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  • 平成5年度|
  • 第3章 特定検査対象に関する検査状況

中央省庁発注の印刷物の調達について


第2 中央省庁発注の印刷物の調達について

(平成4年度決算検査報告参照)

1 昨年までの検査状況

 平成4年11月、東京地方検察庁は、厚生省社会保険庁発注の支払通知書等貼付用シールの入札に関し、指名業者である大日本印刷株式会社ほか3社の関係者を競売入札妨害罪で東京地方城判所に起訴した。
 本院では、このような事態を踏まえ、上記のシールを含む国の印刷物調達の適正を図るという観点から、定型的で大量かつ継続的に調達される印刷物について横断的に検査を実施した。検査に当たっては、予定価格の積算の妥当性を重点に調査するとともに、契約事務の執行の状況についても併せて調査することとした。
 検査したところ、検査対象とした調達契約のうち大部分の契約については、特に問題となる事態は見受けられなかった。
 しかし、上記の検査の契機となった社会保険庁発注の支払通知書等貼付用シールの調達契約等については、本院として可能な範囲で調査を行った結果、割高な積算額に基づいて調達契約が締結されていたり、業者の受注能力等について十分な調査が行われていなかったりしているなどの事態が見受けられた。
 一方、社会保険庁では、本件について不当利得の返還を求める民事訴訟を提起する準備を進めていたため、上記の事態に係る不適切な契約金額、原因等がこの民事訴訟において争われることとの関連で、本件調達契約等に係る社会保険庁に対する検査業務は、平成4年度決算検査報告の作成時点で完結できなかった。

2 検査の状況

 社会保険庁では法務省に依頼して、国が原告となり大日本印刷株式会社、小林記録紙株式会社及びトッパン・ムーア株式会社を被告として、本件について不当利得の返還を求める民事訴訟を5年12月17日に東京地方裁判所に提起した。そして、本件訴訟に係る口頭弁論が6年11月までに4回行われているものの結審に至っておらず係争中である。このため、上記の事態に係る不適切な契約金額、原因等がこの民事訴訟において争われることとの関連で、本件調達契約等に係る社会保険庁に対する検査業務は、現時点においても完結していない。