1 本院が要求した是正改善の処置
社会福祉・医療事業団では、社会福祉施設職員等退職手当共済法(昭和36年法律第155号)に基づき、民間の社会福祉施設の職員及び特定社会福祉事業に従事する職員について退職手当金を支給する事業を行っており、その財源は事業収入としての共済契約者からの掛金及び都道府県からの補助金並びに国庫補助金となっている。この事業収入である掛金等の納付及び退職手当金の支給が適正に行われているかについて検査したところ、被共済職員として加入させなければならないのに加入手続を執っていなかったり、受給資格のない職員に対して退職手当金を支給していたり、退職手当金を過大に算定し支給していたりなど不適切な事態が見受けられた。
このような事態が生じているのは、社会福祉・医療事業団において、共済契約者等に対する退職共済事業の仕組み、手続についての周知徹底が十分でないこと、退職共済約款に定められた掛金名簿等の様式が適切でないなど、加入資格及び退職手当金の支給についての審査体制が十分でないことによると認められた。
掛金等の納付及び退職手当金の支給の適正を期し、もって退職共済事業の適切な実施を図るよう、社会福祉・医療事業団理事長に対し平成5年11月に、会計検査院法第34条の規定により次のような是正改善の処置を要求した。
(ア) 共済契約者等に対し、退職共済事業の仕組み、手続について周知徹底を図ること
(イ) 被共済職員としての加入資格及び退職手当金の支給について審査するため、退職共済約款を見直し、共済契約者から提出させる各種届書に必要な事項を追加したり、新たに書類を添付させたりするなどして、審査体制を整備すること
2 当局が講じた是正改善の処置
社会福祉・医療事業団では、本院指摘の趣旨に沿い、退職共済事業を適切に実施するため、次のような処置を講じた。
(ア) 共済契約者等に対し、6年2月に、退職共済事業の仕組み、手続について通知を発するとともに、説明会を実施するなどして周知徹底を図った。
(イ) 被共済職員としての加入資格及び退職手当金の支給について審査するため、同年3月に、退職共済約款を改正し、各種届書の様式に記載事項を追加するとともに、新たに給与規程等を提出させるなどして、審査体制の整備を図った。