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  • 平成4年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 貸付金

福祉施設設置整備資金等の貸付けが不当と認められるもの


(243)−(246) 福祉施設設置整備資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 (一般事業勘定) (項)貸付金
部局等の名称 年金福祉事業団
受託金融機関 株式会社第4銀行ほか3金融機関
貸付けの根拠 年金福祉事業団法(昭和36年法律第180号)
貸付金の種類 福祉施設設置整備資金、被保険者住宅資金
貸付けの内容 厚生年金保険の被保険者等の福祉を増進するため必要な施設の設置等及び被保険者の住宅取得に必要な資金の転貸を行う事業主等に対する資金の貸付け
貸付件数 4件
貸付金の合計額 522,500,000円
不当貸付金額 152,159,040円

 年金福祉事業団で行った上記の4件522,500,000円の貸付けにおいて、152,159,040円の貸付けがその目的に沿わない結果になっていて、不当と認められる。

1 貸付金の概要

 年金福祉事業団(以下「事業団」という。)は、厚生年金保険の適用事業所の事業主等に対し、厚生年金保険又は国民年金の被保険者、受給権者等の福祉を増進するため必要な社宅、教養文化施設等の設置又は整備に要する福祉施設設置整備資金、厚生年金保険の被保険者への住宅資金の貸付けに要する被保険者住宅資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
 このうち、事業団が金融機関に委託して貸付けを行う場合は、受託金融機関が借入申込書類を審査した後、事業団において、所定の条件を満たしていると認めたものに対して貸付決定を行うこととしている。そして、受託金融機関は、事業完成後、貸付金の使途、貸付対象施設の利用状況などを確認するとともに、貸付金の管理及び回収を行うこととしている。

2 検査の結果

 事業団の貸付けについて調査したところ、4件522,500,000円の貸付けにおいて、152,159,040円の貸付けが不当と認められる。これらは、借入者から事実と相違した内容の事業完成報告がされていたり、貸付対象施設が目的外に使用されていたりしていたのに、これらに対する確認が十分でなかったため資金が過大に貸し付けられていたり、貸付後における貸付金の管理が十分でなかったため貸付金の回収が適切に行われていなかったりしたものである。
 これを貸付先別に示すと次のとおりである。

受託金融機関名 貸付先
(所在地)
貸付対象 貸付年月
(貸付利率)
貸付対象事業費 左に対する貸付金額 貸付金額のうち不当と認める額 摘要
千円 千円 千円
(福祉施設設置整備資金)
 
(243) 株式会社第四銀行 金属製品製造業者
(新発田市)
従業員用福利厚生施設の新築 2.2
(年5.4%)
23,166 20,500 5,200 低額実施及び貸付対象外
 この貸付けは、従業員用福利厚生施設(延べ178.5m2 )の新築に必要な資金23、166、000円の一部として、20,500,000円を貸し付けたものである。
 しかし、
 (ア) 借入者は、上記施設の新築工事を他の工事と合わせて37、500、000円で実施したとしていたが、実際はこれより低額な32、400、000円で実施していた。
 (イ) 貸付対象面積178.5m2 には、貸付けの対象とならない事務室等の面積26.6m2 が含まれており、適正な貸付対象面積は151.9m2 であった。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると15,300,000円となるので、本件貸付金額との差額5,200,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金残高3,640,000円については、平成5年6月に繰上償還された。
 
(244) 新潟県信用農業協同組合連合会 農業協同組合
(長岡市)
教養文化施設の増築 元.7
(年4.85%)
485,808 337,600 23,700 貸付対象外及び目的外使用
 この貸付けは、教養文化施設(延べ1,770.7m2 )の増築に必要な資金485,808,000円の一部として、337,600,000円を貸し付けたものである。
 しかし、
 (ア) 貸付対象面積1,770.7m2 には、共用部分のうち貸付けの対象とならない部分等の面積が含まれるなどしており、適正な貸付対象面積は1,676.8m2 であった。
 (イ) 借入者は、貸付対象の教養文化施設の一部88.9m2 を、平成3年3月から業務用の施設として使用していた。
 したがって、(ア)により、この事業についての適正な貸付金額を計算すると329,600,000円となるので、本件貸付金額との差額8,000,000円が過大な貸付けとなっている。また、(イ)のとおり、業務用の施設に係る貸付金相当額15,700,000円は貸付けの目的外に使用されていたものである。
 よって、これに係る貸付金額計23,700,000円が不当と認められる。
 なお、本件の不当貸付金残高21,205,261円については、5年6月に繰上償還された。
 
(245) 株式会社熊本ファミリー銀行 電気工事業者
(福岡市)
社宅の新築等 3.7
(年6.6%)
196,640 145,000 114,100 目的外使用
 この貸付けは、社宅(延べ1,277.1m2 、世帯用16戸、単身用4戸)の新築等に必要な資金196,640,000円の一部として、145,000,000円を貸し付けたものである。しかし、借入者は、社宅の完成直後の平成3年12月から、世帯用12戸、単身用4戸を賃貸マンションとして第三者に賃貸していた。
 したがって、上記の16戸に係る貸付金相当額114,100,000円は貸付けの目的外に使用されていたものである。
 なお、本件の不当貸付金残高108,394,970円については、5年7月に繰上償還された。
 
(被保険者住宅資金)
 
(246) 株式会社鹿児島銀行 建設業者
(鹿児島市)
住宅取得資金の転貸 53.11から
61.4まで
(年5.55%、6%)
19,400 19,400 9,159 債権管理不適切
 この貸付けは、住宅を取得しようとする従業員6名に転貸するために必要な資金として、計19,400,000円を貸し付けたものである。借入者は、昭和58年8月から平成4年12月までの間、上記の従業員から転貸貸付金の繰上償還を受けていたが、この繰上償還金相当額を事業団に償還することなく長期間にわたって保有していた。
 したがって、上記に係る貸付金残高9,159,040円は貸付金の回収が適切に行われていなかったものである。
 なお、本件の不当貸付金残高については、5年3月に償還された。
 
(243)-(246) の計 725,014 522,500 152,159