円となるので、本件貸付金額との差額4,963,963円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成5年9月に繰上償還された。
 
(235)-(241) の計 519,156 407,900 68,283