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  • 平成5年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 農林水産省|
  • 平成4年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

水田農業確立助成補助金の地域営農加算額の交付について


(1) 水田農業確立助成補助金の地域営農加算額の交付について

(平成4年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 農林水産省では、水田農業確立対策を実施するに当たり、農業者に対し転作等の面積に応じて水田農業確立助成補助金を交付している。このうち地域営農加算額は、地域の水田農業の確立を計画的に推進することを助成する目的で交付されるものであり、農業協同組合(以下「農協」という。)等において、この地域営農加算額と農業者が拠出した資金とを合わせるなどして基金を造成し、その交付の趣旨に沿って小規模な土地基盤整備事業等を実施する場合の財源とすることとなっている。
 この事業が制度の趣旨に沿って実施されているかなどについて検査したところ、地域営農加算額が、計画の策定、基金の造成などの交付要件に定める実施体制が整備されていない計画区域に対して交付されていたり、交付目的に沿って適切に使用されていなかったりしている事態が見受けられた。
 このような事態が生じているのは、農業者、農協及び市町村において、制度の趣旨、目的、交付要件等についての理解が十分でなかったこと、農林水産省において、基金に対する拠出方法及び基金の使途について、関係機関への周知徹底が十分でなかったことなどによると認められた。

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 制度の趣旨に沿った効果的な事業を執行するため、次のとおり、農林水産大臣に対し平成5年11月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。

(ア) 農業者、農協及び市町村の三者それぞれの役割、責任を明確にし、基金への拠出方法及び基金の使途に関する規定を整備するとともに、市町村が行う交付要件の確認事務等が実効性のあるものとなるよう確認資料等の書式を改める。

(イ) 農業者、農協及び市町村に対し、制度の趣旨、交付要件等を周知徹底するとともに、現実的で、かつ事業効果の見込める計画を策定し、事業を実施するよう指導する。また、都道府県に対しては、交付要件の確認、基金の管理状況についてその実態を十分把握するよう指導する。

(ウ) 今後、不適切な事態が生じた場合には、具体的かつ厳正な措置を講ずるよう都道府県等に周知徹底する。

2 当局が講じた是正改善の処置

 農林水産省では、本院指摘の趣旨に沿い、制度の趣旨に沿った適切かつ効果的な事業を執行するため、6年4月に通達を発するなどして、次のような処置を講じた。

(ア) 農業者、農協及び市町村の三者の役割、責任を明確にし、基金への拠出方法及び基金の使途に関する規定を整備するとともに、市町村が行う交付要件の確認事務や基金管理状況報告の審査が実効性のあるものとなるよう確認資料等の書式を改めた。

(イ) 農業者、農協及び市町村に対し、制度の趣旨、交付要件等を周知徹底するとともに、地域で十分な話合いを行った上で、実効性があり、かつ事業効果の見込める計画を策定し、事業を実施するよう指導した。また、都道府県に対しては、交付要件の確認、基金の管理状況についてその実態を十分把握するよう指導した。

(ウ) 今後、不適切な事態が生じた場合には、具体的かつ厳正な措置を講ずるよう都道府県等に周知徹底した。